放射線治療の主な有害事象は照射後30日から90日頃にかけて発現する。
60日目のこの段階で評価するのは時期尚早であるが、予想される有害事象が概ね出そろった感が
あるのと、2回目の抗癌剤治療に入るタイミングを計る為、速報版としてまとめる事にする。

1.添付図は重粒子線治療開始前から照射後の血液検査のまとめである。
 結果として白血球系に対しある程度の骨髄抑制が発生している。ただし私のケースでは抗癌剤
 を「これ以上はあり得ない程」投与し3ヶ月足らずの休薬期間しかとっていない。さらに
 (普通なら)かなり胸骨が被爆する照射領域である。いわば最悪の状況の中でこの程度の低下
 で済んだと評価できる。がんセンター主治医の判断もほぼ同様「問題ない」との事であった。
HIMAC血液


2.皮膚障害は(ダサイ身体な為、写真は伏せるが)照射終了後15日頃が最悪であった。
 表現は難しいが「5月のかなり暑い日にポロシャツ1枚でゴルフに行った時の胸の日焼け」
 程度と言うのが丁度良いと思う。放医研担当医に言わせると私の場合は照射部が表面に近く、
 「かなり焼けた方」らしいが、それでも日常生活に支障が出る程では無かった。

 ただし、通常の日焼けなら2~3日で鎮静化すると思われるが、照射部分の場合は2週間程度
 をかけ非常にゆっくりと回復した。「キズが治りにくい」と言われるのを理解した。気がした。

3.食道粘膜の障害、は自覚症状では「実際何も判らない」。私の場合食道にも15Gy程度は
 浴びた部分があり油断は出来ない。が、飲み込み難いとか、ノドが詰まった感とかは結局何も
 感じなかった。照射後30日頃(1月末)まで真面目にアルロイドGを食前に飲んだ。
 辛いモノ、熱いモノも控えた。寝る前3時間は食事はしなかった。それらが功を奏したのか?
 は結局判らない。が、その程度の注意で済むのならお安い御用である。

4.肺繊維化は照射終了後1ヶ月頃から出始め、3~6ヶ月頃に出そろう事が知られている。
 但し私の場合、画像診断上何の兆候も出ていない。さらに繊維化の指標となるKL-6という
 血液検査項目にも何ら変化が無い。いずれ生じるのは確実であるが、その程度は非常に軽い?
 という評価であった。

結局1月末の定期検診とその前後の国立がんセンターでの検診・判断を総合すると、
・照射効果はかなり期待できる。
・その一方で有害事象はかなり軽い部類に入る。次回治療に対し制約を与えない。

という理解が速報値からは得られた。
私としては期待通りの治療成果である。さらに(恐らく)有用な臨床データも得られ満足である。

ただひとつ後悔があるとすれば、病院に行く機会を逸し、1月15日頃の血液データが抜けて
いる点である。この頃は皮膚の日焼けがピークであった。また運動不足と言われればそれまで
だが、若干の「立ちくらみ」を風呂上がりなどに感じた時期であった。

データが飛んでいるので赤血球系は殆ど骨髄抑制が無かったかの様なプロットになっているが、
この時期にデータ収集をすれば、多少の低下はあったのではないか?と想像している。
非常に残念である。