ワールド・スタンダードである「手のひら返し」にご用心 | 偕楽園血圧日記

ワールド・スタンダードである「手のひら返し」にご用心

 昨晩のNHKニュースウォッチ9で「アベノミクスにドイツや新興国の一部から批判」という話をやっていた。
 ユーロ安で儲けていたドイツと、「新興国」ってどこだっけと思っていたら、その後のレポートで韓国であるとバラしてしまうのだから笑ってしまう。
 しばらく前に「先進国ニダ!」といっていた彼の国を新興国扱いすると、彼らの「薄っぺらな自尊心」を傷つけるぞ(笑)。


 それにしても、NHKだけ見ているとまるで世界中がいわゆる「アベノミクス」に不信感を持っているかのような印象を受けるが、
(2013/02/04の記事、財布の重さのバランスが……) で取り上げたイタリアやIMFだけではなく、

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 日本の政策、成長につながるのなら適切=豪財務相

[モスクワ 15日 ロイター] オーストラリアのスワン財務相は15日、円安誘導との批判も出ている日本の金融政策について、成長につながるのであれば適切と述べ、支持する姿勢を示した。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議前に、記者団に対して述べた。
 スワン財務相は「(日本が)経済成長拡大を実現するために、財政・金融政策を使うのであれば、それは皆の利益になることだ」と述べた。
 スワン財務相は、また、ここ4─5カ月の間に信頼感が改善してきているのは、欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の結果との認識を示し、積極的な金融政策の必要性を強調した。
 ロイター 2月15日(金)20時33分


 日本のような国の緩和的金融政策は全く心配せず=ポーランド財務相

[ロンドン 15日 ロイター] ポーランドのロストフスキ財務相は15日、同国は日本のような国の緩和的金融政策について、「全く心配していない」と述べた。ロンドンで開いた記者会見での発言。
 ポーランドは20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のメンバーではないが、きょうからロシアのモスクワで始まるG20財務相・中央銀行総裁会議では、「通貨戦争」が大きな議題になるとみられる。
 ロストフスキ財務相は「日本のような国の緩和的金融政策については安心している。世界経済の現在のサイクルに適していると考えるからだ」と述べ、「(そうした政策は)国内の金融およびマクロ経済状況に向けられている。われわれは全く心配しておらず、ほかの誰かが心配する理由が分からない」と付け加えた。
 ロイター 2月15日(金)20時33分


 為替めぐる「騒ぎ」は無益=議論過熱に警鐘―ECB総裁

【モスクワ時事】モスクワで開催されている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に参加している欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は15日、最近の為替相場をめぐる「騒ぎ」は無益だと語り、議論の過熱に警鐘を鳴らした。ロシア中銀との会合後の記者会見で語った。
 ドラギ総裁は「為替相場は金融政策の目標ではないが、経済成長や物価安定には重要」と指摘。あくまでもこうした視点の範囲内で、為替動向を観察するとした。その上で、「ここ数週間の為替をめぐる騒ぎは、不適切、あるいは無益で、自己破滅的だ」と表明。構造改革などの議論の重要性を強調した。
 時事通信 2月15日(金)21時2分


 通貨戦争めぐる議論は行き過ぎ=IMF専務理事

[モスクワ 15日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は15日、世界的に過熱している通貨戦争をめぐる議論は行き過ぎとし、為替相場は適正水準から大きくかけ離れていないとの見解を示した。
 モスクワで同日から始まった20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行首脳会議で、ラガルド専務理事は「ここ最近の通貨戦争をめぐる議論は行き過ぎだ。ユーロが上昇し、円が下落しているのは事実だが、これらはユーロ圏のおける良好な政策、および日本の緩和政策の結果に過ぎない」と語った。
 そのうえで「主要通貨は、適正水準を著しく逸脱していない」と言明した。
 ロイター 2月16日(土)1時58分

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 日本が今進もうとしている方向には、賛同し、それに文句をいう「ドイツや新興国の一部」に対しては「おまえら言いすぎ」と釘をさす国や機関の方が多い。(見て分かるようにロイターと時事という通信社系の記事なので、「紙媒体」ではどう報道されていることやら……)

 実際のところ、

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 麻生財務相「ちょっとアゴで…スルスルと円安・株高」

おれたちはまだ何もしていない。ちょっとアゴでするだけで株価は2割強上がり、為替もスルスルと円安になった」。麻生太郎財務相(副総理)は14日の麻生派の会合で、自らのアゴを突き出しながら日本政府による「円安誘導」との指摘を打ち消した。
「輸出企業はえらい利益が出ている。各国の大臣は『どうしたらできるか聞きたい』というが、勝手に世の中が上がっている」とも強調。15日からモスクワで開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席を前に、「日本だけトリックしているように思われるとかなわん」と予防線を張った。
 朝日新聞デジタル 2月14日(木)20時7分

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 麻生財務相が言うように日本はまだ何もしていない。
 ただ「アメリカやユーロがやっていることに歩調を合わせようか」といいだしただけ。それで市場が「日本はもう損を押し付けられても黙っているような甘い相手ではない」と思い、ビビっているだけの話である。

