【今回の記事】
「愛着障害の克服  〜『愛着アプローチ』、人は変われる〜」岡田尊司著(光文社新書 2016)より

【記事の概要】
   愛着が安定している人(「安定型」愛着スタイルの持ち主)の特徴
接していて、強さや危険な感じがなく、安心できる
穏やかで気分や態度がいつも一定している
目線が対等で、見下したような態度やおもねりすぎる態度をとらない
優しく親切だが、必要なときには、言いづらいことも言う
相手の意思や気持ちを尊重し決めつけや押し付けがない

   これらは、言うまでもなく安全基地になるための条件でもある。(しかし)魅力的で、惹きつけられる人ではあるものの、こうした条件から外れる場合には、その人自身が不安定な愛着を抱えた、演技性や自己愛性といったパーソナリティーの持ち主かもしれない。安定した安全基地となってもらうにはあまり適さない。

【感想】
   今までの投稿で、「不安定型」愛着スタイルについてはお知らせしてきたものの、その一方で「安定型」愛着スタイルについての記事は少なかったです。それだけ今の世の中に暗いニュースが多いということでしょうか。これも岡田私が指摘する「愛着」が要因となって表れている諸問題の影響なのかもしれません。

   さて、皆さんの周りには、「この人といると安心する。安心して話せる。」という人はいませんか?自分に対して肯定的に接し決して悪口など言ってこない。この人の言うことなら素直に受け入れることができる。そんな人が「安定型」愛着スタイルの持ち主なのです。
   同時に、岡田氏が述べている通り、その「安定型」愛着スタイルの持ち主が自分にとっての「安全基地」、つまり「心の癒しの場」となっているのです。ですから、特に親元を離れた後は、自分にとっての「安全基地」となり得る人を見つけることがとても大切になります。
   この「安定型」愛着スタイルは、その人が生まれてから親からの愛情をたっぷりと注がれ慈しまれて生活してきた結果、身に付けたその人の一生の財産です。
   では、残念ながら親から適切な養育を受けずに育ってきた人は、一生「不安定型」の愛着スタイルのままなのでしょうか。そして、その人が育てた子供たちも親と同じように「不安定型」の愛着スタイルを持つことになってしまうのでしょうか。
   答えは「NO」です。岡田氏によれば、愛着は変化する特質を持っているとされています。つまり、先に述べたような「安全基地」となりうる他者を見つけることで、不安定だった心が安定に導かれ、少しずつ愛着スタイルが「安定型」に向けて変化することもあるのです。
   もう一つ、自分を「安定型」の愛着スタイルに変化させる方法があると私は考えています。その方法が「愛着7」です。この「愛着7」については、以下のURLタップにてご参照ください。
愛着形成(愛着形成のやり直し)の仕方 『愛着7

複数の愛着論者の考え方を比較検討し考えだしたこの方法で子どもに接すると、子どもはその大人を自分の「安全基地」として認識するようになると考えます。岡田氏が、「安定型」愛着スタイルの持ち主は他者の「安全基地」になれる存在でもあると述べているように、その子どもの前では、その大人は「安定型」の愛着スタイルの持ち主として存在できるのです。
   はじめのうちは、単なる“演技者”に過ぎないかもしれません。しかし、その子どもはその大人を信頼し愛します。すると双方向的に、その子どもからの愛を受けながら、その大人は単なる“演技者”ではなく、心からその子どもを愛することのできる心の豊かな人間になれるのです。