明けましておめでとうございます。

昨年最後の投稿でこの国の病理を『収容所社会』と呼んだ。
狭い空間と狭い人間関係のもたらす病理は、人間のサディズムや妬みを生み、さらには考える力を奪う。
これはもう、行きつくとこまで来た気がする。

前世代的な成長を目指す政策など失敗するに決まっている。
この国で、かつてのような量的な成長等望むべくもない。
これから目指すべきは量の成長より質の成長である。
国全体の豊かさが、個々人の豊かさに繋がるのは、発展途上国だけ。
韓国や中国の発展は必然で、それはかつて日本が歩んだ道そのままである。
そこに戻るのではなく、成長は成長でも別の成長を目指す以外はない。
量ではなくて質。
先進国ならば、なにより個々人の豊かさが先でなければならない。

滅私奉公は、日本人の美徳の一つだと思うが、肝心の公(国)が信用できないのであればそれはもう美徳ではない。
世界に共通する潮流は、国民と国のかい離である。
国家の暴走は、陰謀論でもなんでもない。ユダヤ資本の暴走とともに行き過ぎた金融資本主義、グローバリズムの結果である。

組織(国や企業)は、最初にどんなに良いものであったとしても、時間とともに肥大化し、暴走する。
一人一人を捕まえてみれば結構良いやつだったりする暴走族も集団になった途端に凶悪化して暴走する。
これは、暴走族に限ったことではない。どんな組織、集団でも起きる。
タコ壺のような医者の世界、軍隊のような公的教育、人を不健康にしてでも薬を売りたい製薬業界。
皆、同じような病理の中にいる。
我々は、こうした病理を真面目に考えなければならない時代を迎えている。

一人一人には良心は存在するが、組織(国や企業)にはそもそも心など存在しない。

盛者必衰は、避けようのない自然摂理である。
この国は、その成功体験が大きかった分、その定められた未来が受け入れられない。
かつての成功を再び夢見ている人が大勢いるが、それは無理だ。
時代はもう、とっくの昔に変わっている。
その変化は個々人の幸せの価値観まで変えていくだろう。

人間は、様々な波の中で生きている。
誰もが気が付く身近な小さな波もあれば、知らないうちに巻き込まれる大きな波もある。
小さな波に気を取られているうちに、大きな波に飲み込まれる。
生き残るためには、アンテナを張り巡らして考え、試し試し実行していくよりない。

精神医療の問題は、今年も改善されていくでしょう。
(少しでも早くしなければならないから、追及の手は緩めないが)
それは我々の手柄ではなく、それが必然だからだ。
多剤大量処方がデタラメであること
睡眠薬が安全ではないこと
これらに対する学術的なコンセンサスは取れているし、徐々にではあるが人々の常識に刷り込まれてきた。
次に取り組むべきは、
子供に対する向精神薬のデタラメな投薬
うつ病に対する抗うつ薬の処方の厳格化
統合失調症薬や、てんかん薬の適応外処方の厳格化
である。これもそのうち認められるはずだ。どうあがいても、科学的にも、倫理的にも、我々の主張の方が徹底的に正しい。

だが、本当の問題はそこではない。
向精神薬の使い方をまともにするだけで、新たな被害者が劇的に減少することは間違いないが、この未曽有の厄災を生んだ社会病理をそのままにすれば、形を変えてまた繰り返すだけである。
現に、向精神薬の売り上げは減少し始めたが、次のターゲットは介護と認知症にシフトしている。

皆さんは、この自宅で死ねなくなった時代、介護施設でガチガチに管理され、薬漬けの晩年を送りたいと思いますか?
最近、精神科病院を辞めた看護師の友人が、高級介護施設に就職した。
その友人が言っていたのは、入所者は警察署長などそこそこ高い地位の方が多いという。しかし、立派なのは設備・建物だけで、扱いはあまり変わらないと彼女は嘆いた。
この『収容所社会』では、どんなに勝ち抜いて出世し、金を稼いだところで結局は収容所行きである。

便利な向精神薬を取り上げられたら、施設運営が成り立たない。
これが、言い訳の出来なくなった職員の最終的な反論である。
そう反論されたときの私からの再反論はこうである。
あなたが入所者になった時、同じように扱われたいですか?
私は御免だ。

インフレはどうも避けられないようだ。
アベノミクスとやらが火に油を注ごうとしている。
最悪は戦争、良くてインフレである。
円安、インフレとは、皆さまが持っている国内金融資産や給料が目減りするだけである。
量的な成長が期待できない現状では、給料は上がってもインフレには追い付かない。
我々にそれに対するなにか対策はあるか?

