(前回からの続き)
   例えば、保育園のような施設に預けられている子どもの場合、絶えず養育者が交代するという状況にさらされます。そのため、できるだけ同じ職員との関係を持続的なものにするように気を配らないと、誰に対しても信頼や愛情を抱きにくい人間にしてしまう危険があります。また、家庭でも、生まれてすぐ、まだ誰とも愛着形成ができていない段階の時に、お母さんとお父さん、あるいは、同居するおばあちゃんやおじいちゃんが赤ちゃんの養育に入れ代わり立ち代わり関わると、赤ちゃんが戸惑い、結果的にどの人にも信頼感を得ることができず、後々精神的に不安定になるというケースは、度々見られるのだそうです。(もちろん、特定の人間による養育が普段から意識されて行われていれば、やむを得ない場合の養育者の交代は、その限りではありません。)
   今、世の中には「イクメン」なる考え方も生まれているようですが、赤ちゃんにとって安心できる「特定の人」を作るうえでは、やはりお母さんによる養育は欠かせないと思います。育児休業をとってくださるお父さんは、「妻だけに苦労をかけたくない」「自分も育児の力になりたい」と考えていらっしゃる素敵なお父さんなのでしょう。もしもお父さんが育児休業を取れるのでしたら、お母さんができるだけ赤ちゃんの側に居れるような協力の仕方をして頂くのが良いと思いいます。(掃除、洗濯、できる方でしたらお料理も…。お父さんの手料理でしたら、味などは二の次で奥さんはとても喜ばれるに違いありません。)
   「特定の人」であるお母さんとの愛着が形成された後に、必ずお父さんにも関心を寄せてきます。その時は、たくさん遊んであげてください。