※前回の記事を受けての投稿ですが、不登校の要因から精査したうえで、改めて「感覚過敏の子ども達が安心して登校できる学校づくり」について述べたいと思います。

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【今回の記事】
「学校に行きたくない…」と子どもに言われたら 増え続ける不登校

【記事の概要】
文部科学省の2015(平成27)年度調査によると、学校を年間30日以上欠席した「不登校」の児童生徒が、小中学校とも3年連続で増えました。欠席が増えてくる前に、総合的な取り組みが求められます。
◯不安や無気力が増加
   不登校の要因を見ると、「不安」の傾向がある児童生徒が30.6%、「無気力」傾向が30.2%となっており、聞き方が違う前年度(「不安など情緒的混乱」29.8%、「無気力」25.9%)と単純な比較はできませんが、増加しているというのが文科省の見方です。不安傾向のうち、「家庭に係る状況」によるものが33.6%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が27.9%など、無気力傾向のうち、「家庭に係る状況」が44.1%、「学業の不振」が29.0%などとなっています。
◯事後対応だけでなく「学校づくり」で
   9月に初等中等教育局長名で出した通知では、不登校が悪いという「根強い偏見」を取り払い、学校・家庭・社会が共感的理解と受容の姿勢を持つことが重要だと強調。一方で、不登校になってからの事後的な取り組みだけでなく、児童生徒が不登校にならない「魅力ある学校づくり」を目指すことを求めています。

【感想】
   不登校の要因を見ると、「不安」傾向と「無気力」傾向が主である。
   結論から言うと、「このような子ども達は自閉症スペクトラム(ASD)の傾向の強い子ども達ではないか?」というのが、現在の私の仮説である。(というよりも、以前実際に不登校になった子で、自閉傾向が強いと診断された子どもを知っている。)
   全ての人が大なり小なりASDの傾向を持っているということは、以下の投稿を始め、これまでの投稿で繰り返し述べてきた。
あなたも私も“自閉症スペクトラム” その3

   ASDの児童の特徴として、「不安意識が強い」「取り組む課題がない、何をすればいいかが分からないと意欲が減退する」ことが挙げられる。
   不登校要因の不安」傾向については、ASDの「不安意識が強い」という特徴がそのまま当てはまる。
   さて、問題は「無気力」の児童についてである。この児童らは、何らかのきっかけがないと意欲を示さない児童である。家庭でも学校でも、「このことをしたら、褒められた(いい結果が生まれた)」という意欲が掻き立てられる“きっかけ”が得られないまま、毎日を過ごしている。すなわち、「このことをすればいいんだ」という取り組むべき課題や目標が見つけられないのである。ここで「取り組む課題がない、何をすればいいかが分からないと意欲が減退する」というASDの特徴と合致する。

   これらのことから考えると、「不安」傾向と「無気力」傾向が主である不登校の問題を改善するためには、ASDの児童にとって効果的な支援を施せばよいということになる。そもそも、全ての子どもがASDの傾向を持っているのだから、その支援がどの子どもにも効果があるのは当然といえば当然である。ちなみに、山形のFR教育研究所所長の花輪氏も、「自閉症指導こそ、UDによる支援方法である」と述べている。
   つまり、今回の記事にある初等中等教育局長名で出された通知で強調されている「児童生徒が不登校にならない『魅力ある学校づくり』」とは、「ASDの子どもが安心して生活できる学校づくり」と言える。このことは、「感覚過敏のASDの傾向の強い子どもが不登校に陥る」という事を紹介した前回、前々回の記事でも述べてきた。

   ①前回までは感覚過敏の特性から不登校に陥るという話をしましたが、今回はその側面だけでなく、②文科省の調査で明らかになった「不安傾向が強い」「無気力である」という不登校の原因からも、ASDのための支援が必要であるという事を述べました。
   ここまでくれば、もはや不登校を改善するためには、ASDのための支援が必要不可欠であるということは疑いようのない説であることが分かっていただけたかと思います。では改めて、「ASDの児童が安心して生活を送ることができる学校づくり」とは具体的にどのような支援なのか?ということについては、長くなるので次回でお話ししたいと思います。(続く)