【今回の記事】
TBS報道特集: 医師が問う、医療ミスの現実:経鼻栄養チューブ誤挿入事故

【記事の概要】
   TBSの番組で、ある医療ミスについての特集をしていた。胃に栄養を送るチューブを誤って肺に入れてしまったというものだった。しかし、このように誤って肺に入れてしまうことは、医者であればけっこう経験しているらしい。問題はその後だった。
   正しく胃に入ったかどうかをレントゲンで確認するのだそうだ。この時もレントゲン技師によって撮影は行われていた。しかし、番組の検証によると、この時のレントゲン写真は、誰が見ても(医学生でも)肺に入っていることが明らかなものだった。さらに、処置後、看護師によって、そのチューブから栄養液が注入されたそうであるが、その後患者は強い痛みを訴え、その後患者は死亡した。

【感想】
   この事件の問題点は、レントゲン写真を見たレントゲン技師や、処置後に患者が強い痛みを訴えたことを確認した看護師が、医師に報告をしなかった、いや“できなかった”ことだった。
   私はそのことを聞いて、この問題は、医師とレントゲン技師や看護師との意思疎通、さらに詳しく言えば、その医師が下の者からすると進言しにくい存在だったことではないかと考えた。つまり、うがった見方になるが、この医師は、自分の処置の誤りを進言されると機嫌が悪くなる気質わを持った人間なのではないかということだ。
   その医師は番組の取材に対して、「チューブの挿入くらいのことだから…」となんとも歯切れの悪い不誠実な返答をしていた。その様子を見て、私は、「やはりこの人は誠実さに欠ける人なんだな」と感じた。普段から誠実に医療に向き合っているような医師であれば、部下からの進言も尊重して接していたはずである。尊重して接していれば、レントゲン技師も、看護師も、患者の異変について迷いなく進言できていただろう。
   改めて、他者を尊重する誠実な“人間性”ということの大切さを感じずにはいられなかった。こういう上司はどの職場でもいると思うが、皮肉にも、そのことが命を預かる最も起きてはならない場所で起きてしまったということが悔やまれる。