2007年11月27日:インフォームドコンセント

放医研主治医等と本人及び家族の間で説明会を実施。

・検査の結果再燃部は1カ所のみである事が確認された。

・重粒子適応審査会、倫理委員会等の審査で承認され、予定通り12月11日から照射を開始する。

・照射は12回、胸から9回、背中から3回。1回4.5Gy/E(光子等価グレイ)で合計54Gy/E。
 ビームエネルギーは胸からは290MeV、背中からは350MeV。それぞれに減速材、フィルターが
 入り、腫瘍の形に添って照射する。原発が大きかった為、空間的なマージンを5mm程度取る。

・生物学的効果RBEは「3」で評価している。この値は現在も議論が継続中。確定したモノでは無い
 が、一応の目安として用いている。同じ照射線量当量[単位はSv]でも重粒子は3倍の「効果」が
 あるという考え方である。RBEはX線を「1」とおいた相対値。通常のX線の放射線治療に換算
 すると今回の照射線量は18Gyしかない計算となる。

・肺癌に関しては500例程の実績がある。(逆に言えば世界で500例しか無いとも言える)
 照射方法や部位等にもよるが現在のプロトコルになってからの制御率は9割前後。

・1993年からのI相/II相臨床試験では「安全性」と「効果」が研究された。光子等価グレイ60Gy
 を基準にし線量を変える試験を行い現在の「54Gy/E」は決められた。次に分割回数を変化
 させる試験を行い「12回」が最適である事が確認された。
 (現在では肺末梢部に対しては1回4方向、計44Gy/E照射を実施している。)

・線量増加試験では80~90Gy/Eの照射例もあり、1~3%に「穿孔」などの有害事象例があった。
 それらは殆ど消化管、膀胱、尿道など「空洞がある臓器」が照射野に近い場合に起こった。
 外科的処置で対処できたが、その後の試験でそこまで強度が必要ない事が判って以降、重篤な
 有害作用は殆ど起きていない。

・今回もそれほど心配はないがどうしても食道に少し照射野がかかる。念のためアルロイドGを
 毎食前に飲む。また極端に辛いモノ、熱いモノ、寝る前の食事、など一応禁止とする。
 照射後はキズが治りにくく、粘膜が傷つくのに注意。最悪の場合潰瘍等も起こりうるので油断
 しないこと。皮膚もあまりゴシゴシ洗わないこと。

・骨髄抑制も現プロトコルでは殆ど起きない事が判っている。ただ今回は患者本人の希望もあり、
 毎週採血を行うこととする。胸骨にかなり掛かるので多少の変化はありえるかも知れない。

再来週からいよいよ本照射である。