髪の毛ダイ・ハード | 芯の現実からのプリズンブレイク SEASON4

芯の現実からのプリズンブレイク SEASON4

前回までのあらすじ
現実から脱出した俺たちだったが、
新手の追ってが現れた。
彼らは通称FBI(Fantasy Breaker Institution)
幻想破壊機関と呼ばれ、俺たちを現実に引き戻そうとする。
やれやれ……まだまだ現実からの逃避は遠そうだ。

髪型変えたい? ブログネタ:髪型変えたい? 参加中
本文はここから



自分の体の特異性に気付いたのは、

小学校5年生の時だった。




それまでは、自分の事をごく普通の子どもだと思っていた。




ちょっとだけ勉強ができ、


ちょっとだけスポーツもでき、


ちょっとだけかっこいい



そんな、ごく普通の子どもだと思っていた。




しかし、僕は普通の人と違う時間の流れを生きていた















髪が伸びるのが早すぎる!





大げさな出だしを早々と裏切る形になって

非常に申し訳ないと思うのだが、

今日の内容は僕の愛するべき髪の毛たちである。




とるに足りない不毛な話である。





不毛な話ではあるが、

まだ毛はちゃんとあることだけは報告しておこう。




しかし、齢二十余りにして、

僕の髪の毛は飛ばし過ぎだ。




小学校の時のマラソン大会で

スタートの合図と同時に

まるで100メートル走を走るペースで飛び出すが

すぐにバテて、みるみる失速して

あられのない姿になっていく同級生を見たことはないだろうか?



僕もその一人なのだが、

重要なのはペース配分である。




呪いの人形を見たことがあるだろうか?


本来、人形なのだから髪の毛が伸びるなんてありえない。


しかし、呪いの人形は

人が違和感を覚える速度で髪の毛が伸びていく。



まぁ呪いの人形はオカルトの類であるから

実際にそんな物が存在するかは分からない。



僕の髪の毛の伸びるスピードは

目に見えるくらい速いと考えてくれればいい。



もしもオリンピックで髪の毛が伸びるスピードを競う競技でもあれば

金メダルも夢ではない。



その悲願達成の折には、その金メダルを

加工し金髪にでもしようと思う。



髪が伸びるのが早い分、

美容室に行くと割と短めに切ってもらうのだが、

切り終わった後に美容師さんから

「誰?(笑)」

「僕です、僕!切ったのあなたでしょう?」

という、お決まりのコントが毎回繰り広げられている。




話を本題に戻そう。



僕の愛するべき髪の毛たちは

ペース配分を誤ったばかりに

後半失速するのではないだろうか?



まだ髪の毛があるのだから

なんて贅沢な悩みだなんて思われるかもしれないが、


悩みに贅沢も質素もない。




ひょっとしたら、NO WAR の前に NO HAIRになってしまうかもしれない。



僕の愛するべき髪の毛たちは

ある日突然、神隠しのようにいなくなってしまうかもしれない。



文字通り「髪隠し」だ。




そうなったら僕は全力で彼女たちを探すだろう。


街の路地裏、公園のベンチの下、


そんなところにいるはずもないのだが。





「頭隠して尻隠さず」という言葉があるように

もしかしたら、お尻よりも頭を隠したくなる日が来るかもしれない。



植毛が経費で落ちるのかは

僕にはよく分からない。



だから、もしもの時は

大人しくスキンヘッドにしようと思う。


ブルースウィリスのような強面(こわもて)の

ダンディになるのも悪くない。



その時は、

こわもて委員長にでもなろうと思う。





(終)