【今回の記事】
高3自殺「指導が要因」=第三者委が報告書―新潟
   この事件は、新潟県上越市の県立高校に通っていた3年の男子生徒=当時(17)=が2012年、部活動のトラブルで顧問から指導を受けた後に自殺した問題である。

   この男子生徒は、過去に一度女子マネジャーの仕事ぶりに対する不満をネット上に書き込んだことが原因で、顧問の男性教諭から複数回指導を受けたという。それに対して父親は「息子は反省していた。適正な指導が行われていれば自殺には至らなかった」と抗議していた。
   県教育委員会が設置した第三者委員会は、「生徒の内面に十分な配慮を欠いたまま、問題行動に対する批判だけを行った学校の一連の生徒指導が、最大の要因だった」と結論づけた。
   生徒の言い分を聞かず一方的に批判だけをしたのはこの教師の“おごり”であり、生徒の気持ちを考えながら指導するという認識が全くなかった。このような指導者が子どもを伸ばせるわけもなく、子どもが自分のイメージとずれていれば、体罰を用いてでも自分の思い通りにしようとするだろう。
   ここで一つだけ疑問がある。それは、自殺したいほどの辛い思いを親に相談しなかったのか?ということである。父親は、「不満に思っていた女生徒への不満をブログに投稿した」ということについては話を聞いていたようであるが、自殺についての相談を受けたとは書かれていない。もしも、我が子がそれ程深刻な思いでいると分かったならば、一目散に学校に相談していたはずであるが、記事にはそのような記述はない。なぜ、この親は自殺した生徒から相談してもらえなかったのか?

   しかし、実は、子どもが親に相談せずに自殺に至る、というケースはとても多い。つまり、子どもは親を“愛着(愛の絆)を結ぶ対象”として見なしていなかったということを物語っている。“愛着の対象”とは、子どもにとっての「安全基地」にあたり、それは悩みやストレスを癒す場所である。
   精神科医の岡田氏は、「日常的に親から子どもに浴びせられる攻撃的、支配的な言葉(「早くしなさい!」「何度言われたら分かるの!」等)が子どもとの愛着を破壊する」と危惧している。
   また、今は、父親はテレビ、母親はスマホ、子どもはゲーム機と、めいめいのメディアに熱中しているバラバラの生活を送っている家庭が多いと言われている。そのような親子バラバラな行動をとっている家庭では、子どもが親を愛着の対象とはみなすことはあり得ない
「愛着の対象」とは、「この人は自分のことをよく気にかけてくれている自分の味方であり、自分が信頼できる人だ」という信頼感を抱かれる他者のことを言うのである。

   どうすれば子どもは親に対して愛着を形成できるのか、どうすれば子供の「安全基地」となれるのか、その方法については、本ブログの「愛着形成のやり直しの仕方」のその1からその2(http://s.ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12180260662.html  ※「その1」
を参照頂きたい。