映画『お転婆三人姉妹 踊る太陽』 | leraのブログ

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映画『お転婆三人姉妹 踊る太陽』





 10年以上観たかったがどうしてもスクリーンで観られなかった作品。





昨年石原裕次郎のDVDボックスセットがリリースされたときにその中に含まれ、日活100年の記念事業でDVD化された。スクリーンで観ることを諦めDVDを買った次第。但し公開作品は「コニカカラー」(小西六のカラーフィルム)の天然色だったが、モノクロームネガフィルムしか現存していなかったので、DVDはモノクローム。








 1956年公開の井上梅次監督の珍品!日活オールスターのミュージカル。





 ファーストシーンは日暮里と見える駅、その駅前にある洋風の家に三姉妹が住んでいる。


 大学生で学生バンドでジャズを歌っている長女がペギー葉山、ダンス学校でダンスを習っている次女が芦川いづみ、ベレー帽にジャンパースカートの制服の高校生の三女が浅丘ルリ子。浅丘がメガネっ子でとってもキュート。芦川いづみは活発な美少女。母親が轟夕起子で夫のバンマスを失ったので、三人の娘たちが結婚相手を探すというコメディ。





三人姉妹それぞれのボーイフレンドが、フランキー堺、岡田真澄、石原裕次郎でみんな歌い踊る。フランキー堺は学生服に学帽を被っており、岡田真澄は超モダンな服装で、石原裕次郎は店の前掛けをしてラビット(分かるかなあ?スクーターのこと)に乗っている。   


フランキーは見事なボンゴ演奏をする。そのときジョージ川口がドラムスを叩き打楽器合戦になる。キャストロールではビッグフォーとなっているので、中村八大と松本英彦もいるのかもしれない。











再婚相手候補が三女の通っている女子校の副校長の安部徹。


安部徹と言えば東映の任侠モノでは悪役で欠かせない人。彼のベビーフェイス役を私は初めて見た。彼は空襲で妻を失ったらしい。戦争の影が違和感なく語られる時代だ。





とにかく女性達のファッションも見物。ユニークと言えばユニーク。








後半は姉妹の父親を偲んだショー仕立てとなり「踊る太陽」となる。





三人姉妹、南田洋子、北原三枝、月丘夢二、新珠美千代、フランキー堺、石原裕次郎、岡田真澄、皆歌い踊る。青山恭二までもが歌い踊る。


たまに観客席にいる轟と安部が写るが、ショーが終わると同時に映画も終わってしまう。











爽やかな作品だし、邦画ファンにとっても興味深い作品。


三人姉妹がタバコをスパスパ吸うシーンはケッサク。女子生徒をおぶる副校長もケッサク。素人が集まって作ったミュージカルといった印象で好感を持てる。





やっぱり芦川いづみがいいなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…


確かに珍品だが、愉快な珍品であり、是非カラーでスクリーンで観たいと思う。











監督・脚本・作詞:井上梅次、製作:水の江瀧子、音楽:多忠修、ショー構成:和田肇、撮影:岩佐一泉 


助監督は舛田利雄で美術は松山崇。