【今回の記事】
【記事の概要】
   尾木ママのブログをお読みください。

【感想】
   おそらく、不登校のお子さんを持つお母さん方からの相談が、尾木ママのブログに寄せられたのだと思います。
   不登校で苦しんでいるのは、子どもだけでなくその親御さんも同じなのだということですね。「自分の育て方が悪かったのではないか」と自責の気持ちが湧いてくるのかもしれません。

   言うまでもありませんが、不登校の子どもが出てしまうのは、親御さんの責任などではなく、学校の指導環境が整っていないためです。
   私なりの見方をさせてもらうならば、“感覚過敏”の傾向の強い子どもへの対応についての配慮が足りないことが一番の原因だと思います。
   現在、感覚過敏の自閉症スペクトラム(ASD)の傾向が発達障害の域にある子ども達各学級中に6.5%ほどいる)が、学級に適応できずに苦しみ、“問題児”扱いされているケースが全国的に数多く見られます。そのような学級担任の指導観のしわ寄せが、さらにその“グレーゾーン(発達障害予備軍)”にある子ども達にも及んでいるのです。
   以前に以下の投稿で、千葉大学の若林明雄氏が発表したASDの子どもの分布グラフを添付資料として紹介しています。
あなたも私も“自閉症スペクトラム” その2
このグラフでは、発達障害者と健常者とを分けて表していますが、そのグラフを見ると分かる通り、子どものASDの傾向の強さとその人数を表す分布曲線(横軸がASDの傾向の強さ。縦軸が人数を表す)は、発達障害者と健常者ともに、いわゆる正規分布曲線のような“お山”のような形をしています。そのお山の一番右側の“ふもと”にいる、ごく少数派の子ども達が、ASDの傾向が最も強い発達障害の域にある子ども達です。仮に健常者の分布だけを見ても、右端の子どもは、発達障害の域にあるのです(単に診断を受けていないだけで、本当は発達障害なのに自分では健常者だと思っている)。
   そして、教師達は、その発達障害の子どもだけが特別な存在だと思っていますが、その発達障害の子どものすぐ隣の、山が少し高くなった(人数が少し多くなった)ところに、いわゆるグレーゾーンの子ども達がいるのです。発達障害の子どものすぐ隣に分布しているのですから、ASDの傾向は発達障害の子どもに極めて近いのです。そこからさらにお山を少し登っていく(人数が更に少し増える)と、さらにそのグレーゾーンの子どもがいます。
   その後さらにお山を登っていき、山の頂上のところ(人数が一番多いところ)に来ると、ASDの傾向はあまり強くない子ども達がたくさんいます。そこを過ぎて今度はお山を左側に向かって降りていくと、それよりASD傾向の小さい子ども達がおり、さらに降りていくと更にそれより傾向の小さい子ども達が分布していますが、その人数は徐々に少なくなっていき、最後に一番左側の“ふもと”の所に最もASDの傾向が小さい、しかしその傾向は「0」ではない、ごく少数派の子ども達がいるのです。つまり健常者といえどASDの傾向が「0」という人はおらず全員が大なり小なりASDの傾向を持っており、しかも、健常者とされる子ども達の間でさえASDの傾向の強さには幅があるのです。
   つまり、学級の中には、発達障害の子どものように目立った行動をしなくても、感覚過敏のASDの傾向が強い子どもが少なくなくいるのです。目立たないどころか、逆に“とても真面目な子ども”ほどその傾向が強いのです。そのような子ども達を目の前にして、担任が「この子ども達は普通の子ども達だ」という認識で、刺激の強い言葉を次々とぶつけることで、感覚過敏の子ども達の心に傷を負わせ、結果的に学級に適応できなくなる子どもを産んでしまうのです。
   ちなみに、そんな担任の厳しい言葉に耐えることができるのは、山の頂上の少し右側にいる子ども達から、その左側に分布するASDの傾向の小さい子ども達だけです。

   ですから、これからは「感覚過敏の子ども達が安心して登校できる学校づくり」を進めなければならないと思うのです。そのことについては、次回の投稿でお話ししたいと思います。