権利はおまけ目的で使うものではない | 偕楽園血圧日記

権利はおまけ目的で使うものではない

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 民進増子氏「大臣破れば選挙区10個分の価値」

 自民党の現職閣僚が16年ぶりに落選の危機に立たされている。改選数が2から1に減った福島選挙区では、与野党が議席を分け合う構図が崩れた。自民党の岩城光英法相(66)と民進党の増子輝彦氏(68)の両現職が、激しい選挙戦を続ける。4選を目指す岩城氏は過去3度、いずれも旧民主系候補に次ぐ2位。今回も各紙の情勢調査では増子氏がやや先行している。7月10日投開票の参院選は、公示後初の日曜日を迎えた。
 衆院3期、参院2期と実績十分の増子氏。マスコミ各社の情勢でも増子氏リードが伝えられているが、慢心はない。改選数が1になったことを受け、今年1月に岩城氏の地元いわき市で後援会を立ち上げた。同市内で初めての選挙事務所をプレハブで仮設し、24日に民進党岡田代表を迎えて同地での第一声を行った。
 「現職大臣を破れば、他の選挙区10個分ぐらいの価値がある。大臣を破る大金星を挙げ、安倍政治の暴走を止めて、福島の復興を進めていく」と力説した。岡田代表は「このいわきで互角の戦いをしてもらいたい。そうすれば、福島全体で必ず勝てる」と断言。岩城氏の支持層の切り崩しと、地盤の郡山市を中心に、無党派層の掘り起こしを続けている。
 野党共闘も追い風だ。前回の10年参院選で旧民主2人と共産候補の票を合わせると、約56万票。単純計算で約34万票の岩城氏を大きく上回る。「復興」に加えて「平和」と「経済政策」も争点として強調。「平和を守るため、安保法案を廃止に追い込む。アベノミクスは失敗だ」と声を上げ、「反安倍政権」を訴える有権者を取り込む。今月17日には、民進党の枝野幹事長が福島市に入るなど、役員クラスの応援も続いている。
 日刊スポーツ 6月27日(月)10時12分

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 やれやれ。民主党政権では選挙で千葉法務大臣が落選したこともあるし、それは政党と政権にとっては結構なショックになるものだが、選挙区という文脈で話をするならば、一議席は一議席である。
 これを「大臣に勝てば選挙区10個分の意味がある」といってしまうのだから、増子氏はどういうふうに選挙と議席を考えているのか、よく分かる話だ。

 河北新報のような地元ブロック紙の記事を見ていると、大臣となって地元回りができない岩城氏の間隙をついて増子氏が「どぶ板」巡りをし、それで「優勢」という数字が出ているということだが、それはつまり、議員定数が減ったおかげで衆議院の小選挙区と同じことが参議院でも起きているということ。
 この「地元密着優先」が常態になれば、小渕氏や山尾氏の政治資金問題と同じことが参院でも起きてくるようになるだろう。
「一票の格差」に煽られて、選挙区にしわ寄せをした愚行は、結局有権者たるわれわれの不利益となって返ってくるのだから馬鹿らしい。


 ところで、今回の参院選では、

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 「選挙割」じわり 特典さまざま、「10代有権者」向けも

選挙割り
(写真、西日本新聞より。選挙割をPRするチラシを作った「辻利茶舗」=北九州市小倉北区)

