映画史に刻まれる、最も切なく、最も純粋な愛の物語がそこにあった。
「ラ・ラ・ランド」とプレゼンターが間違えて発表した後、「ムーンライト」と言い直された。
自分の居場所を探し求める主人公の姿を、色彩豊かに圧倒的な映像美と情緒的な音楽で綴ったこの物語は、北米で大ヒットを記録し、第89回アカデミー賞では、8部門にノミネートされ、3部門を受賞した。
また、LGBTQをテーマにしたラブストーリー作品、そして、黒人だけのキャスト・監督・脚本家による作品が、アカデミー賞作品賞に輝いたのは史上初であるのだ。
自分が何者かを探し、そして自分を愛することができたとき、初めて誰かを愛することができる。
主人公のシャロンの、あまりに純粋すぎる一途な想いに、世界中が瞬く間に虜になった。
名前はシャロン、あだ名はリトル。
内気な性格で、学校では「オカマ」とからかわれ、いじめっ子からは標的にされる日々。
シャロンの母親は、麻薬中毒者。
何かから逃げるように生きていた幼少期。
青年期、「泣きすぎて、自分が水滴になりそうだ」と、シャロンは話す。
唯一の友人であり理解者のケビィンと、月明かりが輝く浜辺で、二人は愛し合う。
そして、3人目の成長したシャロン…ブラックという呼称で呼ばれていた。
この映画は、1人のシャロンを、成長に合わせて3人で演じてあるのだ。
忘れられない一途な想いを、シャロンはケビィンへと告発する。
この映画の原作は、戯曲「月の光の下で、黒人少年は、美しいブルーに輝く」
「ラ・ラ・ランド」とプレゼンターが間違えて発表した後、「ムーンライト」と言い直された。
様々な憶測や、差別的な印象も社会に与えた。
しかし、事実は事実であり、紛れもなく、オスカーは、ムーンライトであった。
その素晴らしさを、少し切なくご覧いただきたいのである。