【今回の記事】
「子供を捨てたいです」

   あまりにもショッキングなタイトルである。しかもこの親は、虐待やネグレクトに走るような親ではなく、学歴の高い、今の世の中では十分安定した部類に入る親である。
   しかし、この親には一つだけ未熟な点があった。それは、今流行りの“お受験パパ”だったということである。

   この親は、「だれよりも恵まれた環境で勉強をさせているのに(息子は)結果を出せていない」と認識しているが、実は、自分の面子に傷がつく」と、子供の幸せよりも自分の世間体ばかりを気にする、“愛のない悲しい家庭環境”を子供に提供していたのである。その証拠に、食事はいつも愛情のない市販の弁当。一体何をもって「誰よりも恵まれた環境」と認識していたのであろうか。参考書や教材の購入に誰よりも多額の金をつぎ込んできたことを意味しているのだろうか。
   また、この親は「親の保護がなければ生きていけない分際のくせに(子供は)『コンビニ弁当しか与えないくせに』とか我儘言い放題です。」と、子供の主張を子供扱いし、一人の人格として尊重していないのである。むしろこの子供の方が、“本当の充実した家庭環境とは何か”ということについて正しい認識を持っている。

   このように、子供を“自分のメンツを保つための道具”としか考えていない親は、実は今の世の中にたくさん存在するのではないか。
  “本当の愛情とは何か”、このことについてもっと正しい認識を持って欲しいものである。

   愛とは、子供の“物欲”を満たしてやることではなく、子供に愛着(愛の絆)の対象を与えることであり、心の「安全基地」を与えることである。このことについては、これまで本ブログで何度も紹介してきたので、バックナンバーを参照いただければ幸いである。