さすがは「市民活動家」だ | 偕楽園血圧日記

さすがは「市民活動家」だ

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 浜岡原発の運転停止要請=首相が中電に

 菅直人首相は6日夜、首相官邸で記者会見し、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の全ての原子炉を停止するよう、海江田万里経済産業相を通じて中電に要請したことを明らかにした。理由について、首相は「重大事故が発生した場合の日本社会への重大な影響を考慮した」と述べた。
 首相は、今後30年間で浜岡原発が立地する地域で東海地震が発生する可能性が87%あるとして、防潮堤の建設など中長期的な津波対策が必要だと説明。その上で、「中長期の対策が完成するまでの間、(浜岡原発で)運転中のものを含め、全ての原子炉を停止すべきだと私は判断した」と述べた。
 夏場の電力需要との関係では、「多少の(電力)不足が生じる可能性があるが、国民の理解と協力があれば対応できる」と語った。
 時事通信 5月6日(金)19時22分

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 また左巻き大勝利である(怒)。

 昨日のエントリーのコメント欄で「柏崎だって活断層はある」と指摘してくれた方もいるが、この発表があった会見でもNHKの記者が質問していたように、「なぜ浜岡なのか?」という疑問は誰もが持つところ。で、なぜかといわれると、これまでの福島瑞穂氏の言動などで分かるように、「浜岡は左巻きの攻撃の象徴」だから。動いているところではこの浜岡が、計画地では中国電力の上関が、今は左巻きが攻撃する「悪の象徴」になっているのだ。

 浜岡のある御前崎市では「昨日(菅会見の前日)経産相が来ていろいろ聞いて行ったばかりだったのに、あれは何だったのだ?」という不満の声も上がっているが、今回の要請は、「悪の象徴」としてあげつらったものを「停めてやった」とすることでアピールする、つまりは「ゼネコン利権の象徴」としてその背景などまったく無視してマニフェストに「中止」と書き、「中止の理由はマニフェストに書いてあるから」とやっている八ッ場ダムとまったく同じ構図なのだ。

 以前にも書いたように、原子炉は「スイッチを切ってはい停めました」とできるものではない。それは福島第一発電所の事故や廃炉に向けて作業中の浜岡第一・第二原子炉を見ていれば分かること。だからこそ「災害に見舞われた時にそれを原子炉破壊に結び付けない努力」というものが必要になる。
 菅総理もアリバイ的に「中長期対策が完了した後の再稼働」を匂わせているが、ならば「停止要請」をいうのは、政府内での「その後」の間の方針も決まっていない時点ではあまりに踏み込み過ぎである。
 細野補佐官や一部のメディアが「これは原子炉行政の転換ではない」といっているが、調子に乗った左巻き団体が「日本の足を引っ張れる材料」を得たと大騒ぎし、「転換・後退」の方向にしか動けないようにさせられるのは間違いない。
 中部電力は要請受け入れに逡巡しているようだが、福島の事故後、「少しでも原子炉擁護」を口にしたものにぶつけられたバッシングを見れば、これを無視することは難しいう。
 お定まりのようにヤフーのニュース配信につけられたコメントでは「菅が珍しくまともなことを言った」とか「英断」といった目先の感情論だけで判断しているものが並んでいるが、そういう輩もまた、左巻きに踊らされて「吊るし上げ社会」の兵隊として役に立ってくれるだろう。


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 電力供給、綱渡りに=浜岡原発停止で―中部電

 中部電力が、6日に菅直人首相から要請された浜岡原発の運転停止を受け入れた場合、トヨタグループをはじめ日本の「ものづくり」の中核を抱える管内の電力供給は綱渡りを余儀なくされる。
 経済産業省によると、中部電が2011年度の当初計画で示した供給力は3089万キロワットで、夏場のピーク時の需要2709万キロワットを十分賄える能力を確保していた。しかし、浜岡原発で運転中の4、5号機に加え、7月の運転再開を目指す3号機まで停止となると、約360万キロワットの供給力が失われる。余力はわずか20万キロワットほどに減る計算だ。
 一方、福島第1原発事故などで供給不足に陥っている東京電力には100万キロワットの融通を要請されている。中部電が苦境を乗り切るには、火力発電所や水力発電所のフル稼働、隣接する関西電力からの融通などが必要で、需給計画は大幅な見直しを迫られそうだ。
 時事通信 5月7日(土)1時1分


