【今回の記事】
武庫川転落の小1男児発見 死亡確認、身元も判明

【記事の概要】
   兵庫県の宝塚市消防本部は、台風16号の影響で増水した武庫川に転落し、20日夕から行方不明になっていた宝塚市内の男児(6)について、転落場所から約10キロ下流で発見したと発表した。同市内の病院に搬送したが、約40分後に死亡が確認された
 尼崎北署によると、死亡した男児は小学1年志水裕哉君。20日午後6時20分ごろ、川の近くの道路で兄(8)とボール遊びをしていたが、ボールを取りに行ったところ、川に流されたという。

【感想】
   とにかく、午後6時20分というとても遅い時間に、しかも川が増水している状況の中で、川の近くの道路で兄とボール遊びをしていた、という行動が腑に落ちない。通常は午後5時頃が帰宅時間であるが、それよりもはるかに時間が経っていることである。一度帰宅した後に家のすぐ近くで遊んでいたのだろうか。たとえ、家の近くと言え、川が増水しているとても危険な状況である。この状況下で、遊びに出かけてしまったことについては、二つの疑問点が湧いてくる。
   一つ目は、親の存在についてである。子どもたちがボール遊びに出かける時に、親は不在だったのか?このような非常事態の時は、親の迎えによる「引き渡し下校」の措置をとる学校が多い。もし、その措置がとられていたなら、親も一緒に家に帰ったはずである。もし、親がいながら、子どもたちを遊びに出かけさせてしまったなら、親の判断があまりにも甘かったと言わざるを得ない。また、家にいる親に告げずに遊びに出かけたのであれば、それは、普段から、「遊びに出かける時は、親に告げてから外出する」という習慣が身についていなかったことが災いしてしまったことになる。あるいは、仕事の都合で、また職場に戻ってしまったのか?それでも、職場に戻る前に子供たちに「絶対に外に出てはいけません」と一言あったはずである。その言葉が、子供たちに響いていなかったのか?そうであれば、子供たちに普段から親の言うことを聞き流す癖が付いていたのかもしれない。一般的には、親が日常的にあれこれ口を出しすぎると、そのような癖が身につくことが多い
   二つ目は、学校側の指導についてである。通常なら、子どもが下校する際に、担任から「台風が近づいてきているから、絶対に家から出てはいけません」という指導がなされるはずである。しかも、全学級一斉に。それにも関わらす、三年生にもなる兄さえ、台風下の状況の中を遊びに出かけている。果たして、各担任による指導は十分だったのか?!家庭には様々な実態や都合がある。先に挙げたような、親の判断や躾についてもまだまだ未熟な家庭も多い。そのような“家庭力”をカバーするのも、また学校の役目なのである。どんな家庭にある子どもたちにも、担任の指導は響かなければならない。その指導が、この二人の兄弟に届かなかったのは、あまりにも残念である。

   今回は、少ない情報の中から、あらゆる事態を考えてみた。その中には、学校や親による普段からの指導の在り方について考え直さなければいけないことも浮かび上がってきた。「いざ」という時にこそ、普段の指導の在り方が生死を分けることになるのである。