山下俊一、高村昇、両長崎大教授が福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに任命され
福島県内で講演や説明会を行いました。活動や言及内容を整理し批判したいと思います。

①両教授の活動と言及内容について羅列致します。問題は大きく3つあります。
 ・「低線量被曝リスクの意図的な過小評価」
 ・「チェルノブイリ被害の意図的な過小評価」
 ・「線源(原発)の制御可能性の評価不足」
です。
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 長崎大学HP
 http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/earthquake/support/hibaku/hibaku.html
 福島県HP(3月21日の福島テルサでの講演)
 http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=94F0F867D4B5F69FED42FDF79BB5CE02?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=23695
 同講演のまとめ(こども健康倶楽部HP)
 http://kodomo-kenkou.com/shinsai/info/show/604
 3月30日ラジオ出演の録音
 http://www.ustream.tv/recorded/13743609
 3月24日の長崎新聞インタビュー記事。福島では避難の必要は無いと説明しながら
 地元紙では事故の危険性を認識し妊婦や子供の避難を主張している。
 http://www.nagasaki-np.co.jp/news/daisinsai/2011/03/25103728.shtml
 http://megalodon.jp/2013-0124-0616-00/www.nagasaki-np.co.jp/news/daisinsai/2011/03/25103728.shtml
 4月17日の伊達市での講演でも「年間100mSv以下なら心配ない」と説明を続けています。
 http://www.city.date.fukushima.jp/kouhou/pdf-rinzi/rinzi6.pdf



②低線量被曝のしきい値(あるレベル以下は影響が無い)については議論がありますが、
 放射線防護の立場からは利益の無い被曝を避けることが原則とされています。
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 適切な退避基準やその手法。退避が難しい場合は生活上気をつけるべき点の周知など
 住民の安全を守る事こそが本来の「アドバイザー」の立場だったと考えます。

 日本保健物理学会専門研究会報告書シリーズVol.7 No.2
 放射線安全の新しいパラダイム検討専門研究会報告書
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jhps/j/issn-report/report2010-2.pdf
 放射線の確定的影響と確率的影響(09-02-03-05)-ATOMICA-
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-03-05
 ICRP2007年基本勧告に基づく外部被ばく線量換算係数の計算
 http://www.rist.or.jp/rist/rnews/47/47s3.pdf
 3月28日と29日にかけて飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告
 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No110/iitatereport11-4-4.pdf


③固形癌の潜伏期間は10~15年以上だと推定されます。チェルノブイリフォーラムの
 調査でも検討範囲や精度は限定的だと思います。またそれらですら癌リスクは
 10%/Svと推測しています(ICRPでは約5%/Svとの評価ですがそれよりも厳しい)。
 問題が「見えにくい事」や「まだ見えていない事」を
 熟知した上で「問題無い」と吹聴した点が特に悪質です。

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 ニューヨーク科学アカデミーのレポート
 http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf
 「チェルノブイリ原発事故の調査を通じて学んだこと」京大今中哲二氏
 http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/Pub/41/41-imanaka.pdf


④そもそも「放射線源の制御可能性」が全く考慮されていません。
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 必要な避難措置を妨げることは不測の事態の際の被害を大きくする恐れがあります。
 例えば1号炉の外部電源が復旧したのは4月3日です。今でも大きな余震がくれば
 大量放出の可能性もあります。これらを考慮せずにリスク評価はできません。
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放射線管理や指導に不充分な
・研究・判断能力の低さ

防護がとれず、また被曝に利益の無い住民の保護をかえりみない
・医療モラルの無さ


の2点において両氏を批判するとともに彼らをアドバイザーとして招聘した
・福島県知事には説明責任があると考えます。