オトコのパリ事情。毎週更新!を目指してます。 -68ページ目

クックブックアワード à Paris

パリの北西、スターリングラード駅からしばらく歩いたところに
「Le 104」というイベント会場がある。

アフリカ人系の多い、日本人が一人歩いていたら身ぐるみ剥がされそうな地区だが、
この建物だけは、アートやモードの発信地。

$刺繍作家とライターのフランス生活
↑昔は墓場へと送られる死体置場だったという場所

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ここで、世界のグルメブックの祭典「ワールドクックブックアワード」が開催された。

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東京でよく仕事を一緒させていただき、シュクレ展示会の写真も撮っていただいた、
アートディレクター・写真家の齋藤芳弘さんが、
このアワードで最高の栄誉のひとつ 2009 Hall of Fame(クックブックの殿堂)に選ばれ、
日本から授賞式にやってきた。

授賞式と同時にひらかれたサロンに我々もお邪魔した。

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↑左側に控えめにいるのが齋藤さんです。


今回齋藤さんが受賞した本は、パレロワイヤルにあるレストラン「ル・グラン・ヴェフール」総料理長ギィ・マルタン氏の豪華なレシピブック「L'art de Guy Martin(ギィ・マルタンの芸術)」。

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“美味しそう”なのはもちろんのこと、まるで料理に命を吹き込んだかのような
みずみずしさと質感(ときどき肉感)、そして極彩色。
世界各国から集まった無数のクックブックのなかでも、写真の美しさは群を抜いている。


あまりに豪華な本なので、ぜひご購入してくださいと軽々しくは言えませんが、
ホームページでその一端をご覧ください。(Takeshi)
http://www.superedition.co.jp/shopping/guymartin/

アパート探しは運と出会い2

日系不動産会社のHPを見ていても、なかなかちょうどいい物件が出てこない。

話を聞くと、1月というのは大家さんの税金対策などがあり
パリでは物件の動かない時期でもあるらしい。
そうしているうちに、ただただ時間だけが過ぎて、我々も焦りはじめた。

というわけで、情報量の多さで有名な不動産HP「se loger」や「particulier à particulier」(貸したい人と借りたい人を直接結ぶメディア)を調べる。

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↑フランスの不動産サイト「se loger」

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↑個人間の不動産取引といえばココ「particulier a particulier」


希望面積、賃料、家具付きかそうでないかなど条件を入れて検索。
出てきた数十件もの選択肢を丹念に見るがそれでもちょうどいい物件は1、2件しかなく、
そこへ「内見したい」というメールを出す。
相手はそれぞれの情報を出している不動産業者。
いい業者か悪い業者かなど、こちらが知るすべもない。
フランス語で電話がかかってきた時、ちゃんと応対できる自信もまったくない。


そのうち1社から、電話がかかってきた。フランス語の電話は非常にニガテである。
よく考えたら、日本語の電話もあまり得意でないかもしれない。
「ムシュー、物件をご覧になりたいとのことですが?いつなら来られますか?」
こちらが予定を伝えると「では住所をあなた様の携帯電話へSMSで送りますから、明日○○時に現地でお会いしましょうムシュー」と非常に丁寧である。
内見は次の日だったが、逃してはなるまいと、ルーアンから上京ならぬ上パリした。


ただこの不動産会社、連絡先が「携帯電話だけ」というのが気になった。
どういう形態なんだろう?
個人?ブローカー?


内見の日、はじめて不動産会社の男性A氏と会った。
とても紳士的な男性。「ボンソワール、ムシュー。ボンソワール、マダム」。

部屋は最上階で天井が傾斜になっているが、それなりの広さがあって、キレイ。
アパートの入口も二重のdigicode(暗証番号で扉をあける)で安心そうだ。
それなりの家具も付いている。何より窓が多くて明るそうなのが良かった。

しばらく説明を聞いているうちに、玄関のベルが鳴る。
どうやら次の内見の客のようだ。
玄関から戻ってきたA氏が小声で
「今日は15分ごとに内見のお客さまが来るんですよ。けれどね、私は日本人に貸したいんです。」
何とか我々に貸したいと思っている感じである。


フランス語ですべての手続きをすることにまだ抵抗はあったが、
内見の後の家族会議では、これほど条件のいい物件は残り一週間くらいでは見つからないのではないかとの意見が大半だった。前回のように他の客に先を越される可能性も高い。

アパートから出て30分後。
私はA氏に電話をかけた。予約を入れるためである。

「オー、トレビアン、ムシュー。トレビアン。」と意外な電話の早さに驚いた様子だ。
「では正式な予約のために事務所に来てください。その時に予約金として1ヶ月分の家賃を小切手か現金でお持ちください。」
「小切手か現金?クレジットカードとか銀行送金とかはできないのですか?」
「オ、ノ~ン。そういう仕組みにはなっていないので、必ず小切手か現金でお願いします、ムシュー。」

まだフランスの銀行で小切手やカルトブルー(フランス人共通のデビットカード)を使える当座預金を持っていないので、私の場合は自動的に現金になってしまう。

現金で家賃1ヶ月分を事務所に?しかも携帯しか連絡先のない事務所に?・・・・
大丈夫なのか・・・・一気に不安が倍増した。
しかもそのあと彼から来たSMSは事務所の場所とともにひと言

「大丈夫。私を信用してください、ムシュー」。

こちらの気持ちを見透かしたかのようなメールは、かえって我々の不安を盛り上げてしまった。


その日、二人は眠れぬ夜を過ごした。

事務所に行ったら暗いエレベーターホールで現金をとられるのではないか?
現金を渡して領収書をもらえなかったらどうしよう?