 期日前投票が始まった参院選で、投票したら飲食店などでお得なサービスを受けられる「選挙割(投票割)」企画が福岡県内各地で催されている。投票率アップと地域活性化の“一石二鳥”を狙い、経済団体や市民グループなどが仕掛けた。「選挙割」は昨年の統一地方選から全国に広まったが、「18歳選挙権」が始まった今回は若者に特定したアイデアも目立つ。
 投票したらカルビ肉1人前が無料、学生ならばさらに1ドリンクサービス-。福岡県古賀市花鶴丘の焼き肉店「炎牛」は期日前投票が始まった23日から「選挙割」を始めた。「親子で投票した後に立ち寄ってくれたらうれしいですね」と経営者の徳永健太さん(30)。
 同市の「選挙割」を企画したのは市民グループ「古賀すたいる」(戸田祐子代表)。市選挙管理委員会発行の投票所来所証明書を持参すれば約50店舗で特典を受けられる。昨年4月の統一地方選に続く2回目の取り組みだが、今回は一部の店舗が学生対象に特典を追加する「学割プラス」を行い、市選管ともタイアップ。市選管は参加店舗紹介のフリーペーパーを期日前投票所に置き、全戸にも配布する予定だ。
(中略)
 福岡市でも社団法人「九州・アジア次世代経済協議会」が呼び掛け、市内100店舗超が参加する「選挙割」がスタート。昨年の統一地方選に続き2回目だが、飲食店に加え、今回は衣料品や美容院など「若者の利用が多い業種を増やした」(事務局)。参加店舗は同協議会のウェブサイトで確認できる。
 さて、効果のほどは-。
 西日本新聞 6月27日(月)16時11分


 <参院選宮城>投票所前で自撮り クーポンに

クーポン
(写真、河北新報より。若者に参院選の投票を呼び掛ける「勝手に選挙管理委員会」のポスター)

 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられた参院選で、宮城県内で個人店を営む有志が「勝手に選挙管理委員会」と銘打ち、若者に投票を呼び掛けるキャンペーンを始めた。投票所前での「自撮り」画像を店に見せると、お得なサービスを受けられる仕組み。関係者は「自分たちの未来を決める選挙をきっかけに、政治に興味を持ってほしい」と訴える。
 2014年の衆院選宮城3区に続き、2回目の取り組み。参院選は全県1区のため、参加店は仙台圏と県南を中心に約40カ所に広がった。飲み物やデザートの無料提供に加え、商店やヘアサロン、カイロプラクティックでの割引、日帰り入浴の半額などさまざまな特典を用意した。
 期日前投票を含めて1票を投じた後、投票所と分かる看板などと一緒に自分の姿をスマートフォンや携帯電話で撮影した画像が「クーポン」になる。投開票日の7月10日まで、複数の店舗で利用できる。投票所で発行される「選挙証明」でも可。
 前回13年参院選の宮城選挙区の投票率は50.75%。宮城県選管の抽出調査によると、20~24歳が30.44%、25~29歳が30.20%。最高の65~69歳(67.42%)の半分にも満たない。
「勝手に選管」の事務局で、宮城県蔵王町の飲食店経営佐藤雅宣さん(37)は「投票率アップは長期的な課題なので今後も続けたい。地域経済の循環がもう一つのテーマで、各地の魅力的なお店を見つけてほしい」と話す。
(後略)
 河北新報 6月28日(火)10時43分

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 18歳という未成年まで投票権が広げられたこともあり、各地で「選挙に行ったら お・と・く」キャンペーンが行われているという。

(2013/07/20の記事、投票の主体は「自分の意思」!) で書いたことを繰り返すが、こういう「餌付け」のようなことを民主主義を標榜する国の選挙に絡めてやってはいけない、絶対に!

 西日本新聞は「さて、効果のほどは」と記事を締めているが、これが効果を得てしまうと、それを投票行動の誘導に使おうとする勢力が必ず出てくる。
 こういう「おまけがもらえる」店に「ポスターを貼らせてくれ」という陣営も出てきたとき(いや、この頃は「我が店はこの政党と候補を応援する」と公言するような店もある)、はじめに取り上げたような「どぶ板選挙」が続く中、どういう効果が得られることだろう。
 うまく使えば投票率を操作することもできてしまう

 投票率を上げるのは、ひとえに人々の政治への関心でなければならない。これが低いのは、ある意味「現状に満足」派が多いということで、それはそれで悪い話ではないのだが、例えばイギリスのEU離脱に見るように社会の情勢というのは決していつまでも同じ状態で続くというものでもないのだから、「政治家がなにを見ているか」というところは、有権者として常に見ておく必要がある。
 普段から彼らに対して意見するのも大切だが、多くの人は「面倒くさい」と思ってしまうところもあるだろう。議員の中には「名前と住所を必ず書け」と、批判者を構えさせるような要求をしてくるものもいるし。
 ましてや政治献金となると、マスメディアなどのおかげで「どこか汚いもの」という印象がつけられてしまっているし。
 だから選挙というものの価値が高くなるのだ。