 浜岡原発停止なら、中部電力の赤字避けられず

 浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止が避けられない情勢となり、中部電力は、火力発電などへの切り替えに伴う発電コスト上昇で、2011年度の営業利益が赤字転落する可能性が出てきた。
 夏には管内で電力の供給力不足に陥る恐れもあり、中部電の経営は大きく圧迫されそうだ。
 中部電は、定期点検で休止中の浜岡原発3号機を7月に再開することを前提に、11年度の業績見通しを算出していた。しかし、菅首相による6日の運転停止要請で状況は一変した。
 中部電によると、原発1基分を火力発電で代替すると、燃料コストは1日2億~3億円上昇する。原発の稼働率が1%下がるごとに、営業利益は年26億円押し下げられる計算だ。
 5月以降の稼働率がゼロとなった場合、11年度分で2000億円を超える減益要因になる見通しだ。中部電は、11年度の営業利益を1300億円と予想しているため、営業赤字に転落する可能性が高い。
 読売新聞 5月7日(土)0時24分

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赤字避けられず」と書く読売の記事とは違い、東電の時にも指摘されたように、「赤字にならないような電気料金が設定できる」法律が日本にはある。「浜岡なんて全体の一割ちょっとしかないのだし、以前停まった時も大丈夫だったから問題ない」という自分の周囲二メートルの経済しか見ない者は、こういう記事が何を書いているかも理解しようとしないだろうが、そういう人間も電気料金が上がったら上がったら文句を言うに違いない。
 が、電気料金の値上げは、ただ家計直撃というだけではなく、産業界の「日本脱出」まで視野に入れて考えなければならない問題なのだ。

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 「なぜ今」「海外に誤ったメッセージ」原発放棄、信頼は失墜

 6日夕、突然発表された中部電力浜岡原発の運転停止要請で、これまで環境問題やエネルギー安全保障の面から「化石燃料だけに依存できない」としてきた日本の原子力政策は真っ向から否定され、関係者に衝撃が走った。菅直人首相が自ら原発を捨て去ったことに、監督官庁の経済産業省幹部からも「海外に誤ったメッセージを送りかねない」との声が上がった。
「今まで実施してきた政策と矛盾する。(首相は運転停止の)根拠と考え方を示すべきだ」
 日本原子力学会の沢田隆副会長はこう強調し、「浜岡原発は保安院に求められた対策へ手を打っている。このタイミングでの要請は不思議だ」と指摘する。
 エネルギー総合工学研究所・原子力工学センターの内藤正則部長も「すべての原発を止めるなら筋が通るが、なぜ浜岡原発だけなのか。対策を重ねることで、運転再開への理解が得られる」と批判する。
 東海地震が懸念される浜岡原発。今回、経産省原子力安全・保安院が「より一層の高い信頼性が求められる」と言及したように、「世界一危険な原発」などと指摘されてきた。
 だが、国などはそのたびに、「お墨付き」を与え続けた。浜岡原発をめぐる司法の場においても、平成19年10月の静岡地裁判決は「(国の)安全基準を満たせば、重要設備が同時故障することはおよそ考えられない」として原発反対派の住民側の請求を棄却した。
 中電は、東海地震の規模をマグニチュード(M)8クラスと想定し、耐震性や津波対策を考慮してきたが、技術評論家の桜井淳(きよし)氏は「停止判断は遅かったぐらいだ。想定を超える地震が実際に起き、条件は正当性を失った」とする。
 一方で、東京電力福島第1原発の事故を受けても、米国のオバマ大統領が推進政策の堅持を表明するなど、原子力推進という海外の流れは変わっていない。
 そのような中で発せられた「原発放棄」に、ある経産省幹部は「これまでの日本の原子力行政への信頼が失われ、誤ったメッセージを世界に送りかねない」と危惧を強めた。
 産経新聞 5月7日(土)1時0分

