*今週末、鹿児島、熊本訪問します。
11/29 精神医療問題セミナーin鹿児島
11/30 はあもにいフェスタ2014
11/30  オルタナティブ協議会準備室主宰・精神医療被害連絡会代表中川聡氏を囲んで

向精神薬の情報を書くと様々な人から苦言をいただく。

医師や薬剤師の方からではない、実は一般の方や服薬中の当事者からのものが多い。
クスリの批判(正しくは使い方の批判なのだが)に対して過剰に反応するのには、大きく分けて2つの理由があると思う。
自分の信じてきたものが否定される怒り

まさにクスリに依存している場合
がある。
過剰に反応すること自体が、何かしらの依存に陥っていることの証だと私は思う。
怒りは気づきの最初のプロセスだから、それ自体当たり前の反応とも思う。

薬物依存に関して、私にはどうしても許せないことがある。
これが私の活動への原動力になっていると言っても良い。
それは、処方薬による薬物依存に対する責任の所在である。

厚労省がこんな資料を作成している
ご家族の薬物問題でお困りの方へ
一見まともな事が書いてあるように思えるが、わたしはこの資料を読んで抑えきれないほどの怒りを覚える。

重要な視点が欠けているのだ。
この資料は、薬物依存問題は全て当事者の責任というスタンスなのだ。
挙句の果てには適切な医療機関で薬物治療を受ければ回復することもあるなどとして、向精神薬の服用を奨めるくだりまである。

国立精神・神経医療研究センターの医師が、処方薬の薬物依存者が増えていると言っているが、その話の中にも微妙なごまかしがある。
ここでいう薬物中毒者とは乱用者のことをいうのであって、広い意味での薬物中毒者ではないのである。
実際の薬物中毒者は数十万~百万単位で存在するはずである。なぜなら向精神薬を長期常用している人々はそれくらいの数が見込まれるからである。

また、ODで次々と搬送されることに危機感を覚える救命救急医が、精神医療の処方に苦言を呈してくれるが、彼らの意見のなかにも私は受け入れられないものがある。
それは、
ODする人は、パーソナリティ障害である
とする意見だ。
たしかに厄介な事が多いのは事実だが、果たしてそれは全て本人の責任なのか?
サバイバーの証言を聞けば、もともとの本人の性格とは関係なしに、ODを繰り返すような状態に陥ったことが理解できる。
ODは、自傷・他害行為と同様に薬物治療の失敗、その結果に過ぎない。
元をただせば、ちょっとした不眠や不安、軽いうつで精神科を受診し、徐々に悪化した結果である。

ODを繰り返す薬物中毒者のほとんどは、実はデタラメ薬物治療の被害者に過ぎない。
私は毒親という表現も嫌いだ。多くは政府ぐるみで推進してきたメンタルヘルス政策に従っただけである。
賢いとは言えないが、必要以上に責められる筋合いはない。どちらかといえばもともと素直な人たちだろう。
問題となるのは、事実を知ったあとどう振る舞うかである。

浜六郎先生が、用語の定義と向精神薬の薬理説明してくれているので紹介します。
向精神薬は覚せい剤と変わらないという説明があるが、それは化学式が似ているのではなくまさに性質が似ているのだ。
文尾の説明が、これらの薬を安易に使うべきでない理由を良く記述されていると思う。

こうした物質を長期に飲めば、薬物依存(乱用だけではない)になるのは当然である。

こんなクスリを治ると信じて飲んだ患者が薬物依存(中毒)になったことを、どうして患者だけの責任にすることが出来ようか?

違法薬物は、勝手に売ったり、所持したり、飲んでも違法である。
同じような性質を持つ、これらの薬剤が一般の人々に気軽に処方される大衆薬であって良いわけはない。
医師が処方すれば大丈夫なんて、何の根拠もない。

浜六郎の臨床副作用ノート

以下引用

 薬剤性神経障害のうち、痙攣、せん妄、脳症を生じ得る薬剤については、先のシリーズで述べてきた。依存や耐性、逆耐性(感作)、離脱症状(禁断症状)、耽溺(addiction)は、医師と患者の双方にとって重大な事態を引き起こし得る(1)。これらの問題について今回は述べる。

