2月25日、TPPシンガポール会合は、妥結せず先送りになった。

共同通信英文記事
http://www.globalpost.com/dispatch/news/kyodo-news-international/140225/tpp-members-give-agreement-singapore-new-goal-eyed-may

 5月17,18日の中国青島でのアジア太平洋経済協力フォーラムで並行して協議すると消息筋が語っているが、2日間の会合でしかも中国をはじめとする非TPP交渉国が参加している会合ではTPPの妥結までの交渉は不可能に近い。この5月説は、4月のオバマ大統領アジア歴訪ではTPPに触れないための作戦と思われる。米議会の動静から、11月の中間選挙が終わるまで、TPA(貿易促進権限)の審議はほぼ行われないことになり、従ってTPP公式交渉も先延ばしになることが確定したことになる。


 その最大の障害は、オバマ政権がTPA(貿易交渉権限)を持っていないことであり、交渉参加国の信頼を得ることができないからだ。下記ロイターの記事にそのことが掲載された。


ロイター「終わりの見えないTPP」
http://uk.reuters.com/article/2014/02/25/uk-trade-pacific-tpp-idUKBREA1O0C220140225

 オバマ大統領は身内の民主党からTPA反対にあっている。それがなければ、議会があらゆる取引を変更することが出来ると参加国は心配している。しかし、会議の中ではその議論をしなかった。とTPA問題を報道。


さて、1月9日に提出されたキャンプ・ボーカスTPA法案の共同提案者になる民主党員は、ボーカス前委員長(現中国大使)以外一人もいなかった。民主党幹部のリード上院院内総務、貿易所轄の上院財政委員会のワイデン委員長、ペロシ下院院内総務及び160名近く(共和党を加えて187名)の下院議員が、このTPA法案に反対している。


 さらには、2月14日の民主党非公式会合では、バイデン副大統領がペロシ院内総務に「TPAの話はないよ」とささやいた。

2月14日米民主党非公開会合のニューヨークタイムズの記事
原文
http://www.nytimes.com/2014/02/15/us/politics/biden-remark-casts-doubt-on-pillar-of-us-trade-agenda.html?_r=0
翻訳者
http://geopoli.exblog.jp/22114752/

この翻訳では、重要な会話が省略されている。
 バイデン副大統領がペロシ院内総務に、TPAに関し「ナンシー、その話はないよ」とささやいた。
At another point, the vice president glanced at the House minority leader, Representative Nancy Pelosi of California, and in a specific reference to trade promotion authority, said, “Nancy, I know it’s not coming up now,” according to a person in the room.


 一方、共和党は「自由貿易」に賛成の議員が多いが、昨年より「オバマ大統領にこれ以上の権限を与えたくない」というティーパーティ派のTPA法案反対が増えている。


「ティーパーティ派の自由貿易に対する考え方」

 ティーパーティ運動の幹部が、The Hill紙に「自由貿易」に関する認識を投稿した。保守勢力やティーパーティ派を含む共和党は、「自由貿易」と言う言葉にほとんどパブロフ的な反応を示し、その背景を考えないと指摘している。新自由主義を唱えるティーパーティ運動の幹部も目覚めたか? これは、ますます、キャンプ・ボーカスTPA法案の反対派を増やす活動になる。


The Hill紙2月24日
Tea Party Nation(ティーパーティ運動の一部の組織)のJudson Philips会長の投稿


貿易とティーパーティ派;ワシントン消息筋は手がかりがない状態
http://thehill.com/blogs/congress-blog/foreign-policy/198942-trade-and-the-tea-party-washington-insiders-remain


 遺憾ながら、「自由貿易」と言う言葉にほとんどパブロフ的な反応を示す保守運動がいくつかある。「自由貿易」と規定されるものがあれば、考え無しに、そのラベルの背景に何があるか調べずに支持する。

これは、ファストトラック(TPA)とTPPの話である。

 TPPは現在密室で交渉されている自由貿易協定である。共和党組織は、秘密であり、議論できない内容を含む協定支持を推進する。
 先週、ケイトー研究所のビル・ワトソンは、ティーパーティ派は自由貿易を支持すると主張した。ティーパーティ運動の一員でない人々がティーパーティ運動の中の人々に、ティーパーティ運動を信じ支持することは、いつも面白いものだ。


ティーパーティ派は、TPPを支持しない。

 なぜ? 二つの別個の問題がある。最初は、「自由貿易」を交渉するファストトラック権限をオバマ大統領に与えること、次に、貿易そのものである。
 TPPはペロシ原則のもう一つの例である。ペロシ原則は、その中にあるものを知るために、議会は法律を通さなければならない、ということである。


これはTPPの物語である。


 TPPが自由貿易とラベルを貼られる背後を見るとき、これが全ての病気を治す魔法の万能薬ではなく、芳しくない成分の有害な混合物だと分かるだろう。それは、貿易交渉権限(TPA)またはファストトラックと呼ばれることから始まる。TPAが大統領が議会を回避するよう明確に作られている。それをその支持者が言っている。

 保守勢力は、オバマ大統領にペンと電話とともにファストトラックを与えること考えている。ファストトラックは、オバマ大統領に、秘密裏に貿易協定を交渉し、署名し、それから議会に既成事実を提示することを許す。
 議会はイエスかノーか投票する限られた時間が与えられるだけで、TPAの下で議会は条約を修正することが出来ない。


オバマ大統領を信用する保守勢力や共和党員がいるのだろうか。


 オバマ大統領は、共和党員や米国民に何回嘘をついたであろうか。オバマ大統領へのファストトラック権限を与えることに反対する保守勢力とティーパーティ活動家は、TPPをオバマ貿易と称しはじめた。そして、「もし仕事が好きならば、仕事を維持することが出来るか」というスローガンを使い始めた。


 保守勢力と共和党員は、可決された法律の書き直しや好んでいない現行法の不実行などのオバマ大統領の違憲行為について、頻繁に大きな不満を言う。
なぜ、健全な保守勢力や共和党員がオバマ大統領に特別の権限を与えるのか。その権限は、特に憲法により議会に留保されたもの。


 そして、TPPが自由貿易でないという事実がある。それは、せいぜい特別利権と企業管理貿易である。TPPは秘密に交渉されている。これらの交渉が実施されている間、特別利権と大手企業は、交渉のテープルの席を与えられている。
実際のアメリカ人は、ウィキリークスを通して何が提供されたか知るだけである。


 伝統的な貿易協定は、二つの問題、税金と関税に対処してきた。少なくとも我々が知っているTPP協定の1/4以下は、税金と関税を取り扱っている。その残りは特別権益のための特別な取引である。さらに残りはお仲間社会主義だ。


自由貿易が存在する。

我々は、合衆国にそれを持っている。国境を越える自由貿易があり、ティーパーティ活動家と保守勢力は自由貿易のこの形を好む。ティーパーティ活動家は自由で公正な貿易を好む。また。我々は、国境と自国を好きだが、生まれた国に対する忠誠心がなく納税者資金による財政援助と特別な恩恵を得るために大きな政府を使うことにたけている世界企業を嫌う。


 おそらく、開放性と正直さに対するオバマ大統領の記録より悪い唯一のものは、合衆国のための多くの交渉の実績だ。彼が在職して以来、交渉したあらゆる国際的な協定は失敗であった。どうして、TPPが少し異なると思わなければならないのか。TPPは多く異なるのかも知れない。誰が知っているのか。