オトコのパリ事情。毎週更新!を目指してます。 -67ページ目

オランダのバッグミュージアム

アムステルダムは2回目・・・ということで、以前来たときに主な美術館などはすでに回っていたので、今回はどこに行こうか・・とネットで調べていたところ、なんとも魅力的な美術館を発見!!!
その名も『MUSEUM OF BAGS AND PURSES』!!!2007年にオープンした新しい美術館ということで、期待満杯で行って参りました。

$刺繍作家とライターのフランス生活

この美術館、実はもともと個人のコレクションから始まりました。35年にわたってHendrikje Ivoさんが集めたバッグを見せる美術館として、最初はAmstelveenとい場所に誕生しました。そして10年たった2007年、アムステルダムの中心に場所を移し新装オープンとなったわけです。

美術館は、運河のほとりにたつシックな建物の中にあります。なんと1664年に建てられたというから、年代物です。その年代物の建物のいいところを残しつつ、中はモダンにリノベーションしてあり、内装は本当に細かいところにまでこだわっていて思わず感心してしまう部分が沢山ありました。

さて、受付からエレベーターに乗り、一番上の階から見学開始。約500年に渡るバッグの歴史をたどります。いきなり、中世後期の美しい刺繍の入ったベルベットの巾着バッグに衝撃!!かわいすぎるっ!!!人目をはばからず、ショーウィンドーに食いつき、『かわいいっ!!』を連発していました・・・。

ベルベットは色が変わって、少し生地が薄くなっている部分もありました。口の部分と、バッグの生地と生地のはぎの部分に銀糸のコードが入っているのですが、これが程よく変色していぶした感じになっているのがいい。巾着を結ぶ紐の先端にはシルバーのボールが付いています。このボールの透かし模様が繊細で、さらに美しさを増している。
とてもシンプルな作りなのに、これほどの魅力に溢れている・・・というのは、やはり時が授けた美しさなのでしょうか。
正直、この時代のものはどれもこれも素晴らしくて、しばらくこのコーナーに釘付けになりました。


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その後、年代別、タイプ別に飾られたバッグとパースがとにかく沢山並びます。どのコーナーも興味深く、ひとつひとつじっくり眺め、時間をかけて見学を終えました。
こうやって年代順に並んでいると、ヨーロッパの女性の歴史を垣間見ることができます。最初は小銭入れとして、そしてスカートの大きなロココの時代はスカートの中の袋として、さらには手芸用品を入れて持ち歩く女性の必需品として、お出かけの際のマナーとして、バッグが女性の生活とともに発展してきたものだというのがよく分かります。

時代によって、新しい素材が取り入れられ、入れるものの変化で形が変わっていく。展示の最後は今開催中の特別展、現代のイギリスのデザイナーのバッグでした。先日亡くなったアレキサンダー・マックイーンや、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ステラ・マッカートニーなどの作品が並びます。現代のバッグをみていると、どうも大きなものが主流。女性も沢山荷物を持って、力強く現代社会を生きているのだなぁ・・・と感じた瞬間でした。
普段は大きなバッグを見ても何も思うことはないのですが、中世後期のあの小さな巾着で過ごしていた貴族の女性とはだいぶ違う・・・とついつい比べてしまいました。


私は、バッグは小さければ小さいほどかわいい・・・と思っています。なので、自分で作るバッグは、なるべく小さなものを作りたい。でも、正直、現代女性(もちろん私も含めて)はみんな沢山荷物を持たなくちゃいけないですから、普段使いのバッグが小さい・・・というのはどうにもこうにも無理な話です。というわけで、大きくても可愛いバッグを一生懸命作ってきました。

でもやはり、小さな可愛いバッグを、何かちょっとした機会に持つように、ひとつ持っていたらいいですね。普段はしまってあるのを、たまに出してきてどきどきしながら眺めるようなバッグ。そんなバッグを作りたい・・・と、近頃思っています。

さて、見学が終わったら、ぜひ美術館のカフェでお茶を飲んでください!!美しい中庭が見える静かなカフェ。運が良ければ猫が中庭を散策している様子を眺めながらお茶ができます。


