【今回の記事】
「いじめには該当しない」 岩手・高校野球部員いじめ疑惑で校長会見

【記事の概要】
   Twitterへの動画投稿をきっかけに持ち上がった、岩手・花巻南高校野球部員いじめ疑惑について、11月2日(本日)、同校の校長らが会見を開き、状況の説明といじめの有無に関する調査結果を報告。
 動画に写っていた生徒が「先輩にいじめられたわけではない」と話しているとことを受け、「いじめには該当しない」との判断を下したと発表した。
   動画は野球部員だけで楽しむだけの「思い出の動画」として撮影したものであり、動画の投稿を行った生徒は「鍵のかかったアカウントで投稿したつもりだった」と外部流出についての過失を認めているという。

【感想】
   今回、被害を受けた生徒が「いじめられたとは思っていない」と発言したことと、さらに、その生徒の欠席が1日もないこと(TVニュースより)から、調査結果も「いじめではない」とされたとのこと。
   これまで何度となく、「いじめ防止対策推進法」に示されているいじめの定義を紹介してきたが、いじめとは、
「(定義)第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」のである。
   今回の被害生徒が「いじめではない」と言った場合、その生徒の中でのいじめの定義が、「いじめ防止対策推進法」に示されているいじめの定義と同じものであるとは到底思えない。調査した大人がその被害生徒の漠然としたいじめの定義を安易にもそのまま受け入れてしまったのである。
   被害生徒が「いじめではない」と言ったとしても、「その時、とても楽しかったか?とても嫌だったか?」「また、同じような目にあってもいいか?」等の、あくまでも「いじめ防止対策推進法」での定義に基づいて、“本人にとっての印象”を問いただす大人の姿勢が必要である。
   また、「欠席も1日もない」のは、今回の行為が全国的な問題に発展したため、加害者側の生徒がいじめをやめたせいであろう。もしも、この事が、大人の分からないところで行われていれば、似たような行為を繰り返していた可能性は極めて高いと言わざるを得ない。
   さらに加害者側の生徒は、「動画は野球部員だけで楽しむだけの『思い出の動画』として撮影したもの」と釈明しているが、どう言い訳をしようとも、現在の「いじめ防止対策推進法」では、被害を受けている生徒が心身の苦痛を感じているならば、いじめになるのである。「思い出の動画を取るつもりでした。ネットに流れることになってしまってすみません。」と、動画の外部流出を反省していたとしても、危害を加えたことそのこと自体が「悪」なのである。情状酌量の余地はない。

   そもそも、友達を閉じ込めて、何度も「やめて!」「携帯を返して!」と悲痛な訴えを繰り返している場面が「思い出の動画」となるという野球部員たちの感覚がおかしい。この子供達の価値観そのものが狂っている。野球部の指導者、そして親たちは猛省の必要がある。