トランプ次期大統領のツイッター攻撃に、GMは反論しメキシコ投資を続け、フォード、クライスラーは米国内への投資を表明した。
WSJ 1月12日
トランプ氏、GMに米での工場増強求め圧力
http://jp.wsj.com/articles/SB12198237174475043532204582553713116092558

トヨタもメキシコ工場への投資(カローラ年20万台2019年稼働)に着手していたが、トランプ氏は、ツイッターでメキシコではなく米国に投資するよう訴えていた。トヨタの豊田章男社長は、1月9日北米自動車ショーで、今後5年間に米国で100億ドル(約1兆1600億円)を投資すると表明した。トランプ氏の脅迫に屈して豊田社長が米国投資表明をしたとの批判も見受けられるが、よく考えるとトランプ氏の発言は、トヨタをビッグスリーと同列に扱い「良き市民」として受け入れることになったと解釈できる。(麻生副総理も同様の見解)

トヨタは、2009年、リーマンショックの影響を受け営業赤字に転落、そして2010年には運輸省や米議会がトヨタ・バッシングを行い、世界一位の座を目の前にして、新規投資を断念していた。1980年代からの日米自動車貿易摩擦で、日本の自動車メーカーは自主規制を余儀なくされ、さらには現地生産への道を歩んだ。問題は、GM、フォード、クライスラーのビッグスリーの競争力が劣り、小型車は日本車を含む輸入車にとって代わった。ビッグスリーは利幅の大きいピックアップ・トラックの大型車を中心に生産し、米政府は、大型車の関税を4%から25%に引き上げた。2013年2月22日の安倍首相・オバマ大統領会談において互いのTPP交渉の聖域を認め合った。日本の場合は農産品、米国の場合は工業製品、つまり自動車であった。

今回の豊田社長の100億ドルの投資表明は、米国内においてシェアを拡大することを意味し、ビッグスリーにとっては不都合な投資である。トランプ氏のツィートは、ビッグスリーと同じようにトヨタを米国のパートナーとして認めていることになる。つまり、トランプ氏はトヨタに米市場での自由な営業を認めたと解釈して良い。なお、トヨタは、北米本社を、バッシングに協力したカリフォルニア州からテキサス州に移転、本年春の移転完了を目指している。(100億ドルにはこの本社移転集約費用も含まれている)


麻生副総理も「米国の投資で、トヨタはもうかると踏んだ」と分析。「どこで(投資を)やろうとしているかは知らないが、(大規模投資は)方向としては間違っていない」との認識を示した。

産経 1月10日
トランプ次期政権にらんだ判断と支持相次ぐ 麻生太郎財務相「目の付け所悪くない」
http://www.sankei.com/politics/news/170110/plt1701100032-n1.html
日経 1月10日
トヨタ「米で1.1兆円投資」社長表明 トランプ政権にらむ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN09H5T_Z00C17A1000000/


デトロイト及び米政府との苦闘の歴史
トヨタ自動車75年史第1節 対米乗用車輸出の自主規制から
https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/text/leaping_forward_as_a_global_corporation/index.html

2009年~2010年トヨタ・バッシング(Wiki)
トヨタ自動車の大規模リコール
http://bit.ly/2j2FWMw


トヨタ 2014年広報
トヨタ、北米本社機能をテキサス州ダラス北部に集約
http://newsroom.toyota.co.jp/en/detail/2350970
日経 2014年2月28日
マツダもメキシコに工場を建設
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2800Y_Y4A220C1EB2000/
週刊ダイヤモンド 2015年4月16日
トヨタもメキシコに新工場を建設、稼働は2019年
http://diamond.jp/articles/-/70255
FUTURUS 2015年5月25日
トヨタは、2019年まで待てず、マツダのメキシコ工場に年5万台のOEMを依頼
http://nge.jp/2015/05/25/post-105721