そして隅々まで見逃してはいけないのが、この美術館。かならずトイレにも行きましょう!!!美しいタイル貼りのトイレ。個室には美しいガラスケースの中に、美しいバッグが飾られています。思わず、全個室を開けて見てしまいました・・・。

アムステルダムに行く機会がありましたら、ぜひお出かけになってみてください。ゴッホやレンブラント、フェルメールも必見ですが、ここも必見間違いなしですっ!!!!(kyoko)


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↑オランダは自転車大国。大通りにはたいてい自動車レーンと歩道のあいだに自転車専用レーンがあって、ふらふらと渡っているとチリチリチリンッ(どけどけどけっ!)と注意されます。

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↑アムスといえば、レンブラント。レンブラントハウスは観光客でいっぱいです。

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↑オランダで“coffeeshop”といえばソフトドラッグのショップ。週末の夜は若者でいっぱい。なぜかイギリス観光客が多いらしいです。

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DELFに合格!しかし

1月下旬に受けたフランス国民教育省のフランス語試験DELF/B2に
辛くも合格(Takeshi)しました!

応援のメッセージをいただいた皆さん、ありがとうございました。


辛くも・・・・というのも点数が59点。
とりあえず基準の50点はクリアしたけれど、この点数が一生残ると思うと
どこか微妙な心境。

しかも問題は・・・・

ほとんどが「作文試験」と「口頭試験」でとった点数ということ。


DELFが「聞き取り」「読解」「作文」「口頭」の4課目からなっていて、
それぞれ25点の配点がされていることは前にも書いたけれど、
「聞き取り」「読解」がそれぞれなんと8点ずつしか取れていなかった。


つまり、「人の言っていることや書いたものは理解できないが、
自分でならハッタリで書いたり、話したりできる」ということでしょうか。


やはり微妙・・・


言い訳をさせていただけるなら、
問題は「聞く」のも「読む」のも、理解するのに時間がかかるということ。
聞きながら、あるいは読みながら、すーっと頭のなかに浸透していく感じでは、まだありません。
というわけで、短い回答時間内ではきちんと答えきれないのです。

課題が残る結果でした。

とはいえ、合格は合格。次の目標に向かいます。(Takeshi)

アムステルダムが好き

この週末、アムステルダムへ行ってきた。

知り合いの写真家・榎本敏雄さんがアムステルダムのギャラリーに招聘され、
展示会がひらかれるということで、パリからなら割と近い!と
週末旅行をかねて出かけたのだった。

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いくつもの美しい運河が、中心地を包むように連なるこの街。
人もやさしく、道もキレイ。フランスから来ると、なんだかホッとする。


カモメたちが飛び交い、水辺に沿ってショップやカフェがならぶその運河たちを渡って
展示会が開催される「Galerie Wouter van Leeuwen」へ。
この界隈は、ほかにもギャラリーが点在するアーティスティックな地区。

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榎本さんの写真集「かぎろい」からの作品が展示された会場では、
初日のオープニングパーティーもひらかれて
ひっきりなしに人が訪れる。

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なかでも榎本さんがおよそ20年にわたって撮り続けてきた
桜の写真には誰もが賞賛の声。
そして早くも、アムステルダムの写真美術館に作品の所蔵が決まったという。


昨年、写真集に一目惚れして直接開催を打診してきたという
ギャラリーオーナーのウォルターさんは、世界中の写真作品を
オランダで意欲的に紹介している。
ついこのあいだまでは、蜷川美花さんの個展もひらかれていた。



インターナショナルな写真談義に花が咲いたあとは、
残っていた方々と榎本さんご夫妻を交えてディナーへ。
身勝手にも、我々もノコノコついて行ってしまった。

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アムステルダム中心地からちょっと離れたそのレストランは、
昔、水道ポンプ場だった建物。
ここで本場のハイネケンを飲んでいると、サッポロビール園にいるよう。
土曜の夜ということもあって、盛り上がりようは相当のもの。

にしんの酢漬け・ハーリングに、ザワークラウト、地元のプディングまで、
すっかりオランダを満喫。


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短い時間だったのに、いい想い出がぎゅっとつまった
いい旅になった。榎本さん、ありがとうございます!


