【今回の記事】
実は、甘えん坊にはこんなイイことが 甘えん坊への接し方

【記事の概要】
いつも保護者の手を離さない、すぐに「見て!見て!」「○○って何?」としつこく聞いてくる、「抱っこして!」などとよく言う…これらは甘えん坊のサインです。お子さまの甘えん坊をかわいらしく思いながらも、このままで将来は大丈夫だろうか、と不安に思う保護者もいるかと思います。甘えん坊のお子さまにはどう接すればいいのでしょうか。

甘えん坊のお子さまの特徴は?
甘えん坊のお子さまには、保護者への依存度が高く、人やものへの執着心が強いという特徴があります。親しい人と関わることは好きですが、行動する際に慎重でなかなか前に踏み出せないという特徴も見られます。甘えん坊のお子さまには「何をするにも保護者と一緒にいたい」という気持ちがあります。

甘えん坊になる原因は?

お子さまが甘えん坊になるのは、保護者からの愛情を確かめ、そのことによって自分の存在価値を確認しているためです。甘えん坊はある一定のお子さまだけでなく、多くのお子さまが多かれ少なかれもっている要素であると言えます。
幼い頃に保護者にきちんと甘えられているお子さまは、自信がつきやすく自立もしやすいと言われています。逆に幼い頃にうまく保護者から愛情を受けられていないと、なかなか自立ができず大人になってからも困ることが多いとされています。甘えん坊になることは多くのお子さまにとって自然な成長の過程だと言えるでしょう。

   甘えん坊のよいところを伸ばそう!甘えん坊のお子さまへの接し方                                                甘えん坊のお子さまにはよいところもあります。甘え上手に成長することでコミュニケーションを円滑にとれるようになり、誰とでもすぐに打ち解けられる可能性があるという点です。

   この甘えん坊の長所を伸ばすためには、甘えん坊のお子さまに対して、ときどきこちらの都合を伝える機会を設けるとよいでしょう。例えば家事の最中にお子さまが抱っこを求めてきたら、家事の手をその都度止めて抱っこするのではなく、「今お料理しているから、あとで抱っこしてあげるね」などと説明してわからせる方法が有効です。もし「甘えるのはあとでね」と言ったときにお子さまが怒ったり泣いたりするようであれば、「少し待ってね」などと言ってみるとよいでしょう。甘えようとしている相手にも都合があるのだということを教え、お子さま自身が上手に甘えられるタイミングを見計れるようになれればベストです。

要注意!甘えん坊のお子さまへのNGな接し方

保護者から離れられないお子さまに対して「ずっとこっちにいないで、あっちに行ってらっしゃい!」と言ったり、お子さま自身に聞こえるように「うちの子、なかなか離れないのよね」とまわりの人に言ったりすることは避けましょう。お子さまがプレッシャーを感じ、ますます保護者から離れられなくなってしまいます
「見て!見て!」と言ってきたり抱っこを求めてきたりしたときに、無視したり叱ったりすることもよくありません。保護者をはじめとした他者を信じられなくなり、不満や不安が蓄積してしまいます。人を信じられないことから場合によっては攻撃的な子どもになってしまう可能性もあります。
一方で、お子さまのわがままを何でも聞いてしまう「甘やかし」もNGです。駄々をこねるとおもちゃやお菓子をすぐに買ってあげるなど、特に物質的なものに対する要求を安易に聞いてしまうことは避けましょう。愛情をたっぷり与えることとがまんさせずに許すことは違います

お子さまを上手に甘えさせてあげよう!

甘えん坊のお子さまは愛情深いとも言えます。お子さまが人にうまく頼れる甘え上手に育つためには、保護者が日頃から意識して接することが大切です。甘えと甘やかしを区別して、しっかりと甘えさせてあげてくださいね。

【感想】
   繰り返しになりますが、まず、甘えん坊になる原因は、親からの愛情が足りないせいです。それは、特に乳幼児期に差がつきます。精神科医の岡田氏が、親子の「愛の絆」を結ぶ(愛着を形成する)うえで最も重要と指摘する「臨界期」(0歳から1歳半)で、どれだけ親が子どもの近くにいたか、どれだけ子どもからの信頼感を築いたか、がカギを握ります。ですから、記事にあるように、甘えん坊な子どもに「ずっとこっちにいないで、あっちに行ってらっしゃい!」と突き放すことは、0歳から子どもを保育所に預ける等し、乳幼児期に十分な養育を出来なかった親の責任を子どもに押し付けるようなものです。
   また、今は、働くために保育所に預ける親御さんが多くなっているので、限られた時間で効率的な養育をする必要があります。この“効率的な養育”の方法については、以前に以下の投稿で紹介してありますので、ご参照ください。この中では、乳幼児期の愛着形成の方法と、子どもがある程度成長した後の愛着形成のやり直しの方法も紹介しています。さらに、子どもを不安にする親のNG行動についても紹介しています。この方法で接すると、子どもの甘え症状も少しづつ改善していくことでしょう。
愛着形成(愛着形成のやり直し)の仕方

   また、記事の冒頭で「甘えん坊の特徴」として紹介されている、「行動する際に慎重でなかなか前に踏み出せない」「何をするにも保護者と一緒にいたい」という症状は、過保護な養育を受けたために、「不安型」愛着パターンを身につけた結果です。過保護にならないためには、「子どもが自分でできることについては、あれこれ口を出さずに『見守る』」「子どもがSOSを出した時だけ支援をする」という支援が必要になります。その支援によって、「自立心」が身につくのです。なお、この「自立心」については、乳幼児期に愛着が形成されたかどうかによっても変わってきます。詳しくは、以下の投稿をご参照ください。
愛着の話 No.3  〜お母さんという「安全基地」〜

   さらに、記事にもある通り、金品を与えて子どもの欲求を満たそうとすることは厳禁です。親は、そのことで子どもが言うことを聞く様子を見て「愛情を注いだ」と勘違いしますが、子どもが思春期を迎えた頃から、「愛情欠乏」による“大”反抗期となってそのツケが回ってきます。そのことについては、以前に以下の投稿で紹介してありますので、ご参照ください。
愛着の話 No.1 〜真の愛情とは何か?〜

   最後に、「甘えるのはあとでね」と言ったときにお子さまが怒ったり泣いたりする」のは、それより以前に、「あとでね」といったにも関わらず、親が約束を守らなかったことがあったためです。「おかあさんは、『あとでね』といったら、必ずやくそくをまもってくれる」という親に対する信頼に裏付けされた“見通し”があれば、怒ることは無くなると思います。