用語についての整理

 物質(substance):薬剤や乱用物質などにより依存や禁断症状、耽溺など典型的な症状が現れるので、両者を包含する用語「物質」が用いられる(2)。
 耐性(tolerance):反復服用の結果、一定の用量では効果(影響)が減弱し、当初の用量と同じ効果を得るためにより多くの用量を服用する必要が生じた身体状態をいう(1)。睡眠剤で早期覚醒が生じるのは、耐性の最も顕著な兆候。ドパミンやβ作動剤の継続使用で効果が減弱するのも耐性。受容体がdown-regulateされることによる。
 離脱症状(withdrawal symptoms)/禁断症状(abstinence symptoms): ある物質を継続使用後に中断あるいは急激に減量した際に生じる、使用前になかった症状や使用前にあった症状より強い不快な症状(群)。ベンゾジアゼピン等では、初期には、いらいらや不安などの精神症状、強くなると、部分的筋攣縮や全身痙攣、幻覚、せん妄、運動興奮、妄想など強い精神身体症状を伴う。アルコールや超短時間型睡眠剤による初期離脱症状は、昼間の不安感増強である。典型的な禁断症状は痙攣と幻覚。
 依存(dependence):離脱症状(禁断症状)の回避のため物質を中断せず使用し続ける状態(本来の治療上の適応がなくなっているのに、また、しばしば医療上・社会上の不都合が生じているにもかかわらず物質を使用し続ける行動)。依存に陥ると、満足のいく状態を維持するために薬物の効果が必要であるかのように振る舞う(1)。
 耽溺(addiction):物質の使用およびその獲得に対する過度の拘泥と顕著な常習犯罪傾向に特徴付けられる薬物使用の行動パターン(1)(反社会的行為〈犯罪〉を犯してでも物質の購入や使用にのめり込む行動)。
 逆耐性(reverse tolerance)/感作(sensitization)(3):ある物質による耐性や依存が出現後に中断し、激しい禁断症状を経て安定した状態が相当長期に持続後、当該物質の少量使用で過剰な反応を生じる現象。ある物質に対する受容体がup-regulateされたことによると考えられる。覚せい剤による逆耐性では、自分自身のドパミンに対しても過剰に反応するようになり得るため、日常的興奮が過剰に出やすくなる。

依存を生じる物質(薬剤)

 耐性・依存を生じ得る物質の代表例は、カテコラミンおよびアンフェタミンなど交感神経作動剤、糖質コルチコイド(コルチコステロイド)、ベンゾジアゼピンやバルビタール剤などアルコール類似物質、モルヒネおよびその類似物質、ニコチン、セロトニン作動物質(SSRIなど)、NMDA阻害剤(ケタミン、フェンシクリジン)などである。

 カテコラミンおよびアンフェタミンなど交感神経作動剤:アンフェタミンなど覚せい剤は間接型交感神経作動剤。ドパミントランスポーターを介しドパミンを神経終末から分泌させ、かつ再取り込みを阻害する。また、グルタミン酸受容体を介し末梢のアドレナリン、ノルアドレナリンを増加させる(セロトニン分泌も促進し枯渇させる)。当初は活動的・高血糖となるが、慢性使用で耐性を生じ、うつ状態・低血糖となる。逆耐性(感作)が顕著で、統合失調症類似の精神病を生じ得る。精神病発現に逆耐性の関与の可能性が指摘されている。精神刺激剤メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)や食欲抑制剤マジンドール(サノレックス)、ブプロピオン(別名amfebutamone、日本で未承認)も、アンフェタミン類似物質であり、依存および逆耐性(感作)の危険性がある。ドパミン、ドブタミン、β作動剤も継続使用で耐性が出現する。従って、β作動剤の継続使用は危険である。

 コルチコステロイド:不安、不眠、認知障害、多幸感から軽躁状態、躁病、うつ病などの情動障害、精神病など、あらゆるタイプの精神障害を生じ得る。視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH)とプロオピオメラノコルチン(POMC)由来ペプタイドβエンドルフィンの分泌を抑制すること、扁桃体を刺激し辺縁系のドパミンシステムを当初は刺激し、耐性を生じ抑制することがその機序として説明されている4)。

 アルコール類似物質(ベンゾジアゼピンやバルビタール剤、アルコールなど):GABAA受容体に作用するベンゾジアゼピンやバルビタール剤などは、少量で抗不安、逆に興奮や不安を生じる。やや多い量で眠気を生じ、さらに筋弛緩、中間用量で抗痙攣作用、大量使用で麻酔作用、逆説的興奮や幻覚、前向き健忘、行動抑制、呼吸抑制、呼吸停止・死亡を生じ得る。連用で耐性を生じ、長期大量使用後は身体依存、減量や中断で禁断症状(離脱症状)が生じ得る。ゾルピデムなど睡眠剤の使用はうつ病を2倍増加させる。

