高倉健…81歳。
男が惚れる、男が憧れる、そんな生き方や歳の重ね方をしている。




205本目の出演映画『あなたへ』は、現在公開中である。

昭和6年、福岡県生まれ、明治大学卒業後、東映から24歳でデビュー。

自分の父親と同じ年の生まれである。

東映では、任侠シリーズが大ヒットした。
約180本までが東映作品であり、その後フリーの役者になる。




今回の映画『あなたへ』は、『鉄道員(ぽっぽや)』でコンビを組み、アカデミー最優秀監督賞を受賞した、降旗康男監督作品であり、製作のトップは、先日ムービーオンやまがたに来てくれた東宝の市川南さんである。




刑務官である高倉健演じる倉島英二のもとに、田中裕子演じる亡き妻洋子が残した絵手紙が届く。

「故郷の海を訪れ、散骨してほしい」

刑務官をしている富山県から1200キロ離れた長崎県平戸市へ、彼は旅立つのである。




その道中に、様々な人々と出会う。

旅と放浪の違い。
旅は目的があるが、放浪は目的がない。
そして、旅は、帰る場所がある。






長崎県平戸の港では、もうひとつのドラマがあった。

最後に、先日亡くなった、大滝秀治さんとのやり取りがあるが、NHKのプロフェッショナルと言う番組で、そのシーンにオーケーが出たあとで、高倉健は泣いていたのだ。

大滝秀治のセリフに感動していた。




高倉健は、テイク1しかしない。
その役の心に自分を重ねられるのは、自分の人生のすべてをかける最高の瞬間だからだそうだ。

そうでなければ、役者じゃない。
そのシーンの感情を、自分の人生を二回も三回もなぞれないのと同じで、そこに『ただ一回のすべてをかける』




素晴らしい人間讃歌の映画である。
そして、誰かが誰かを思う、願う、祈ること…その素晴らしさを、高倉健さんは、何歳になっても、真っ直ぐに逃げずに表現される。

彼いわく、それは演技ではなく『生き方』であり『人生』である。




ここ約1ヶ月間、ムービーオンや、ケーブルテレビ山形や、岩手ケーブルテレビジョンや、その他の仕事に、全力を出してきた。
自分にとっては、『人生』をかけたリセットと言っても過言ではなかった。

同じ頃、県北の港町でも、『人生』をかけた戦いに挑んだ同志、仲間、妹分がいた。

だから、自分はいつもは100キロで走る車を、休みなく200キロで走ってきたような毎日だった気がする。

彼女自身は、30歳になったばかりから、この10年間、ただただ走り続けてきたのである…地元の為に、山形県の為に、日本の為に…。


さっき、午後10時20分に結果は出た。

それから1時間後、彼女は、マイナスより、プラスを多く伝えてくれた。

自分も、戦は負けたけど、プラスはマイナスより何倍も彼女の財産になるはずだと確信している…自分の父がそうであった。

時が過ぎるとともに、悔しさと共に、得たものの尊さを感じるはずである…たぶん、もう感じているだろう。


高倉健に、なぜ世の中の男達が憧れるのか…。
『自分に課する正義感』だと思う。


審判は、精算の時である。
終わりは、すべての始まり。

『自分に課する正義感』を、彼女は、いつも請け負ってきた。

きっと、彼女の未来は、今からはじまる…が、今は、身も心も休んでほしい…そう願うのみである。


Android携帯からの投稿