頁3 _芸人乞食 ~生きる文化財~(in 北京)_中国ヘンテコ百科事典
皆さん、始めまして。北京で暮らしている、 ”まん・げんこ” です。
ここでは、中国国内の、愛らしいヘンテコな物・事・人をどんどん紹介していきます。
中国は、本当に奥が深いです。知れば知るほど、はまっていきます。
では、ヘンテココーナーを、お楽しみくださいませ。
中国ヘンテコ百科事典 頁3
卖艺 乞丐 (芸術乞食)
mai4 yi4 qi3 gai4
( マイイー チーガイ )
~生きる文化財~(in 北京)~
異国の地で暮らすことは、とても楽しく、そして刺激的だ。
しかし同時に、とても寂しく、切ない。
私は時々、無性に寂しくなる。そして、故郷を懐かし思う。
そんな日は、バスに乗って“ふらり旅”に出かける。
中国のバスの旅は良いものだ。北京の郊外には、まだまだ “中国らしさ”が存在しており、私の心を癒してくれる。
その日、私はバス停に向かっていた。陽気も暖かくなり、街行く人の顔には笑顔が広がっていた。
春の訪れを、肌で感じていた。春は出会いの季節でもある。私は、何か”出会い”があるのではないかと、予感をしていた。
バス停に到着しようかという、まさにそのとき・・・
私の予感は的中た。そこで私は・・・
”生きる文化財”
に出会ったのだ。
彼の名前はスンさん“偽名”と言う。この付近ではとても有名な方で、2002年頃から滞在しているとのこと。
手には中国伝統の楽器、”二胡(二弦の弦楽器)”らしき物を持ち、それをまるで手足のように扱っている。
彼の音楽は、何かしら哀愁漂う、人々の心の奥まで響いてくる曲であった。私はこの曲を、“ノスタルジア”と名づけてみた。
ちなみにスンさんのご職業は、音楽家ではないのだ。彼は、
卖艺 乞丐 (芸人乞食)
である。
中国では、激しい貧富の差、社会福利の未発達等から、数多くの乞食が存在する。
スンさんも、彼らの中の1人なのである。
しかし彼は、人にお金を乞ってはいない。恐らく自身で楽器を作製し、そして独学で楽器を学び、その腕で、生計を立てているのだろう。
私たちは、どうして彼を乞食と呼べよう?彼こそまさに、 ”芸術家” ではないだろうか?
周りを良く見てみると、彼の偉大さが良く分かる。誰一人として、彼に注目している人間がいないのだ。
これは、彼は無視されているわけでは決してない。スンさんにとって重要なのは“音楽”。彼は、自分の気配を完全に消し、純粋に“音”のみを聴衆に提供しているのだ。かなり高度な技術である。
しばらくすると、彼の存在に気づいてしまった1人の女性が、スンさんの側に寄ってきた。しかし彼は、一心不乱に、“ノスタルジア”を奏で続ける。
こちらに彼の傑作を準備したので、興味がある方には、ぜひ聞いていただきたい。
悲しく、切ない気持ちが、胸いっぱいに広がってはいかないだろうか?
彼の目の前には、”バケツ”らしきものが置いてある。底は良く見えないが、あまりお金は入っていなさそうだ。彼にとって、お金は重要ではない。音楽こそ、彼のすべてなのだ。
しかし、今現在彼が持っている曲数は、かなり少なさそうだ(1曲のみ?)。今後の曲開発費用にと、私はそっと “1元札(約15円)”を彼の “バケツ” に落としてきた。
春の訪れを感じた一日だった。
中国ヘンテコ百科事典 頁3
卖艺 乞丐 (芸術乞食)
may4 yi4 qi3 gai4
(マイ イー チーガイ )
~生きる文化財~(in 北京)~
ヘンテコ度 ★★★
気になる度 ★★★
その楽器売って欲しい度 ★★★★
注意:最高は5つ星。最低は1つ星。
頁4へ続く・・・・
何かしらの”ヘンテコ”を感じ取った方は、押してみてください。
↓