 モルヒネおよびその類似物質:これらは、mu opioid receptor (MOR、OPRM)を介して依存を生じる5)。詳細な依存メカニズムは割愛する。
 ニコチンおよびニコチン部分作動剤:たばこ依存の原因物質であるニコチンはニコチン受容体を介して主にドパミンを増加させ快感を得る。ドパミンのほかノルアドレナリン、セロトニン、アセチルコリン、GABA、グルタミン酸など種々の脳内神経伝達物質に影響するようであり、禁煙補助剤バレニクリンはα?β?ニコチン受容体作動剤とされるが、拮抗作用もあり自殺の増加など問題が指摘されている6,7)。

 SSRI:SSRIは、セロトニントランスポーターの機能を阻害してセロトニンの再取り込みを阻害し、最終的にはドパミンだけでなく、視床下部-下垂体を介してステロイドやノルアドレナリンを増加して抗うつ作用を発揮すると考えられている。ステロイドやドパミン、ノルアドレナリンを増加させる物質は、依存を生じさせ得る可能性を考慮する必要があろう。アンフェタミンにより逆耐性(感作)が成立した動物にSSRIを使用すると、逆耐性状態が減弱した、という動物実験の報告もあるからである。アンフェタミンで枯渇したセロトニンの再取り込み阻害のほか、枯渇したドパミンを代償している可能性もあり得る。

 耐性・依存を生じ得る物質は、いずれも生体機能の維持、脳内の神経機能に欠かせない重要な物質ばかりである。直面する難問を解決し危機を回避するためには、アドレナリン、ドパミン、ステロイドが作用し、脳内でGABAやエンドルフィンが分泌して不安や苦痛を軽減する必要がある。セロトニン、ニコチン、アセチルコリン、ヒスタミン受容体は、それらに複雑に絡まって脳の活動が正常に働いていると思われる。こうした物資を外から過剰に与えたり、バランスが微妙に崩れると、興奮、せん妄、認知の障害、攻撃性、痙攣など、種々の精神神経障害につながり得ると考えられる。
 よほど枯渇していたり過剰な状態である場合のみ、ごくわずかだけ介入することは症状の改善につながり得る。だが、それが過剰に作用すると、微妙なバランスが崩れ、害反応が目立つようになるので、注意を要する。

お知らせ

大阪で、ワーキンググループを立ち上げます。
月に一度、集まって、様々なテーマに沿って議論し、実践していくことを目標に活動を行います。
ご興味のある方は、一度、大阪の定例会に参加ください。
(いわゆる患者会、家族会ではありません。ご興味があれはどなたでもどうぞ)
詳細は近日お知らせします。

また神奈川では、12月20日に相模大野でセルフケアを学ぶ勉強会を開きます。
私も、オルタナティブな生き方について考えをお話させて頂ます。
12/20 心と体の『セルフケア』を学ぼう

鹿児島では、被害の解説、また子供への薬物治療の危険性についての解説。
ディスカッションを中心に。
どなたでも参加できます。
11/29 精神医療問題セミナーin鹿児島

佐賀の矢山クリックの矢山医師との対談。
様々な治療法を実践されている矢山医師に向精神薬中毒症状、離脱症状の治療についてお聞きしたいと思っています。
また、夕刻より、当事者、家族、支援者向けの勉強会を開催します。
日ごろから持つ疑問を議論しましょう。
11/30 はあもにいフェスタ2014
11/30  オルタナティブ協議会準備室主宰・精神医療被害連絡会代表中川聡氏を囲んで

東京定例会・お茶会
うつ病の薬物治療の転帰、統合失調症の転帰を中心に
(いつも参加いただいている方は内容が重複します)
終了後、簡単な忘年会
12/13 精神医療被害連絡会定例会&お茶会

長崎は、子供の薬漬け医療を全国に先駆けて推進しています。
1/25 子供の薬漬けを問う、精神医療問題勉強会in佐世保

佐世保事件に関する記事
子供を幸せにしない教育-危機を聴き取らない精神医療 毎日新聞10月31日 オピニオン記事