つい感化されて、初めてモノクロ写真に挑戦。

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絵になる場所が多い街です、アムステルダム。
(Takeshi)

パリの手芸見本市

なんだかんだで忙しくしておりまして、ブログが遅れてしまいましたが、
先日行った手芸見本市のご報告です。

2月の11日から14日、今年で7回目となる針と糸の見本市、
『l'aiguille en fete』が開催されました。
パリの北の方にある『la villette』という大きな見本市会場で開催されます。

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まず、この手の見本市、パリでは大人気とあって
手芸ファンがここぞとばかりにわんさか押し寄せます。正直、通路を歩くのも困難なほど。
一応受付で店舗マップをもらえるのですが、その情報だけではどんなお店か分からない・・・
ということで闇雲に歩くと非常に疲れます。

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なのでまず、
こちらの会場では2階に展示会場があり、(今回は舞台衣装がテーマということで、パリのオペラ座やコメディーフランセーズで実際に使われた衣装の展示があったり、クロスステッチのヴィンテージものが飾られていたり、ロシアの刺繍作家さんの作品があったり・・・。買うだけでなく、見る方も充実の内容でした。)この2階からじっくり1階の様子を眺めて、だいたいどの辺にいこう
か・・・ということをまずリサーチ。狙いを定めてから動き出しました。

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今回、私の狙いは最近フランスでは編み物(棒針編み)が人気・・・ということで、刺繍に使えそうなちょっと変わった感じの糸。素材や染め方、撚り方などが独特の糸があったらぜひ欲しいと思い、物色に入ります。


しかし・・・。とにかくすごい人出・・・。

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正直、お客様は主に女性。しかも刺繍、編み物系の見本市は年齢層も高し・・。遠慮のかけらも見られず、みなさんぐいぐい人混みの中を進むものですから、狙いを定めたはずなのに、すぐに小心者で押しの弱いわたしはおばさま達の隙間からののぞき見に疲れ、会場を半分も回らないうちに昼食タイムにすることにしました。


さてもうひとつ、この昼食タイムがくせ者です。
一応、会場内にカフェ・レストランもあり、サンドイッチ・スタンドもあるのですが、これがまたスゴイ人。ものすごい行列に並ぶことに耐えなければ、食事にはありつけません。毎年会場に来てこの『ランチ困難振り』をよくご存じのみなさんは、弁当持参。それもほとんどの人がサンドイッチ持参。しかしさすがはフランス人。サンドイッチにプラスして、デザートも持ち込みです。このデザート、人によって様々ですが、結構カップのデザートを持参の人が多い。ちゃんとスプーンも持ってきています。
その辺はぬかりありません。

余談ですが、フランスのスーパーにはカップデザート(クリームブリュレ、リ・オ・レ(以前のブログ、スーパーに行こうで紹介してます。)、チョコレートムース、フロマージュブランなどなど)がこれでもかっ!!というほど沢山並んでいて、どれも美味しいです♪

私は以前11月にあった手芸の見本市で、このランチ事情を知らずに昼食難民となったひとりでしたので、今回はぬかりなくサンドイッチを持参してきて、会場の隅の方で小さくなって昼食を済ませました。
もうひとつ余談ですが、みなさんランチとなると、どこでも構わず座ります。正直、ランチタイム、階段にはおばさま達が座り込みピクニック状態。通る方が小さくなって通ります。
日本ではあり得ない光景ですが、こちらでは一般的です。

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↑レースほか、ブーススタッフ実演なども充実。

そんなこんなで昼食を済ませたあと、ようやく気になる糸を発見。
イギリスから参加のお店で、若い女子3人が堂々とした英語で対応。ポップな色合いの糸もあったのですが、私が気に入ったのは手紡ぎのウールとモヘアの混紡。『秋』と名付けられていたその糸はとても優しい色合いで、手染めで暖色と寒色がだんだんに染めてあります。
イギリスと言えば、ウール・・・というイメージの通り、上質なウールは決して安くはなかったですが、作品にいい質感を与えてくれそうです。使うのが楽しみ♪♪

