カミナリ
昨夜の0時前ころからだったろうか、部屋の電気を消してテレビを観ていると、窓から入り込んでくるパ、パ、パ、パと点滅する光で、何度も天井と壁が白く浮かび上がって見えた。
同時にゴロゴロゴロ・・・と音も聞こえる。
カミナリだ。
出窓を開けて外を見ると、いつの間にか雨が降り始めていた。
北の方向を見ていると、時折ゴロゴロゴロという音と共にピカ、カ、カ、カ。
とても広範囲に空が光る。
視界に入る空の全てが明るくなると言っても良いくらいだ。
同時に痴情のもつれ、いや、地上の景色が真昼間とまではいかないが、かなり明るく浮かび上がる。
稲妻が撮れるかと思いデジカメを引っ張り出して、出窓の手摺りに寄りかかって構えた。
前回、イカ釣りで夜景を撮った時は、説明書ももロクに読んでいない、欲だけは張ったシロウトのくせにマニュアルで撮影しようとして、沖合いに停泊した貨物船が大爆発を起したような写真を撮ってしまった。
今回の相手はいつ終るかわからない自然現象なので、撮影モードは最初から素直に『夜景モード』にした。
(先程デジカメの説明書を久し振りに見ると、『打ち上げ花火』モードがあった。 こんな物があるのをすっかり忘れていた。 花火もカミナリも似たようなものだろう。 次回は試してみよう)
空がピカッと明るくなった瞬間シャッターを押すが、脳みその「押せ~」と言う指令が人差し指に伝わるまで、どうも時間を要し過ぎるようで、モニターで写った画像を確認するとタイミングが合わず、真っ暗闇に街の灯りが写っているだけだ。
途中から3枚連写モードを加え、ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たる、にした。
ある程度撮っていると雷雲が南下してきたのか、東の方の空がとりわけ光り始めたので、ベランダに移動した。
ベランダに面した部屋では母が眠っている。
母はヘビとカミナリが大嫌いだ。
恐怖するのだ。
昨日の夕食時、TVニュースが流していた奄美大島で獲れた体長約2,3mのハブを見て、「いぇ~~、気色悪いの~~!」と叫んでいた。
そして夜は夜で、延々と続くカミナリだ。
サッシ窓全開になった真っ暗の部屋からは、起きている気配も寝ている気配も全く伝わってこなかった。
恐らく恐怖で固まっていたのだろう。
ふへへへへへへへへへ。
落雷の危険を冒し、命懸けで撮ったカミナリの様子じゃ。
この時点では命は懸っていない
残念ながら稲妻は見ることが出来なかった。
今現在もカミナリが鳴り、雨が強く降っている。
梅雨明けは間近だ。