凄い試合であった。

ライブで見ていたリオデジャネイロ・オリンピックの「男子テニスの3位決定戦」

錦織圭とナダルの、全身全霊を賭けた試合であった。




1セットに続き、2セット目も2つのブレイクゲームを取り、順調すぎるくらい順調にゲームを支配し、先行した錦織。

誰もが、2セット目で錦織がナダルを破り、銅メダルを取れると思っていた。

ナダルがダブルスで、既に金メダルを取り、蓄積された試合時間は長く、疲労もマックスであり、いくら、これまでの対戦成績が、錦織の1勝9敗であり、ナダルに利があるとしても、2ゲーム先行は、セーフティリードだと思っていた。




しかし、そこから、流れが一気に変わる。


オリンピックに棲むと言われる魔物のせいか?
それとも、錦織がメダルを意識し過ぎたのか?
ナダルの意地か?


みるみる差が縮まり、結果、2セットはタイブレイクで、ナダルが圧勝した。

この時点で、日本時間は8月15日の午前3時過ぎ。

ナダルより、トイレタイムを少し長く取った錦織。

錦織がコートに戻ったのは、ナダルの10分後だった。

会場のブーイングは凄く、錦織にしては、最悪の状態だった。

正直、ここから、流れを引き戻すのは、難しいと思った。





しかし、やはり常人とは違うのだろう。

3セット目、錦織は、まるで人が変わったように、冷静に、静かに、ひた向きなテニスをしているように感じた。


そして、来た。

銅メダルポイント。

彼のファーストサーブを、ナダルは返せなかった。




素晴らしい試合だった。

3セットで勝負が決まるので、他のウィンブルドンや全米等の大会とは違う。

だから、時間的には、長くても3セットで、約3時間。

でも、その中で、勝利の女神が、これほど行ったり来たりした試合は珍しいと思う。



日本の国旗を背中に掛けた錦織を見たとき、自分だけのテニスから、日本の為のテニスに、心底変わったと思った。




表彰式の時に、改めて、日の丸を背負うことの大きさを、錦織圭は感じたらしい。

テニス競技としては、96年ぶりのメダル獲得!

オリンピック。

様々な物語がある。

ただ、自分のことだけではない、もっと大きい何かの為に戦い抜くことの「一生懸命」が、素晴らしい。

国だけではない、自分の生きてきた過程すべて…それこそがネイティブを背負うということ。

だから、感動を呼ぶのである。


結局、寝たのは午前5時過ぎ。

まだまだ、寝不足の日々は続くのかも…。