 だから、

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 岩田一政日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)は14日午前、 現在の円相場は割高であるとの見方を示したうえで、交易条件からみれば1ドル=95円程度が妥当だと述べた。
 日銀法改正を目指す自民党議連「デフレ・円高解消を確実にする会」(山本幸三会長)で述べた。出席した自民党関係者が明らかにした。
 次期日銀総裁候補の1人とされる岩田氏は会合で、実質実効為替レートを基にした「均衡レート」の試算を披露。15─30%のかい離があるとして、対ドルで は90円から100円程度までが「均衡への回帰」だと指摘し、その中間点となる95円付近が妥当との考えを示した。「円高是正はどうしても必要だ」と述べたという。
 ロイター 2月14日(木)11時51分配信 「1ドル=95円が『妥当』、岩田元日銀副総裁が自民議連で表明」より

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 それなりの立場にある人間はもうこういうことを言うのはやめよう

 世界の視線が今大人しいのは、もちろん安倍政権の「政治力」あってのことだろうが、

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 G20声明草案、財政・金融政策は国内目的とのG7文言盛り込まず

[モスクワ 15日 ロイター] モスクワで15日から2日間の日程で始まった20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明草案では、財政・金融政策は国内経済目的の達成のみに用いるべきとした今週の日米欧7カ国(G7)声明の文言は盛り込まれない。G20筋が協議後に明らかにした。
 特定の為替レートを目標にはしないとしたG7声明の文言も盛り込まれず、為替の過度な変動を回避する必要があるとしたこれまでのG20声明の文言を踏襲する見通し。
 また、声明をめぐる協議で日本への名指しはなかったとした。
 財政問題に関しては、信頼ある中期的な財政再建計画を策定するコミットメントを確認すると同時に、一部の国については、目先の経済状況を考慮するとの見解を示す見通し。
 声明草案では、財政目標に関しても直接的な言及はない。
 ロイター 2月16日(土)1時48分

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 こういう話を見ていると、「日本をだしにして……」という「腹に一物」のところで彼らは思惑の一致をみている節もある。

 ここであまり日本が為替のことを話題にしすぎると、一気にその「ババ」を押し付け、「こんなことになったのは日本のせいだ」という流れを作られかねないのだから。


 本日の衝撃波。

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 <ロシア>ウラルで隕石が爆発・落下 700人以上負傷

偕楽園血圧日記-隕石落下
(写真、毎日新聞より。飛来した隕石と思われる物体の痕跡=ロシア・チェリャビンスクで2013年2月15日、AP)

【モスクワ田中洋之】ロシア非常事態省などによると、同国ウラル地方チェリャビンスク州付近で15日午前9時20分(日本時間午後0時20分)ごろ、隕石(いんせき)が大気圏内で爆発し、落下した。物体が音速よりも速く動く際に生じる「衝撃波」により、ガラスが割れたり建物壁面がはがれたりして、子供159人を含む725人以上が負傷、うち112人が入院した。死者の情報はない。内務省によると、隕石の破片は同州の3カ所に落下し、うち二つが発見された。被害の全容は不明だが、隕石落下で数百人規模の負傷者が出た前例はないという。
 タス通信によると、破片の一つは同州のチェバルクリ湖付近に落下したとみられ、軍関係者が直径約6メートルの穴を発見したという。付近の放射線レベルは正常という。
 隕石は直径10メートル近かった可能性もある。AP通信によると、ロシア科学アカデミーは隕石の重さを10トンと推定。時速5万4000キロ以上で大気圏に突入し、高度30~50キロで砕けたと分析している。
 非常事態省によると、隕石は中央アジア・カザフスタン上空からウラル地方に向かって北西の方向に飛んだという。インタファクス通信によると、チェリャビンスク州当局者は隕石の一部が中部チェバルクリから約1キロ離れた貯水池に落下したとみられると公表した。
 地元メディアによると、チェリャビンスク州の六つの居住地にある病院や幼稚園、学校を含む約300棟の建物でガラスが割れた。
 ロシア国営原子力企業ロスアトムなどによると、ウラル地方には使用済み核燃料再処理工場があるが、影響は出ていないという。
 地球には小惑星(直径45メートル、推定重量13万トン)が接近中で、日本時間16日未明に高度2万7700キロ付近のインド洋上空を通過する見通し。今回の隕石落下とは関係ないとみられる。
 毎日新聞 2月15日(金)20時28分

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 いやあ驚いた。
 小さな隕石ならば結構観察されているものだが、ここまで大きなものが落ち、しかも映像の形で記録されるとは。(しかし、「ツングースカ隕石」の話は私が子供の頃は少年誌の常連話題だったというのに、テレビのキャスターでも「知らない」という人がいたのには驚いた)

 近々地球の近傍をかすめる小惑星があると聞いていたからその「落とし物」かと思っていたが、記事を読むとそれはこの件の「後」ということなので、今回の隕石はまるきり別のところにその由来を持つものということになる。
 地球の周辺軌道のデブリならば10mもの大きさのものなら観測されているはずだから、いきなり月軌道の外からやってきたということだろうか? 出回っている映像では落下方向などがよく分からないが、結構な高緯度地帯に落ちているあたり、侵入方向などが気になるところだ。

 この隕石、人口密集地に落ちず、死者が出なかったところは不幸中の幸いだったというべきか。怪我をされた方にはまるきり不幸そのものだし、窓ガラスの破れた家に住んでいる人たちには腹立たしいことだろうけど。