ある。

超効率社会を作る過程で破壊されてきたコミュニティの再生である。
そして、自分で出来ることは自分でやる。
出来ないことはコミュニティに助けてもらうか、出来ないことだけ、お金を使って買えばよい。
そうなると、そもそものお金の意味が変わる。
金を持つ意味が変わる。通貨はいつでも紙くずになるものであることは肝に銘じるべきだ。
(アメリカなどでは、さらにコミュニティ内での通貨を持とうとする動きまで出ているらしいが、それはまっとうな流れである。)

田舎暮らしで自給自足せよと言ってるのではない。
この国には、ものすごい社会資産がある。
一日でたどり着けない場所もなければ、どこにいてもネットは繋がる。世界一の交通システムと通信インフラである。
東京に行かなくてもアイドルになれる時代。もはや快適な生活はどこでも可能だ。
事実、ノマドな私なんかは都会に居る理由はない。

どう考えても、これから有利なのは地方だ。
地方特有の閉鎖的な環境も、人の往来が増えれば解消に向かう、過疎化が過ぎて、もうそんなことは言っていられない。
地方に移住したい若者のニーズをつかんで実行した地方から再生していくだろう。

今年は、そうした未来を切り開くため、オルタナティブな試みを具体的に実践して行きます。
あくまでも地味に、だけど着実にです。そして大事なのは明るく楽しくね。

今年もよろしくお願いします。


オルタナティブとは(海外の事例から私が改変)

〇精神保健(メンタルヘルス)を非病理的な視点で捉え、個々の市民を取り巻く環境を改善し、全人的な問題解決を図る試み。
〇コミュニティへの参加や人々の連帯が、人々の幸福に寄与するとする考え方。
〇生産性や業績達成を重視する社会的文化に疑問を呈し、地域社会での相互扶助、自治的な組織をベースにした生活を実現する試み。
〇生物学的な疾病概念にとらわれず、社会面・経済面・心理面などの様々な視点から捉えた市民主導・参加型の「全人的医療・福祉」の実現を求める。
〇行き過ぎた効率主義、役割分担を廃し、全ての人が、全てのサービスの担い手となり得る地域社会の構築を目指す試み。

勉強会&集会のお知らせ
どなたでも参加できます。

1/23 福岡 勉強会&集会
精神医療問題解説
福岡でのオルタナティブな医療、福祉の実現に向けて

福岡オルタナティブ協議会の組織化について
市民が作る新しい精神保健とは オルタナティブ協議会勉強会

1/24 熊本
 対談講演会&懇親会
崎谷博征医師 
精神医療被害連絡会/オルタナティブ協議会準備室主宰 中川 聡氏 
対談講演会
主催:肥後足跡ネットワーク お問い合わせ:
090-2097-7948(末久)

1/25 長崎 佐世保勉強会
長崎は、子供の薬漬け医療を全国に先駆けて推進しています。
1/25 子供の薬漬けを問う、精神医療問題勉強会in佐世保

佐世保同級生殺害事件に関する関連記事
子供を幸せにしない教育-危機を聴き取らない精神医療 毎日新聞10月31日 オピニオン記事

1/26 松江 定例勉強会
精神科薬物治療の転帰の解説。松江でのオルタナティブ活動ための集会を開催します。
市民が作る新しい精神保健とは オルタナティブ協議会勉強会

1/27 津山(岡山)
精神科薬物治療の転帰の解説。解決策としてのオルタナティブ活動の提案。
市民が作る新しい精神保健とは オルタナティブ協議会勉強会

1/28 岡山 定例勉強会(詳細未定)

1/29 大阪 夕方~
教育者、子育て中の母親向けの勉強会
「発達障害児と向精神薬」についての勉強会

1/30 大阪 13:00~
関西定例勉強会・作戦会議
関西定例お茶会&大阪オルタナティブ協議会集会

1/31 名古屋 13:00~
名古屋定例勉強会
精神科薬物治療の転帰の解説。減薬に取り組む精神科医をお迎えして、実際のお話をお聞きします。
市民が作る新しい精神保健とは オルタナティブ協議会勉強会