重粒子線治療の適応性は放医研ホームページに詳しい。本来、私があえて言及する必要は無い。
しかしながら私なりに散見した「よくある不満と失望」を記載する。

1.転移が複数箇所以上ある場合適応できない。
 先進医療(有料化)に移行後は、転移巣であっても「局所」であれば検討可能性がある。
 が、2~3カ所以上に病巣が確認される場合はまず適応から外れる。我々素人の感覚では
 「無制限に撃ってくれれば、、」と思うが、放射線による二次リスクや治療による酸化
 ストレス?等の影響など、予見できない悪化も考えられ慎重にならざるを得ない様である。

 「2カ所まで」か「3カ所まで」かは個々の症例による様であるが、いずれにせよ現状では
 適応になり難い。私個人の意見としては照射総量とタイミング、抗癌剤とのコンビネーション
 を研究する事で今後この適応範囲は拡大しうると考える。早期の研究積み上げに期待したい。

2.他に有効な治療法がある場合適応されない。
 例えば乳がんは「有効な治療法が確立され成績が良い」という理由で適応はおろか研究対象
 からも外されている。これも個人的には異論があるが現状では受け入れていない様である。

3.患部に手術や放射線の治療歴がある場合も適応されない。
 「以前40Gy照射した部分から再発した。残り20Gy照射して欲しい」という相談である。
 臨床試験の段階を終えつつあるとは言え、やはり晩発障害についての議論は残されており、
 現時点では他の放射線との「区別」という意味で適応から除外している様である。
 また追加照射の場合、自ずと線量は制限されるので確かに効果という観点からも適切では
 無いかもしれない。

以上が重粒子線治療を希望したにも関わらず適応から除外される主な理由である。
「やや慎重過ぎる」様にも感じられるが医学的・物理的には正当な除外理由かも知れない。
これまでの治療実績と(陽子線も含め)重粒子照射によるリスク評価の進捗状況を考える
とやむを得ない部分もある。

ただし私が患者の立場になって感じ、見聞きした「真のハードル」はそういった合理的、
科学的な理由よりも別のところにある場合が多い様に思われた。すなわち、
・「医師の壁」と
・「コストの壁」、
である。私自身の治療経過からは多少横道にそれるが、次回と次々回記事で述べたいと思う。