私は元々我慢強い方かもしれない。特に「痛み」についても大抵の事は我慢できる自信がある。
例えば鎖骨骨折くらいだと「ちょっと痛いな」と思う程度で柔道の試合に出た事もあったし、
かかとの骨を亀裂骨折し歩けない状態の時もイザ試合となれば100mを11秒で走ったりもした。

しかしながら、病院に行く直前の癌の痛みはこれらの例を遙かに上回る「痛み」だったと思う。
最初に整骨院に行った時は「背中から胸にかけて鉄の塊が1kgぐらい埋め込まれている様な痛み」
と医師に訴えた。(しかしこの時は胸部レントゲンのみで「異常なし」と判定される)

問題はこれ程の痛みをなぜ我慢できてしまうか?である。
いくら私が我慢強くても、もう少し早く病院に行くべきではなかったか?

恐らく「セキ」もそうなのかも知れないが、癌の痛みの特徴は数ヶ月かけ非常にゆっくりと増悪
してゆく。例えば骨折などはある日突然痛みが現れる。我慢強さに関係無く「異常である」と
明らかに判断できる。

しかし癌は非常にゆっくりと進行するため「昨日と今日の差」は非常に小さい。天気や仕事の変動
に隠れ、「何かおかしいな?」と思いながらも相当悪くなるまで我慢できてしまう。
・起きあがる時にテーブルなどに手をつくようになる。
・荷物やバックが右手で持てなくなり左手で持つようになる。
・くしゃみをした時に胸全体が張り裂ける様に痛くなる。
・寝返りをうてなくなり、決まった姿勢で寝るようになる。

そんな「異常な状態」に陥りながらも自分なりに工夫し、対処しながら仕事や日常生活を続ける。

癌の症状に他とは違う特徴があるとすれば以下の3点ではないだろうか?
1.徐々に、そして数ヶ月単位の長期に渡り、ゆっくりと悪くなる。
2.安静にしても楽にならない。呼吸器の場合むしろ横になった状態の方が痛みが増す。
3.(かなり酷い状態でも)我慢できる。

特にタチの悪いのはこの「我慢できてしまう」点であろう。病院で1日中セキをしている患者も
「いやあ、症状は大した事は無いんだけどね、、、」と言う場合が多い様に思う。

40歳以上の喫煙者(経験者も含む)で心当たりのある方は検診を受けてみては如何だろうか?