山田洋次監督は、映画「東京家族」に出演していた８人の俳優さん達と、「もう一度、このチームで映画を撮りたい」という思いで生まれた作品だという。
４０年以上も前に、新宿の映画館で、「男はつらいよ」第１作を、観客が大きな声出笑ってくれたのを昨日のことのように覚えていると山田監督は話す。
前回の「家族はつらいよ」では、「熟年離婚」がテーマ。
そして、今回の「家族はつらいよ２」では、「無縁社会」がテーマだそうだ。
家族とは、最も近くにいる存在であり、みんなが同じ共同体の意識がある反面、一番率直に痛いところを言い合える存在であろう。
以前「ヤマアラシジレンマ」と、精神科の先生が何かの本に書かれていた。
ヤマアラシの家族が、寒い冬に、暖め合おうと、近すぎるとお互いの針でケガをする。離れれば、寒さ目凍えてしまう。
適度の距離感がむずかしい。
後期高齢者の７５歳の橋爪功演じるお祖父ちゃん平田周造。
周造の長男役の西村雅彦は、父親のやることが、すべて気に入らない。
今回は、車をぶつけてばかりいる周造から、「運転免許を取り上げる」という設定から入る。
家族の心配ＶＳ個人の自由。
普遍的な課題だ。
次女の中嶋朋子とその婿林や正蔵。
とても、いい味を出している、騒がしくおっちょこちょいな夫婦。
そして、妻夫木聡演じる頼もしい末っ子と、その新妻の蒼井優。
坂の上のマイホームで繰り広げられる日常の物語。
長男の妻役の夏川結衣が、１番の要である。
実家の祖母と母の介護で大変な蒼井優。
「老老介護」をも、高齢化社会として、取り上げている。
そして、４０年ぶりに再会する、小林稔侍演ずる丸田。
高校の同級生だが、会社も失敗、家族も離婚、７０を越えても、かんかん照りの工事現場で誘導棒を振っていた。
行方がずっとわからなくなっていた丸田との、久しぶりの再会。
激励会を催し、最高に盛り上がったその夜、事態は急変するのだ。
喜劇映画では、「死」を描くのはタブー。
しかし、今回の物語は、そこにテーマを置いている。
その悲劇も、きっと明日は喜劇になると、山田洋次監督は言う。
「家族はつらいよ」も、シリーズ化しそうである。
是非、次回作も期待したい。
今回も、笑わせていただき、ありがとうございました。
笑いに飢えている方、必見の映画である！