タバコの本数が増えてしまいそうな、西島秀俊演じる倉木尚武公安警部。

妻と娘を亡くし、計り知れない哀しみを背負いながらも、命を賭けて「真実」を追い求める姿に、男の本質を感じる。




地上波のTBSが10話、衛星放送のWOWOWが5話、全15話とういう画期的なドラマ連携を企画・実現した、コンテンツにこだわったテレビ局の取り組みであった。

それが映画へと続く『劇場版MOZU』への布石となる。




ストーリーに、一貫したテーマがある。

「衝動」


モズの早贄。
それへモズという鳥が行う奇妙な習性だ。
モズは捕らえた獲物を枝に串刺しにして
食べることなく、飛び去る。

この習性には多くの説があるが、
未だ解明されていない…。




池松壮亮は二役を演じ、一卵性双生児の弟・新谷宏美は父親から女性として育てられ、それを支え育った兄・新谷和彦は、宏美が死んだ後に、宏美になっていく。

「その衝動は、自分達にしか解らない」と、アイスピックを使う、殺人鬼。
彼らには彼らの物語がある。




『MOZU season1~百舌の叫ぶ夜~』

都心の銀座の繁華街で爆弾テロが発生し、警視庁公安部のエース・倉木尚武の妻
が死亡。

妻の死の真相を探し出す。




『MOZU  season2~幻の翼~』

倉木の妻が関与した、『クラークα作戦』の真実を追って、イワンタイラーを探す。

北海道の孤狼島で衝撃の事実が…。





そして、常に戦後の日本の大事件に関わったと言われる『ダルマ』

その存在は、本当に存在するのか?

倉木の最後の戦いが始まる。








倉木と行動を共にする、明星美希(真木よう子)と大杉良太(香川照之)

二人にも、各々の物語がある。




各々の人間が持つ、要り組んでいく物語。

どんなに複雑化していっても、倉木の信念は揺るがない。
ある意味、痛いくらいの信念。




闇に向き合う倉木。
辿り着いた『ダルマ』




今、『MOZU』が、何故こんなに、この時代に話題になるのか…。

たぶん、着飾っている現代人や、表面だけ取り繕っている現代人に対して、人間が本来持つ本能の根源が『MOZU』によって表現され、忘れ去られた人々の奥底の感情に火をつけたのかもしれない…そう思った。

監督をされた、羽住英一郎氏と、次にお会いした時に、いろんな話をしてみたい。


『ムービーオンやまがた』では、現在絶賛上映中☆