先日、気になっていた映画『人生の約束』を観た。

人と人が「つながる」ことが、当たり前ではなくなってしまった今の時代に、映画は初監督の石橋冠監督が捧げる、普遍的な『絆』と『再生』の物語。




この映画は、理由が分からないが、気になっていて、いつか観ようと思っていた。

映画には、醸し出す色や、香りのようなものがある。

色に惹かれ、香りに導かれた…。


自分は、この映画で、少し自分を見つめ直したい…そう思ったのかもしれない。




竹野内豊が主演であることも、気になっていた。

以前、自分の友人の冨樫森監督作品である『あの空を覚えている』での竹野内は、とても印象的な演技をしていた。

一瞬で崩壊した家族を、再生させていくというファミリーラブストーリーだった。




今回の竹野内の役は、中目されているIT企業の、「N&Sグローバル社」のCEO中原祐馬である。

会社の売上げや成功にしか意識や興味はなく、かつての親友で、一緒に会社を設立した親友の塩谷航平行をクビにした。

数年後、その塩谷の死を知り、彼の最期の場所である富山県射水市「四十物町」を訪れたところから、本当の物語が始まるのである。



江口洋介は、四十物町総代であり、東京から来て、何でもお金で解決しようとする竹野内とケンカになる!





塩谷航平の忘れ形見や、江口演じる総代との触れ合い、さらには、感情のぶつかりを繰り返すにつれ、次第に中原祐馬の心が変化していく。



航平は、死ぬ間際まで、四十物町の「曳山」を取り返そうとしていた。

四十物町の住民にとって、「曳山」は、自分達の先祖から継承した伝統でありシンボル、そして、町の誇りである。


航平が成せなかった役割を、亡き親友の為に、中原が果たそうとする。










曳山祭の日。

全てのわだかまりや、自分を縛っていた様々な鎖を、ひきちぎり、心を解放する。

生きている人間と、死んだ人間の繋がり。

自分一人では生きていけないという、当たり前のこと。

何かのため、誰かの為に生きること。

そんなことが、気になっていたのかもしれない。

自分と中原がだぶって見えたシーンもあった。


ひとつの確信は、人とのつながりは、「繋がろう!」と、その人自身が本気で想わないと叶わないし、繋がれない…ということ、そして、人はみんなの中で生きるということ。




もうひとつ知ったこと。

石橋冠監督の初映画監督が、この映画『人生の約束』であったということ。

テレビの番組製作を長年やられて来て、特に「池中玄太シリーズ」を担当。

1971年の、「2丁目3番地」は、石橋監督の初連載ドラマ番組。

自分が、小学生の時、どんなに影響を受けたドラマであったか、石坂浩二さんと、朝丘ルリ子さんの新婚生活は、都会の電車生活を、お洒落に感じさせたのである。

このドラマが、自分を「大学は東京へ」と、決定付けた。


考えてみると、監督のドラマも映画も、すべてが、「ヒューマンストーリー」であり、「日常の大切さ」であると思うのであった。

また、映画は、忘れかけたものを、気づかせてくれたのである。