あと気になったのは、整理棚。
こちらはお値段的に無理無理な感じでしたので購入には至りませんでしたが、自分で刺繍したものを引き出しの表面に付けられる・・という仕組みになっているもの。・・・まあ、なかなか時間がなくて刺繍が仕上がらず、結局そのまま使っちゃいそうですが、自分の部屋に自分の刺繍した整理棚があったらテンション上がりそう・・・と、創造するだけでうきうきしました。

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↑フランス人で日本刺繍の先生もしているかた。


今フランスでは、日本と一緒でリネンも人気です。いい色合いのリネンのお店もあって、欲しいなあ・・・と思いつつ、今はミシンがないし・・・と断念。
パリに引っ越したことですし、そろそろミシンが欲しいと思う今日この頃です。(Kyoko)

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↑会場で行われた「早編み競争」のイベントです。ちらりと司会者の手元を見たらエントリーリストがずらり。みんな実力を見せつけたいようです。

アパート探しは運と出会い3

アパート顛末記のつづき。

我々の不動産エージェントA氏の事務所は、日本大使館の近く、パリの超一等地にあった。
まるで高級弁護士事務所のような雰囲気。
「カツアゲ」事件が起きそうな気配など微塵もない。

ところがエレベーターホールで出迎えてくれたA氏は、
部屋に入るなり、少しいらだった様子で言った。

「それでムシュー、いったい何が知りたいんですか?何を説明したらいいですか?」


どうもやはり前の日に出したメールが少し癇に障っていたらしい。
こちらは彼の返事に納得して、今日はもう手付金を払うつもりでいたので、
逆にとまどってしまった。

「い、いや契約書の内容と契約の手順を知りたいなぁぁと思ったまでで・・・」


「日本の方が来るといつもこうなんですよ」と彼。
話を聞けば、日本人はやはり個人の不動産エージェントという形態に慣れていないせいで、
あらぬ疑いの目を向けられるという。

とは言いつつ、こちらの要望に応じて
普通は客に見せない不動産に関わるありとあらゆる書類を、彼は隅から隅まで見せてくれた。
それは物件ごとにキレイに整理されている。

およそ1時間にわたりその説明とフランスの不動産法律事情を話してくれたA氏。
最後はお互いに納得し、いい感じで予約へと話しが進んだ。
ここで払った手付金は、契約が済めば2月分の家賃に充てられる。


次は、本契約の際に 1.エージェントフィー 2.敷金 を用意する。
フランスでは多くの場合、日本の「礼金」にあたるものはない。

ただし外国人である我々の場合に出てくるのが、保証人の問題。
大家さんや不動産会社にもよるらしいが、契約にはきちんと収入のあるフランス人の保証人が
必要なケースがある。
フランス人の友人がいると言っても、さすがにそこまでお願いするなんてできない。


大家さんとしては、借り手の支払いが滞った時の家賃保証が欲しいわけで、
外国人相手の場合は保証人の代わりに
1. 銀行保証(たとえば1年分の家賃を銀行に凍結して担保にする)
2. 敷金の積み増し(通常は2ヶ月分の敷金に、数ヶ月分を上乗せする)
というオプションがある。

わが家の場合は契約期間を短く(6ヶ月ごとの自動更新)し、
敷金を積み増ししてこの条件をクリアした。
積み増した分はもちろん、何もなければ最後にぜんぶ戻ってくる。

そんなこんなで、2月1日の契約日を無事に迎えることができた。

当日は、借り手に有利とされるフランスの賃貸契約の説明を受けて、
数々の書類にサイン。エージェントフィーと敷金を、用意しておいた銀行小切手で渡し、
最後に「Etat des lieux」といういわば室内の現状確認をする。
いまあるキズや設備の状況をすべてチェック。
A氏の場合は写真でリスト化している。かなりきちんとしている。

しかもアパート内で何かあれば「すぐに私に連絡してください」と言ってくれた。
契約すればあとはサヨナラという不動産会社もフランスには多いなか、
A氏の場合は、大家の代理人という役割も兼ねているという。


今となっては、疑っていたのが恥ずかしいほどに、しっかり安心できる方だった。
そう、どちらかといえば外国人・学生であるこちらが疑われるべき対象なのに。


細かな不具合はさておき、おおよそ快適なアパート生活が始まった。
さて、どんな暮らしが待っているやら。(Takeshi)