夜だけに、余計な妄想が広がる。


不安にかられて、夜半、A氏にメールを送った。
予約金の領収書のこと。契約書をその場できちんと読みたいということ。その他諸々の細かな質問。
いま読むと、信用していないことがバレバレのメールだ。
友人のフランス人にも状況をメールで書いて、信用できるかどうかを確認する。

なにぶん、日本では個人で不動産業をしているケースが少ない。
小切手の決済も、ほとんど聞いたことがない。

しかしフランスでは個人で不動産業をしている人も多く、大家と借り手の直接取引もさかん。
そしてフランスはもともと小切手社会。未だにスーパーやショップで小切手を使って買い物をする人も多い。家賃も小切手で家主に送ったりするらしい。むしろ銀行振込のほうが少ないくらいかも知れない。

習慣の違いである。

翌朝、A氏から早速メールが届いていた。
質問の一つ一つにきちんと返答がある。

さらには「se loger」に書いてあった商業登記番号(RCS)を控え、
Infogreffという商取引に関する法律機関のサイトで調べると
番号と会社名が一致した。
・・・きちんと存在する会社らしい。


そして失礼ながらA氏の名をひたすらインターネットで調べる。
ようやく一つだけ、彼からアパートを借りたという日本人の方のBLOGが出てきた。

「A氏は変な人ですが、いい人です。」

こういう時は、日本人のコメントが何より心強い。
「いい人」なら、多少変な人でもいい。


ようやく何とか心を決めて、パリの事務所へ赴くことにした。(Takeshi)

(次につづきます。長くなってすみません。)
 

アパート探しは運と出会い

パリのアパート探しから引っ越しまで。
ほかの人に比べると、うちはかなり順調だったといえるかも知れない。


それでも初めての海外賃貸体験。
我々にとっては平坦な道のりではなかった。


フランスでは、日本人が賃貸物件を探す場合、およそ5つの方法がありそうだ。

●パリにある日系不動産会社で探す
●フランスの不動産会社で探す
●住宅専門インターネットサイトで探す
●新聞・掲示板情報(アノンス)で探す
●知人に頼む・知人のツテで探す

やはり安心なのは日系不動産会社。
シャンゼリゼ通りにある「アポロ不動産」をはじめ、
パリにはいくつかの日系、あるいは日本人スタッフのいる不動産会社がある。


わが家は、12月からフランス人の知人にメールを送ったり、
(個人間の貸し借りが多いフランスでは、これも有効な手段)
知り合いの知り合いで大家さんといくつかコンタクトのある人に連絡したり、
あるいはパリの新聞「ovni」のアノンス(物件などの情報)をチェック。


学校の授業、試験勉強をしながら、
しかもルーアンという遠方に住んでいることもあり、
この探索を続けているだけでも、意外に疲れる。

アノンスではなかなかアパートのイメージも沸かないので、
やはり一度は内見してみようと、
年明けから本格的に日系不動産会社をあたった。


条件や借りやすさは会社によってもまちまちだが、こうした会社が扱っている物件は
大家さんが比較的日本人に好意的、あるいは清潔好きで静かで、室内では靴を脱いでくれる
日本人を良いお客さんと思ってくれているケースも多い。

外国人には厳しい賃貸環境のなか、これは嬉しいお話。


なにより、スタッフが日本人であったり、
日本語ペラペラのフランス人の方が多く、これはとても頼もしい。
賃貸住宅に関する慣習がまったく違うフランスの事情をそれほど理解していなくても、
フランス語がまったく話せなくても借りられる、というメリットは大きい。

とはいえ、日系会社はそれほど多くないし、物件も限られている。
だが清潔好き、安全好きの日本人に貸すということで、
部屋の条件は良いものが揃っているように感じた。

いくつかの日系会社のホームページで物件情報を見て、
「これかなぁ」というものをいくつかピックアップして電話。
日取りを決めて、内見した。

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↑一度見に行った17区のあたり。シラク元大統領も住んでいたという地区だったけれど、賃料の割には広さがなかった。


幸い最初の日に見た物件のうちの一つが、場所、スペースとも良かった。

パリ15区ラ・モットピケ。シャン・ド・マルス公園がすぐそこで
エッフェル塔がどどーーんと建っている。
エコール・ミリテールやユネスコ本部も近所で、
コメルス通りという賑やかな商店街も目と鼻の先という、
硬軟とりまぜたパリの中心部だ。
これから通う学校も近い。
アパートの賃料もほどほどだ。しかも保証人は要らないという。

