世界から猫が消えたなら、この世界はどう変わるのだろうか…。

世界から僕が消えたなら、いったい誰が悲しんでくれるのだろうか。

あなたは信じないかも知れないけど、これは僕に起きた本当の出来事です。

…そんな、主人公を演じる佐藤健の言葉から映画は始まる。




この、「猫が消えたなら」という客観的な視点と、「僕が消えたなら」という主観的な視点の違うものが、いつしかリアルに同一のものになっていく原作者の川村元気の才能に驚く。

「告白」「悪人」「モテキ」「おおかみこどもの雨と雪」「寄生獣」「バケモノの子」等のプロデュースや製作を手掛ける36歳。


永井聡監督の、画作りも、とても綺麗で美しく、心に沁みていく。




「明日死ぬ!」と宣告され、この世界からひとつだけ何かを消す。その代わり1日の命を得る。

この悪魔との取引で、「電話」「映画」と、ひとつずつ消していき、自分の命を1日ずつ延ばしていく。

しかし、その都度、消したモノに繋がる多くの自分史の物語まで無くしていく…。

電話で出会った彼女。




映画で出会った親友や、彼女とのデートの思い出。



3つ目は、「猫」を消す。



亡くなった猫が大好きな母親。



多くを語らずに、家族を見守る父親。



母親からの最後の手紙は、愛情溢れるものであった。


大切なものを無くしていくことと、自分が死ぬことは、同じなのかもしれない…、そう思う映画であった。

生きる事へのこだわり…。
大切なものへの執着…。

もう一度、考えてみようと思ったのである。