【今回の記事】
<文科省調査>小中高の暴力、大阪最多 府カウンセラー派遣

【記事の概要】
   文部科学省が27日公表した児童生徒の問題行動調査結果では、小学校での暴力発生件数が過去最多だった。小中高全体の発生件数が6年連続、1000人当たりの件数は4年連続でそれぞれ全国ワーストの大阪府は、今年度からスクールソーシャルワーカー(SSW)などを暴力行為の多い50小学校に配置・派遣して支援を強化。文科省も各自治体にSSWなどの活用を促している。
   調査結果では、府内の発生件数は9785件、1000人当たりでは10.3件で全国平均の約2倍。公立小学校では前回から暴力行為の発生が約800件増えた。府教委は「押さえつける指導だけでなく背景に合わせた支援が必要」として、SSWやスクールカウンセラー(SC)、校長経験者らを今年度から積極活用。SSWは保護者の相談に応じて家庭環境の改善などに当たり、校長経験者はベテランの視点で児童を見守る。
   ある小学校では昨年度、クラスメートへの暴力や教師への暴言が絶えない男児がいた。突然教室を飛び出すなど発達障害の兆候もあった。母子家庭で母親は仕事が忙しく子育てに悩んでいた。SCやSSWが母親と話し合い、男児は支援学級に入り、落ち着いて授業を受けられるようになった。校長は「悩みを抱える保護者は想像以上に多く、SCやSSWの相談予約は常にいっぱいだ」と明かす。

【感想】
   文部科学省が公表した児童生徒の問題行動調査結果では、小学校での暴力発生件数が過去最多だったとのこと。
   学校で暴力行為をふるう子どもは、「問題児童」や「問題生徒」とレッテルを貼られているのだろうか。少なくとも、教師や同級生からさぞかし煙たがられているに違いない。
   しかし、ここで、この記事で紹介されている「クラスメートへの暴力や教師への暴言が絶えない男児」の事例が、私たちに大切なことを教えてくれている。この児童は、普段から教師に対して暴言を吐いているとのこと。この症状は、対人関係において問題を抱えることの多い自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもに特有のものである。急に教室を飛び出すのもそのストレスからくるものだろう。
   しかしこの児童は、特別支援学級に入ったところ、落ち着いて授業を受けるようになった。つまり、それ以前は好きで暴言や問題行動を繰り返していたのではなく、以前の環境(主に教師の考え方)がその子にとっては適合しないもので、そこから生まれるストレスがその子を暴言や問題行動に走らせていたただそれだけなのである。環境さえ適合すれば、子どもの生活に対する意欲は変わるのである。
   しかし、親御さんの中には、特別支援学級への在籍を頑なに拒否する方が少なくなくいる。「普通がいい」「みんなと同じがいい」と考え、どんなに子どもが不適応行動を示しても通常学級にいさせようとする。こういう親を持つ子どもは、とても苦しい毎日を送ることになる。
   私も過去にこの児童と同様に、通常学級に馴染めず、特別支援学級に編入した男子児童を六年生の時に一年間だけ受け持ったことがある。一学期は、実態の把握と情緒の安定を重点に取り組んだところ、二学期からは、少しずつ少しずつ通常学級で学習する教科を増やしていったところ、三学期になると、特別支援学級にはほとんどいない状態までになった。その子は、卒業後、中学校の部活動での頑張りが評価されて高校に推薦入学して、今は私立高校に通っている。受け持った当初は情緒が安定しない時もあったが、その後、正義感が強く、友達思いの優しい子どもに成長した。私は、その子から改めて環境の大切さを学んだ。