「こんな条件のいいところがあるんだ~」と
ふたりの心は決まった。


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↑モット・ピケ地区は15区といってもほぼ7区。メトロの高架下では市場も出る。政府機関などが多いのに、庶民的な雰囲気もある暮らしやすそうな場所。ちょうど麻布十番みたいな感じだろうか・・。みんなが憧れる。


しかし、なにしろ最初だったので
パリの賃貸事情も知らないままに契約していいものかなぁ・・・と
インターネットで一日中情報を検索して、ようやく納得できたので
週をまたいだ月曜日に電話した。すると、


「すぐに電話いただけないから、もう他の方に決まっちゃいましたよ。」


と衝撃の返事。

週末パリの地図を見ながら、その町を歩いている自分たちを想像していただけに、
実はかなり落胆した。


ここは競争率の高いパリ。実はその日のうちに他の内見があって、
決めたいなら、その日か次の日の早い時間には電話をするべきだったらしい。


1ヶ月ほど前から物件HPには出ていたのに、そんなに早く、
タイミング良く決められてしまうとは思っていなかった。

決定したのはフランス人夫婦で、大家が見つけた人だという。
もしかしたら、もともとフランス人に貸したかったのかも知れない。

これからのアパート探しに不安がよぎった。

(次につづきます)

パリへ引っ越しました

車も使わず、友人とともに列車に乗って、
ふうふう息を切らしながらパリへの荷物運びを敢行した。

週明けの契約の際にスーツケースをふたつ。
今回もふたつのスーツケースにぎっしりと荷を詰めて、
さらにバッグをふたつ、そしてパソコン・カメラのバッグ。

結局それでも間に合わず、
来週、もう一回ルーアンへ荷物を取りに行く。

レンタカー代を抑えるつもりだったが、結果はどうだろう?


ともかく、パリのアパート生活がはじまった。

本当はインターネット回線がすぐには使えない予定だったのだが、
荷物を持って部屋に来ると、ドアの前に箱がおいてあって、
それがSFRという電話会社のインターネットモデムセットだった。


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フランスのインターネット接続もいろいろ方法があるようだが、
いまはOrange(オランジュ=フランステレコム系)、SFR(エスエフエール)、
Bouygues(ブイグ)、freeの4社を中心としたADSLサービスが
顧客獲得競争を繰り広げている。


どこも、「インターネット、IP電話、多チャンネルのTVを合わせて29.9ユーロ!」
といった、セットサービスで人気を得ている。

どこのキャリアがいいかはフランスでも意見がまちまちで、
わが家は結局、知り合いが快適そうに使っているSFRにした。
日本を含む国際固定電話への発信が無料で、日本の国際TV放送JSTVが見たくなったら
有料だが追加視聴することが可能。

しかも近くのSFRショップの店長が「デキル」男っぽくて
何かあってもすぐに相談できそうだ。

しかしすっかり契約をしたあとに
SFRサイトで自分の契約を確認すると、
接続まで「最大20日かかる」と書いてあるではないか!


モデムは早く来ても、アパートに来ている通信がアクティブになるまで
何もできないということだ。

とりあえず一緒に来てもらった友人に手伝ってもらい、
配線をセットアップ。


最初はやはりまったく応答なしで溜息をついたが、
1時間ほどすると
モデムのランプが緑色に輝いた。

$刺繍作家とライターのフランス生活

脳裏に、目薬を差す織田裕二を思い浮かべながら(古い)
「来たー!」とばかりにパソコンを操作すると、パスワードの入力モードになり、
ついにプライベートインターネットがつながった!

悪いウワサが多いフランスのインターネットの割には、
早くて少し驚いた。

しかし・・・・TVを見るために必要なCarte à puceというカードが箱に入ってない!!
入っているべきなのか、別送されてくるのかわかりませんが・・

SFRの掲示板を見ると、やはり入っていなくて怒っている人がいるらしい。
むむ、やはりフランス。かならずどこかに不備がある。

ともかくネットがつながったので、このブログを書いています。


次回からアパート探し、引っ越しに関する顛末をお伝えします。

(Takeshi)


パリへお引っ越し

今日はパリへ引っ越しの日です。

ちょうど4ヶ月のルーアン生活も今日まで。

昨日は語学学校でちょうどクレープ作りのレクリエーションがあって、
ちょっとした送別会の雰囲気となりました。

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さて、引っ越しのあとのアパートにはまだインターネット回線がつながっていません。


いまフランスのテレビなどで積極的なプロモーションをかけている
SFRというキャリアにもう依頼済みで、
開通すれば、インターネットもテレビも国際電話も全部まるごとneufboxという装置で
快適に使えるはず、ですが・・・開通まで少し時間がかかりそうです。


というわけで、ブログの更新、メールのご返信などが遅れる可能性がありますので、
ご了承ください。


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↑あたらしいパリのアパートからは空が見えます。ホッ。