前回、「どうしても我慢できなくなったら、黙って微笑んで子どもに任せましょう。」と言う話をしました。
   早速で申し訳ないのですが、若干訂正させていただきます。
   親御さんがどうしても我慢できなくなる状態と言うのは、子供が良くない行動をした時です。その時の対処の仕方についてですが、応用行動分析学というある心理学の考え方で「消去」という方法があります。消去と言うのは言葉を変えて言えば「知らんぷりする」とか「黙る」と言う意味です。
   さて、子供が良くない行動をしたときに、黙ったり知らんぷりしたりすることがどんな効果があるのでしょうか?
   前回お話しした通り、子供は大人の発する強い刺激(強い言葉)に敏感に反応します。つまり、大人が強く注意すればするほど、子供の反応は激しくなるということです。例えば、学校で授業中に、ある子どもが悪ふざけをしたときに、先生や周りの子供が「何やってるの!やめなさい!」と強い刺激を与えると、ますます悪ふざけの行動が激しくなるということがよくあります。しかし学級の子どもたちが「またか…」と思って構わなくなると、ふざけた子どもはみんなの反応が無くなってつまらなくなり、その行動をしなくなるのです。
   つまり、「消去」という方法は、この“大人の発する強い刺激(強い言葉)”を無くす、という方法なのです。
   そこで、前回お話しした   「どうしても我慢できなくなったら、黙って微笑んで子どもに任せましょう。」というくだりを、「(子供が良くない行動したときに)どうしても我慢できなくなったら、黙って知らんぷりしましょう」に訂正させてください。(子供が良くない行動したときに、親から微笑んで見られると、子供は“肯定された”と勘違いして、また同じ行動をする恐れがあるからです。)いわゆる“悪ふざけ”はこの方法ですぐに直りますし、“怠け”は親が怒って注意するよりも「自分から始めよう」とする気持ちが起きやすいです。
   ただし、子供が良い行いをした時は見逃さず褒めてあげてください。そうすると、子供の良くない行動は減り、良い行動だけが増えるというわけです。