 普段政治については興味ないというような人間でも、この時期にはあちこちで騒がれるのでいやでも「政治」が耳に入ってくる。
 我々は民主党政権を経験したことで「政治なんて誰がやっても同じ」ではないことを知った。
 それを確認する作業としても投票は大切で、これは決して「投票したら焼き肉屋だ」というような気持ちですることではない。
 それでは昔の、「選挙といったらとりあえず公民館に行って自民党と書いてくる」としていた時代となにが違うというのだ?


 おまけ。

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 高校の政治教育「行き過ぎた中立」で「教育の自由」の侵害を危惧…日弁連が意見書

 日弁連は6月24日、「18歳選挙権」に関連し、政治的中立性の確保を理由に高校教師らの授業運営を必要以上に制限しないよう求める意見書を、文部科学大臣や各都道府県などに送ったと発表した。規制が行き過ぎると、政治的論争のある問題を取り上げられなくなり、生徒の学習権が侵害される可能性があるなどとしている。
 文科省は選挙権年齢の引き下げが決まった2015年、各都道県などに向け、高校などでの政治教育についての「新通知」を出した。この中では、具体的な政治的事象を題材にした主権者教育の推進がうたわれる一方、「指導に当たっては、教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること」と書かれている。
 日弁連も特定の見解の押し付けや、党派的な授業には反対の立場をとっている。危惧しているのは、通知が個人的な主義主張を述べることの「禁止」と拡大解釈され、教師の「教育の自由」が大きく制限されてしまうことだ。教師が萎縮して、政治的論争のある話題を取り上げなくなれば、生徒たちの政治に対する公正な批判力を培う機会が失われる可能性があるという。
 この点について、日弁連の教育法制改正問題対策ワーキンググループの三坂彰彦事務局長は次のように説明した。
「生徒から『先生はどうなんですか』と聞かれて、『私の考えは言えません』という対応は、生徒と教師の人格的接触という観点でも好ましくないのではないか。たとえば、原子力発電について、生徒から賛成・反対の意見が出て、その流れの中で教師が根拠とともに自分の立場を明らかにするというのは、押し付けでない限りは一つの授業のあり方だろう」
 意見書では、高校生らの政治的活動の制限に関して、表現の自由を十分に尊重して慎重に行うことなども求めている。
 弁護士ドットコム 6月24日(金)15時0分

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 また「萎縮」か。

生徒から『先生はどうなんですか』と聞かれて、『私の考えは言えません』という対応」をすることの何が問題なのか。それがつまり「公務員というのはそういうものだ」ということを生徒に示すことになり、政治的中立がどう守られるか、それが民主主義国でどれほど大切かを教えることになるのではないか。
 記事にある原子力政策でも弁護士たちは「政治的立場」を明らかにすることを推奨しているが、教師はただ原子炉の構造や放射性物質について科学的に正しい知識を教えるだけでいい。その先は、生徒たち自身で考えることである。

 彼らはこんなことで圧力をかける前に、

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 群馬・高崎市教委 選挙中立を推進、産経新聞記事配布 共産抗議で自主回収

