病気作りの歴史の整理(薬害オンブズパーソン会議、講演録pdfから)
*は私のコメントです。この講演録は、私がこの問題に取り組むきっかけになったものです。

1980年初頭
「不安、緊張、イライラする」と訴えるとクリニックでは、初期のベンゾジアゼピン(セルシン、ホリゾン)が処方されていた。
*この時点では、うつ病は中年以後に発症する稀な病気で、統合失調症は10代後半から20代前半に発症する稀な病気であった。

1980年代半ば
アップジョン社がアルプラゾラムという薬を売るために『パニック障害』という病気を売り込むことを始めたTV局や新聞が、新しい病気があると聞きつけ取材をし、番組や記事で取り上げられ『パニック障害』という病気が広く知られた。
*この手法が、現在の製薬会社のマーケッティング戦略の手法として定着している。
『社会恐怖症』『対人恐怖』は、DSMⅢが出るまでは無かった病気であった。ロッシュと言う会社がこの病気を認知しろと精神科医達に迫った。そして著名な精神科医達がこの病気の本を書いた。結局ロッシュからはこの病気の治療薬は出なかったが、GSK社が『パキシル』を開発中で、今度はGSK社が対人恐怖症のマーケティングを行った。

この頃には、ベンゾジアゼピン系薬品の依存性があることが問題になり、ベンゾジアゼピンをトランキライザー(気分調整薬)として売ることが出来なくなった。ベンゾジアゼピンで評判を落とした製薬会社は、新しいSSRIを気分調整薬ではなく、抗うつ薬として売ることにした。
*パキシルは、抗うつ剤として開発されていたのではなく元々トランキライザー(気分調整薬)として開発されていたという事です。

1990年代

米英では、抗不安薬の処方数を、抗うつ薬の処方数を追い越した。これは、それまで不安症とされていた患者がうつ病患者に診断が変わっていった。
1960年代の抗不安薬の広告モデルは若い人、抗うつ薬の広告モデルは高齢者であった。それが1990年代になると
広告モデルはどんどん若い女性になっていった。

1996年、WHOがうつ病は世界で2番目に多い病気と発表した。
*WHOの報告に関わった医師達が製薬会社と金銭的な繫がりがあることが最近報告されました。

1990年後半

双極性障害が人口の5%であるとのキャンペーンが開始される。同時に躁病の治療薬として気分安定化剤という呼び名の薬が認可された。
*デパケンやカルバマゼピン
双極性障害が躁うつ病と呼ばれていた時代は、100万人あたり10人が発症する病気であった。それが現在人口の5%(500万以上)が羅患しているとされた。さらに、これらの人が適切な治療を受けられていないとされた。
抗精神病薬であった薬(ジプレキサ、リスパダール)が気分安定剤と名乗り始めた。
また、予防効果の治験など行われていないにも関わらず、これらの薬が予防になると宣伝を始めた。

(此処からは私のコメントです。)
これが、欧米の病気作りの大きな流れです。
講演原文では、この流れが様々な証拠と共に説明されていますので是非とも参照頂きたい。
病気が増えたのではなく、薬に合わせて病気が作られてきたことが理解できるでしょう。

そして、現在この日本においても、我々はこの流れの真っただ中にあるという事です。
双極性障害キャンペーン、統合失調症予防キャンペーン、発達障害キャンペーンと繋がっています。
いや、むしろこの国は、欧米よりさらに無防備にこの流れを受け入れています。

発達障害の件について、薬を使わなければ良いという意見を聞きます。
そういう方達には、以下のヒーリーの言葉をじっくり読んで頂きたい。

-ヒーリー講演の原文を一部引用-

 欧米で本屋さんに行き、「医学」というそういう棚を見ますと、たくさんいろんな健康に関する本があって、そこに内気で社会的に不安を感じる人々、「対人恐怖症」など、について書かれた本があります。そんな症状の治療に一番良いのは薬ではなくて、もっと他の方法があるとその本には書かれていたとしても、製薬企業(この場合はグラクソ・スミス・クライン(GSK社ですけれども)は、そういう本があることでとても喜んだわけです。そういう本をみんなが読めば、人々の考え方が変わり、自分の悩みをそこから理解して、そして、「これが自分の病気なんだ」と思い込むから、自社の薬が売れると考えたわけです。 

-引用以上-

つまり、製薬会社のマーケティングにとって発達障害と言う病気を社会に認知させれば良いのです。
発達障害と言う言葉を乱発するだけで、このマーケティングに踊らされていることを自覚すべきです。
そして発達障害と言う言葉を医療から切り離すべきです。

最近の日本で起きている最も憂うべきことの一つは、かつての抗精神病薬(統合失調症薬)の乱処方です。
これらの薬は、現在、精神疾患とされる全ての患者に安易に処方されています。
(それどころか子どもにまで。)
ヒーリーが言っているように、これらの薬が、これほどまでに安易に気分安定剤として処方されるようになった背景には、こうした巧みなマーケティング戦略があります。

精神医療被害とは、こうした科学に基づかない、空気のような概念の上に成り立っています。
事実、私が関与した裁判でも、なんら科学的な反論は出て来ません。

安全、予防に効く、一生飲まなければならない・・・・・全て空気のような概念です。

最後にヒーリー講演録の中から、全ての抗精神病薬の臨床試験の結果(科学的な事実)をお伝えしたい。

抗精神病薬の投与下での寿命に関する全ての研究から、死亡率が2倍高くなり、寿命が短縮されることが明らかにされています。気分安定薬による予防に関する全ての研究から、自殺未遂のリスクがプラセボに較べて2倍高くなることが明らかにされています。バルプロ酸および他の気分安定薬は、医薬品の中でも最も催奇形性が高いものの中に入っています。

是非とも、全文を参照ください。
薬害オンブズパーソン会議、講演録pdf

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