前々回、前回にわけて米韓FTAの概要(サマリー)を紹介した。このサマリーは2009年から米国通商代表部(USTR)がHPで公表していた。日本におけるTPPや他国のFTAに関する議論は、政治家、財界、マスコミ、評論家が原本を見ずに、推定と虚報による議論を繰り返している。原本を知っているのは、関係する官僚であろう。彼らは、どのような意図かわからないが、これらの日本にとって都合の悪い事実を隠し、TPP参加を煽っている。日本および日本人の利益(国益)を考えて行動しているとは思われない。ネットにおいても不確かな情報による消耗戦が行われている。元の情報がどこにあるか考えてみたら、その場所にたどり着くのは容易である。あとはその資料を根気よく調べるだけである。日本のマスコミ情報やネット情報もあてにしてはいけない。特に報道のプロの不勉強と知性の劣化が目に付く。(コピペと創作の世界である)
 なお、このブログのリンク、コピーは自由です。拡散をお願いします。

 その根気も切れてきたので、今回、USTRの米国民への説明資料を掲載してこのシリーズを終了する。


Learn Key Facts About the U.S.-South Korea Trade Agreement
http://www.ustr.gov/uskoreaFTA/key_facts

 仕事をつくり家庭を維持することは、世界への商品サービスの輸出の能力により支えられている。アメリカは、1960年から2010年にかけて、GDPに占める輸出額の比率を2倍にした。2010年において、輸出産業は920万人の雇用を支えた。輸出産業に係わる人びとの賃金は、全国平均より13~18%高い。新しい輸出は、仕事を増やす。
 今回の韓国との貿易協定の批准をオバマ大統領が喜んでいる理由である。
国際貿易委員会(ITC)は、米韓貿易協定の関税削減により、100~110億ドルの輸出を増やし、少なくとも7万人の雇用を増やすと見積もった。
 また、貿易障壁を壊し韓国における知的所有権保護の強化を実施させることによって雇用が追加される。
この協定により、開放された5800億ドルの韓国市場にさらなる輸出が期待でき、配送サービス、技術、法律、会計、教育、健康管理に従事する米国人の雇用も追加される。

キー事実

「米国の自動車産業労働者のため(詳細リンク先の内容を記載)」2011年2月の合意
http://www.ustr.gov/uskoreaFTA/autos
・安全基準
 韓国内で販売される25,000台以下の米国製自動車の安全基準は米国規準を優先。
・環境基準
 2011年において既に厳しい米国基準を採用している。米国規準を適用。
・税金
 韓国はエンジン排気量による税制を改める。燃費、温室効果ガスに関する税制改訂についても検討する。
・透明性
 2007年協定では、韓国が不必要な規制を作らないために、早期警戒システムを設置することに合意したが、 2011年次の二項目を追加。
  規制改正をする場合は、対応準備のため12ヶ月の猶予を自動車会社に与えること。
  現存する規制が最少の負担になるようにその目的を確認するため、規制公示後24ヶ月以内に新しい評価システムを開発すること。

韓国における均等性(2011年協定)
・自動車関税 
 米国は、協定発効後5年間 2.5%の関税を維持。韓国は、直ちに8%を4%に、5年後以降はゼロ。
・トラック関税
 米国は、協定発効後8年間25%、その後10年で段階的になくす。
・電気自動車
 韓国は、協定発効後直ちに8%の関税を4%に下げる。

米国自動車産業の保護(雇用維持)
 韓国製自動車の輸入急増に対する米国自動車産業保護のためのセーフガード(2011年追加)
・このセーフガードは、韓国自動車の関税撤廃後10年間有効。
・このセーフガードは、関税引き下げや他の補償の同意を得られなければ、米国は2年間報復を受けない。
・米国の自動車産業に深刻な被害を与えた場合、特定の自動車に対して、セーフガードが適用される。
・セーフガードの適用は、特別な場合4年以上、一般的には3年の高関税を課す。
・セーフガード適用中の関税の引き下げはない。
・韓国における米国製自動車が、韓国による協定の違反、破棄、障害を受けた場合、米国政府は、韓国製乗用車に2億ドルの税金をかける強力な救済を行う。
 (Snap back)
 
「米国製品の輸出増大」
 医療機器、情報技術、環境製品、機械の米国製造業は、韓国市場において販売、関連する仕事が受け入れられている。 米国生産品の80%は韓国に輸出し、全米製造業者協会によれば、2008年韓国への輸出にかかわる雇用は23万人であり、今回の協定で追加される雇用は商品輸出だけでも7万人以上増加する。  

「農産物」
 米国国際貿易委員会によると、主要な穀物、油種種子、繊維、果物、野菜と畜産物の売上高増大は、19億ドル~38億ドル期待できる。 韓国は、米国産牛肉の5番目の輸出先で、2010年、農産物53億ドルを購入した。韓国は、2009年から2010年140%増加し、5.18億ドルの米国産牛肉を購入した。
 
「サービスの販売」
 米国は、金融サービス、配送サービス、法務コンサルティングや会計サービス、健康医療や教育など、サービス輸出の世界的リーダーである。 韓国との個人サービスの2010年貿易収支は、73億ドルであり、さらに商品輸出で増加する雇用7万人以外に、多くの仕事を米国人に与える。

「競争市場」
 米国は、韓国にとって最大の貿易パートナーになる。韓国にとって、2003年以来、中国、日本、EU、次の4番目が米国である。(以下省略)

(終わり)