 群馬県高崎市教委が参院選を前に、市内の公立小中学校の校長あてに「中立性を保つよう」求めたメールに産経新聞記事を添付し送信したことをめぐり、共産党が抗議し、市教委側が一部を自主回収していたことが22日、わかった。メールは校長への「お願い」として17日に送信され、「中立性を保つよう教師に注意喚起を促す」ための参考資料として14日付本紙主張「共産の署名活動 児童怖がらせ『平和』とは」が添付されていた。
 記事は、共産党運動員が東京都足立区で安全保障関連法への反対署名を求めて区立小学校の児童複数に話しかけ、「お父さんやお母さんが戦争で死んだら困るでしょ」「爆弾が落ちてきたら嫌でしょ」などと子供の不安をいたずらにあおったことを紹介。埼玉県の中学教諭が同法反対デモを載せた同党機関紙「赤旗」のコピーを配布したことなどを取り上げ、不当な宣伝活動の一斉中止を求めた。
 同市教委は「記事にはさまざまな事例が紹介されており、資料として活用できると判断した」とした。メールと添付記事は校長の手持ち資料として送信したが、84校のうち数校の校長が全職員に配布した。
 21日に同党の県議と市議が一部の学校を訪れ、口頭で抗議した。22日付赤旗が、〈記事は事実をねじ曲げたものだと指摘し、「特定の政党をデマで攻撃する記事を配ることこそが公選法に抵触する」と抗議しました〉-などと報じた。
 職員に配布した数校では21日のうちに添付記事を自主回収したが、市教委では「校長止まりのものを配っってしまった」と回収理由を説明している。
 足立区の問題では、共産区議は産経新聞の取材に「行き過ぎだった」と非を認め、保護者に謝罪している。
 産経新聞 6月23日(木)7時55分

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 実際にその活動が報告されている事例を紹介した新聞記事を「歪曲」と決めつけて「破棄」させるような圧力をかけた公党に対して、「事実隠蔽」で抗議をするのが先ではないのか?

 こういうことを黙認しているから、共産党が公示前から「○○候補の××をよろしく」とやる選挙違反体質が改まらないのだ。


 本日の「なまけもの」。

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 悠々コバンザメ独り立ち 宿主に嫌われ…水槽引っ越し

コバンザメ
(写真、朝日新聞デジタルより。水槽のアクリル板につくコバンザメ=大阪市港区の海遊館、高橋一徳氏撮影)

 海遊館(大阪市港区)でコバンザメ2匹が、「独り立ち」している。大きな生き物にくっついて暮らすはずなのに、先輩コバンザメがジンベエザメに嫌われて別居。2匹もこれにならって別の水槽で飼われ、宿主なしでゆうゆう暮らす。「自然界では見られぬ姿」と専門家を驚かせている。
 ニュージーランドの海をイメージした高さ約6メートル、幅約7メートルの「クック海峡水槽」。アカウミガメや小魚にまじり、左右に体をくねらせて、70センチほどのコバンザメ2匹が単独で泳ぐ。2匹は高知沖の定置網でジンベエザメと一緒に捕獲され、それぞれ2009年と15年にやってきた。
 7年ほど前。いまの2匹の先輩にあたるコバンザメたちは、ジンベエザメと同じ水槽にいた。ところが、次第にジンベエザメが体をくねらせたり、スピードを上げて振り払おうとしたり、つきまとうコバンザメを嫌がるようになった。
 コバンザメにとって、くっつき先の意向は、死活問題だ。東京海洋大学の河野博教授(魚類学)は「コバンザメは背びれがなく、泳ぐのが下手。食べるにも、移動するにも他の生き物にくっつかないと生きていけない。ジンベエザメも自然界では生きるのに精いっぱいだが、水族館ではえさの心配がなく、違う部分に気が回って敏感になっているのではないか」と話す。
 先輩たちはほかの宿主を探した。イトマキエイは忍び寄るコバンザメを振り切ろうと急旋回を繰り返し、水槽に激突しかけた。コバンザメの吸盤は、時速100キロで泳ぐカジキマグロも離さぬ強さで、マンタのヒレに痕が痛々しく残った。
 サメ肌のジンベエザメには見られない、こうした「吸着被害」を防ごうと、先輩のコバンザメは09年にクック海峡水槽へ移された。当初は慣れぬ様子で水槽の下の方に、うろうろとくっつく場所を探していたが、次第に水槽壁面のアクリル板が定位置となった。
 朝日新聞デジタル 6月28日(火)16時48分

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 ああ、ジンベイザメもくっつかれていると気持ち悪いんだ、サメ肌なのに(笑)。

 このコバンザメは水槽の壁にくっついているのだが、これはやはり「飼育員が上から餌を落としてくれる」からなんだろうなぁ。
 コバンザメはサメとはまるで関係のないスズキ科の魚だというから、餌をたっぷり食べると「脂が乗る」ぞ(笑)。