まずこの図を見て貰いたい。
例の多剤大量処方の調査の33万件レセプトチェックの資料である。
これは33万件のレセプトを5年分全て分析したと言う一級品の資料です。
見て頂きたいのはこの睡眠薬と抗不安薬の処方率である。
これは、精神科だけの処方ではない、他の診療科全て含めた数であることに留意されたい。

八咫烏(やたがらす)-向精神薬処方率
どれだけ高齢者が薬漬けであるのかが判る。
なんと65歳以上の女性の10%以上が、睡眠薬と抗不安薬を処方されているのである。
そもそも、高齢者に対しては、肝臓、腎臓が弱っている分、薬は少なくて良い。
この人達は現役世代ではないから、仕事の為に無理をしているのでもない。
どうせマイスリーやデパスなんてものをバンバン出しているのだろう。

これが認知症が増えている一つの大きな原因であることは間違いない。
まさにマッチポンプだ。
これこそ、無駄遣い医療の決定的な証拠である。
こんな処方の為に11兆円もの税金が投入されている。国民はもっと怒らねばならない。
他の慢性疾患などは、さらに多いだろう。

なにより、人は年齢と共に睡眠時間は減ってくる。
武者小路きみまろが漫談で、
「朝早く目が覚めても大丈夫。その分、昼間座りながら寝ているのだから。」
といっているが、ジョークでもなんでもなくて、そのまんまだろう。
この人達は、ネットもみない世代だから、いまだ何も知らずにこうした薬を飲まされているということだ。

私が不気味に思うのは、この睡眠薬や抗不安薬の大量消費世代が、今後人口動態の推移(少子化)に伴って減っていくことにある。

そもそも、薬を売るために始めた「病気作り」ビジネスの背景には、製薬会社の懐事情がある。
それは、企業とは成長しなければいけないという、市場経済主義に基づいている。
精神医療被害とは、成長を義務付けられた製薬企業が、本来の役割を忘れ、何が何でも成長しなければならないという企業の論理が引き起こした暴走である。

それを知った上で、この処方実態をみて不安になるのは、いつか睡眠薬や抗不安薬の全体の処方量は自然に減るということである。
減った薬分の儲けを、製薬会社は自己保全の為の論理で取り戻そうとすることが予想されるからである。
これからも、手を変え、品を変えやるはずだ。ワクチンビジネスはその代表である。

市場が縮んだなら、企業も縮めば良い。従業員も半分になれば良い。
法則に反して無理をするところに、問題は生じる。
これは半分経験談だが、今の経営者に必要なのは成長ではなくて撤退である。
身の程に縮んだら、あとはじっくり質を高めて行けばよい。

(インフレしか、解決策はいずれにせよないが、成長を前提としたインフレでは失敗する。
なんども書いてるが、一番問題なのは、金そのものが価値を持ち過ぎたことにある。
金以外のものと金とのバランスが悪い。必要なのは金そのものの価値が下落するインフレである。)