DSM 5をめぐって Dr Allen Frances に聞く
大野 裕(インタビュアー)

アレンフランシス氏と大野裕氏の対談の全文を入手した。
見過ごせない記載が多数見受けられるので、紹介したい。

インタビューでは、DSMⅣ作成委員長であったアレンフランシス氏が、いかなる意図でDSM4を編纂し、それが広まった結果それがどのように影響したかについて述べている。
現在編纂中のDSM5に対して、アレンフランシス氏はDSM5における幾つかの新たな診断基準の導入に反対する立場である。

そもそも、DSM4がアレンフランシス氏のいうような公正な立場で編纂されたとは到底思えないが、この対談で彼らが述べていることは、日米の精神医療の権威の発言として、重く受け取らねばならないものである。

内容から重要な発言を取り上げてみたい。
ここ数年かけて何度も被害者が主張したことが、DSM4の編集責任者によりさらり(?)と語られています。ここでは、要点を私が抽出したので、正確には全文を参照してください。全文はメールマガジンから参照してください。

以下はアレンフランシス氏の発言です。

「米国ではDSM4に基づく3つの疾患が急増しました.注意欠陥障害は発生率が3倍になり、自閉症は20倍に増加しました また 小児双極ll障害の発生率は 製薬会社の宣伝も手伝っ
て20倍増加したのです。」

「注意欠陥障害(ADHD)では 、15%の増加を予測したが実際は300%の増加であった。その増加の理由は、製薬会社によるダイレクトマーケティングによる病気喧伝と注意欠陥障害が過小評価されているということを医師や学校関係者、保護者に思い込ませた。」

「注意欠陥障害の診断でもっとも正確な予測因子は8月生まれか9月生まれかであった。8月生まれは注意欠陥障害と診断される率が高い。」

「DSM4以前では、自閉症の発生率は5000人に1人か、2000人に1人の数値であった。アスベルガーを加えることにより、米国では88人に1人、韓国では38人に1人が自閉症と診断されるようになった。またそう診断された方がメリットがある状況がうまれた。」

「精神科の診断を法医学的判断、障害判断、学校の判断、養子縁組の判断などから切り離すべき。」

「米国では精神科診断が正常な人の領域にまで拡大し日常生活のさまざまな問題を抱えた多くの人が精神障害を抱えていると誤診されそして本当に精神疾患を病んでいて診断がきちんとされれば生活が大きく向上し 場合によっては命を救うことになるかもしれないという患者さんたちに適切な注意がはらわれていないという問題があります。米国では誤診が多く 、に日常生活の問題や失意を精科疾患として病名を付けるのが非常に多いのです。」

「弱年層や高齢者に対し地域サポートを提供し生活の場で助ける地域予防プログラムがあることは 非常に重要なことだと思います。ただ そういうプロクラムの恩恵を受けるために精神科診断が必要であると考えないほうが良い。」

「DSM5の信頼性はとても受け入れられない。」

「子供の双極性障害の診断急増は不祥事。」

「誤解を生みやすい考えの一つが、精神科の問題は全て科学的アンバランスによるもので、服薬で病気が治るという考え方です。この考えによって製薬会社は過去30年に渡って薬を売ることが出来た訳です。」

「双極性障害Ⅱ型を作ったのは、患者さんを抗うつ剤による医原性の弊害から守るためだった。文献をしらべると、抗うつ剤を服用中に躁状態に変わったり、躁鬱のサイクルが短くなったり、双極性患者と似た症状を様々な形で呈する患者がいたから。しかし実際にはDSM4以降、双極性障害の発生率は2倍になった。」

「ある診断が広く行われるようになったら疑うべしという事です。人間はすぐには変わりませんが、物の名前はすぐに変わります。もし突然多くの患者さんが同じ診断名をつけられるようになったら、それは患者がかわったのではなく、考え方が変わったからであり、考え方が変わるのは、多くの場合、製薬会社が自社製品を売るためにその病気のマーケティングを動かしているからです。」

どうでしょう?
かねてからの我々の主張が、米国精神医学界の権威により裏付けられたことは喜ばしいことです。ADHDやアスベルガーなど発達障害、早期介入の議論において、推進派に反論の余地がないほどの明確な説明です。しかし、いまさらながらに精神医学界の中からこうした説明がされると、意見が否定され続けてきた怒りに代わって、では不必要な薬物治療により命を落としたり、健康を害したり、仕事を失ったり、家庭を、人生を失った被害者に対してどう責任を取ってくれるのかという怒りが湧いてきます。

ここ最近、このブログに掲載した内容は、もう決定的なものです。

・自殺に向精神薬がからんでいること
・多剤大量処方に何の根拠もなく弊害ばかりであること
・ベンゾジアゼピンが安全ではないこと

そしてDSMの弊害で薬が必要のない大勢の人々が医原性の病気にされていることが証言されました。アメリカでは、このアレンフランシスを始めとして、様々な学会がDSM5に公然と反対声明を出しました。オーストラリア発の「子供への早期介入」も彼等やヒーリーらの努力で阻止されつつあります。

残念なのは、この日本で医療側から積極的に我々の主張を後押ししてくれる人間が現れない事です。このままでは、この国はほんとうに滅びます。
これからは、薬害被害者は、医原性の精神疾患患者と正しく診断され、医原性の薬物依存者として治療され、医原性の障害者として救済されるべきです。
被害者が、精神疾患患者として生きるしか方法がない状況こそ、最初に改めるべきことです。

 このインタビューは、メンタルヘルスに関わる全ての日本人が目を通すべきものです。医師はもちろん、行政の福祉担当者、教育者、企業の労務担当、そして子供の保護者。金曜日に労働者メンタルヘルスチェック法案についての取材を受けます。この内容を大々的に知らしめていただけるように努力します。

PSWの方で、こうした問題のアンケート調査を受けて頂ける方を募集しています。
大学の研究の基礎データ収集の為です。可能な方は連絡会までお知らせ頂きたい。

また、TVで多剤大量処方の取材を受けて頂ける方も募集しています。

さらに、企業の産業医から精神科に繋がれ、悪化した事例で取材を受けて頂ける方も募集します。

リチウムで健康被害を受けた方の証言も募集します。

精神医療問題を学ぶセミナーin福岡
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皆様の参加をお待ちしております。

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