【今回の記事】
超エリート校に何が? 暁星高でナイフ傷害事件 専門家は「信じられない」

【記事の概要】
 東京都千代田区の私立暁星高校で17日、1年生の男子生徒(16)が授業中にナイフで同級生の男子生徒2人を切り付け、取り押さえた男性教諭(49)も負傷する騒ぎがあった。警視庁麹町署は傷害容疑で男子生徒を現行犯逮捕。同校は都内で有数の進学校として知られるだけに、衝撃が広がった。
   事件が起きたのは同日正午過ぎ。数学の自習を行っていた高1クラスで生徒同士のけんかが起き、男性生徒が刃渡り約10センチの折り畳みナイフで同級生の生徒の肩を刺し、止めに入った別の生徒の右胸も刺した。 
   同級生2人と男子生徒を取り押さえた教師はいずれも軽傷。男性生徒はナイフをかばんに入れて家から持ってきたといい、「2人にからかわれてカッとなった」と話しているという。事件の経緯だけみれば“学級崩壊”を想像してしまうが、同校は有名人子息も多く通う「名門」だ。同校を運営する暁星学園は、幼稚園から高校までの一貫教育を実施。2016年の大学合格者は、東大15人、京大1人、早大61人、慶大54人-など、進学校としての誉れも高い。専門家は「収入の高い世帯の子息が多いといわれ、私立医大への進学も多い。事件が起きるとは信じられない」と驚きを隠せない。
   同校によると、男子生徒の保護者からは複数回、友人関係を含む学校生活の悩みについて相談を受けていたという。友人らと深い関係を築く利点もある中高一貫校。だが、ひとたび人間関係が崩れたとき、孤立感を感じやすいという側面があったのか…。

【感想】
   都内でも有数の進学校で起きた授業時間中の傷害事件。それだけに衝撃は大きかったようだ。幼い頃からのお受験戦争を戦ってきたのだろうか。親の期待もさぞ大きかったに違いない。
   この生徒や家庭について記事から得られる情報がほとんど無いことから、ここから述べることは、あくまで一般論として聞いていただきたい。
   精神科医の岡田氏は、教育熱心な親を持った子どもほど、愛着障害(不全)に陥りやすいと指摘している。子どもにあれこれ口出しをして、失敗しないようにいつも「転ばぬ先の杖」を出す。失敗すると叱責する。生活の多くを勉強につぎ込み、様々な生活技能を身につけないで育ってきてしまった。このような家庭で過保護に育った子どもほど、いつもあれこれ世話をしてくれる親がいない学校では、皆と同じ活動から遅れ気味になり、周りからの冷やかな視線が気になるようになる。場合によっては、からかいやいじめに遭う場合もある。更に、いつも親から叱責されている怒りが精神状態を不安定にさせる。明らかに親との愛着(愛の絆)が失われた、いわゆる「不安型」の愛着スタイルを持った人間になりやすい要素を多分に含んでいる。事件を起こした生徒は友達に「からかわれてカッとなった」と話しているが、ナイフを家から持ってきた計画性を考えると、普段からからかいに遭っていた可能性が高い。まさに上記のような過保護な環境で育った子どもと一致する面が多いのだ。
   1997年に起きたあの神戸連続児童殺傷事件を起こした中学生A男(別名『酒鬼薔薇聖斗』)は、ごく普通の家庭に生まれながらも、教育熱心の母親によるヒステリックな養育を受け続けた結果、精神的に不安定になり、小学生の頭部を切り落とすという凄惨な事件を起こすに至ってしまった。詳細は以下の投稿を参照して頂きたい。
不安定型愛着が要因となる小動物の殺傷~神戸連続児童殺傷事件を振り返る~

 「進学校だから真面目で安定した人格を持つ生徒が揃っている」という考えはもう古い。今は、過保護な親の熱心すぎる監視の下、勉強漬けの環境で育った子どもだからこそ、人格面で不安定な面が多いのだ。
   また、名門校に入ることが、価値のある名誉なことでは無い。大切なことは、十分な親とのスキンシップをベースにし、自分のことは自分で行う責任感のある生活を送ることである。そのために親には、すぐ脇であれこれ口出しするのではなく、様々な生活上の課題に子どもが取り組んでいる様子を遠くから見守る、いわば、「キムタク母親流『自然体で遠くから見守る』子育て」が求められる。以下を参照して頂きたい。
キムタク母・木村悠方子さん流子育て 〜「自然体で遠くから見守る」〜