ランクDを貫こう!(笑) | 偕楽園血圧日記

ランクDを貫こう!(笑)

「ガンダムエイジ」の主人公アセム・アスノは、やっぱり「エックスラウンダー」の素養がなかったのか。
 できればこのまま、「途中で覚醒した!」という方には向かわず、特別な力がないままもがき、挫折し、苦悩する姿を描いてくれれば面白いのだが。

「機動戦士ガンダム」が打ち切りだ何だでごちゃごちゃしているところを乗り切るために冨野監督が中途半端なままのニュータイプで話をまとめてしまったためか、それ以来ガンダムの主人公は「エスパー的」な人間がほとんどになってしまい、それが逆にこのシリーズを「特別な人間たちがどこか別のところで繰り広げている物語」にしてしまったのだから、ここで「そうではない主人公」が出てくることで、OVAでお茶を濁していた「世界の広がり」を本編に持ち込むチャンスにもなる。
 また、アセムが「エックスラウンダー」ではない方が、今回ビデオメッセージを送っていたフリットのプレッシャーが「不気味な圧力」になり、話に深みが出るだろう。

 戦争は一人のエースがいるから何とかなるものではない。たとえゼハートがどれほどすごいモビルスーツに乗っていようとも、またここの機体の能力に多少の差があっても―「エイジワン」を元にした「アデル」の配備で、ヴェイガンの一般機にはもうほとんどアドバンテージは無くなっているはず。もっとも、アセムがシミュレーションでそのフリットの「エイジワン」に負けていたあたり、「兵器の進化にかかる時間」だけは妙に現実っぽくなっているようなので、そのあたりは微妙だが(今までの「ガンダム」シリーズならば、いくら一般兵でもF91を使えばアムロの乗ったRX-78に負けるようなことはない)―後背地をしっかりと持ち、人的資源も圧倒的な地球側が絶対有利なのは、常識を適用するならば、揺るがない。
 その中で、「ゼハートに勝ちたい!」という気持ちをうまく昇華させられないまま戦いに埋もれていくアセムの姿を描いていくことは、物語に重さを持たせることになるだろう。
 それはまた、「僕はフリットに負けていないんだぁ~」といって流れていったデシルに対する主人公側の対比にもなる。

 幸い、というか、そういうことを狙っているのか、フリットの周りにはそういう「負に向かう感情」を受け止め、明るい方に向けてくれるキャラが多数配置されているようだし。


 それにしても、既に連邦の中では一般兵の話題になるほど「エックスラウンダー」のことは知れ渡っているんだなぁ。
 そのくせ「エックスラウンダーのエース」の話が出てこないのはどういうことだろう? まさかコウモリ戦役時のフリットの活躍だけをもってしてそういう話をしているわけではあるまい?
 この後そういう人間が出てくることになるのだろうか? フリットは「アスノ家の使命」というのに捉われているから、「エイジワン」をエイジシステムから切り離すというのも、そういうキャラを出してアセムのあて馬にすることを企んでいるとか(笑)。


 フリットが本当に全体のことを見る目を持った司令官ならば、上で書いたホームアドバンテージを生かすために、火星から補給をしなくてはならないヴェイガンの補給路をまず脅かすように戦力を配置するだろう。
 ゼハートが鎮座しているヴェイガンの要塞が地球圏のどこにあるのかは物語で語られないので分からないが、補給を断たれたらにっちもさっちもいかなくなる。
 そして、その補給の出発点は火星だということが分かっているし、スタートレックの宇宙船レベルでなくては惑星公転面を大きく外れた航宙は難しいのだから、月を中心にした警戒網の構築とと第1話でUEの進行を予測したフリットの計算力があれば「ウルフ・パック」作戦の実行は難しくない。

 それとも、25年前にヤーク・ドレが地球の闇勢力に食い込んでいたように、話の中ではヴェイガンに協力し、補給にわたりをつけるようなものが地球側にいるということになっているのだろうか?
 その場合、そっち方面での戦いを2代目にさせても面白かったな。話は地味になってしまうが、「Ζ」をなぞるのならばその方が良かったのではないか?


 ところで、ウルフ隊のオブライト「赤キノコ」中尉がフラグ立てに入っているようだが、気をつけた方がいい。
「ガンダム」で脇キャラがそういうことをすると、死ぬぞ(苦笑)。

(そういえばラーガンはどうしているのかなぁ。まさかそのうちキャラの台詞だけで「何年前の戦いで~」といってすませられたりは、しないよな?(汗))