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 日本は原子炉の技術を世界に売ろうと頑張っていたが、福島の事故に加えて、この唐突な、技術的理由もない政府の動きによって、もはやそれも不可能になるだろう。

 日本やヨーロッパで反核運動が勝利しても海外の原子炉需要がなくなるわけではないし、行き場を失った技術をどこかの半島国家が二束三文で手に入れようと動くのは間違いない。
 自主開発できなかった技術を得て儲ける国や、安価なエネルギーで発展する東南アジアなどを仰ぎ見て、産業空洞化と技術喪失で彼らの下請け国家になり下がってしまった半世紀後の日本人から、「なぜあの時もっと熟考しなかったのだ?」と問われる未来の可能性がまた一段と大きくなってしまった。

 原子炉を停めろというのならば、それによって起きることまで考えて、不便ないよう図るのがエネルギー行政を受け持つ者の責任である。だが、菅総理は行政府の中でそういうことについて議論することもなく、ただ自分の裁量だけでこういうことを言い放ち、「あくまで『要請』だから停めることで生じる不便は企業責任」と逃げる。これは「計画避難区域」を決めながら避難した人には「勝手に暮らしてくれ」とやっている姿勢と同じく「行き当たりばったり」で、どこまでも無責任である。

「核分裂ヤカン」のような原始的な技術ははじめから限界が見えているのだから、できる限りに気を使って利用しきって終わりにしけばいいだけの話。「脱原子力」というのは前に進むことでしか得られないものなのに、問題の本質を見極めようともせずただ感情的に動いてしまう菅氏は、「理系政治家」というよりはやはり「市民運動家」でしかなかったということだ。


 おまけ。

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 福島原発収束に向け、鳩山氏らがアイデア募集サイト

 民主党の鳩山由紀夫前首相らは6日、福島第1原発事故収束に向け、技術的な発想やアイデアを公募するウェブサイト「Bチーム」を立ち上げた。現行の水冷却に代わる収束策をまとめ、政府の福島原発事故対策統合連絡本部(本部長・菅直人首相)に提案したい考え。Bチームのアドレスは、
http://www.daiichi-b.jp/
 産経新聞 5月6日(金)22時5分

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 こちらの自称「理系人間」の方も、「もっといいやり方がある」と豪語していたくせになぁ。
 サイトの方を覗いてみると分かるが、そこに並べられていることは政治的メッセージと「そんなことは分かっている」というものばかりで「だからどうした」の世界。

「おまえらもっといい考えをくれ」とネットに意見を求めるのならば、さっさと議員バッジを外し、その資産を持って「なんたら研究所」でも作ってくれればいいのに。


 本日の「変形は男のロマン!」。

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 ヴァージン宇宙船、大気圏再突入モードでの飛行に成功

偕楽園血圧日記-変形!
(写真、レスポンスより。ヴァージンギャラクティックSS2、フェザー形態)

 ヴァージンギャラクティックの宇宙船『スペースシップ・ツー』(SS2)が4日、米モハベ宇宙空港上空で、大気圏再突入時の機体形態“フェザー”(=羽根)での飛行に初めて成功した。史上初の商用有人宇宙飛行ツアーをめざすヴァージンギャラクティックが同日発表した。
 SS2・船名「VSSエンタープライズ」は、母船の『ホワイトナイト・ツー』(WK2)・船名「VMSイブ」によって5万1500フィート=1万5700メートル上空まで運ばれ、分離された。分離されたSS2は、尾部を機体中心線から65度上方へ回転させて持ち上げ、大気圏再突入時の“フェザー”形態をとった。
 機体は水平を保ちながら、ほぼ垂直に約1分15秒間降下、空気抵抗で減速しながらの平均降下速度は毎分1万5500フィート=4700メール。そして高度約3万3500フィート=約1万0800メートルで機体は通常の滑空モードに変形、分離して11分5秒後に着陸した。
 この大気圏再突入の方法はSS2の大きな特徴だ。真空の宇宙から密度のある大気圏への再突入は、宇宙飛行においてもっもと危険な部分のひとつであり、技術的課題となる。機体を開発したスケールドコンポジット社は、機体の空力デザインと物理の法則に従ったシンプルな方法を考え出した。
 SS2の宇宙飛行では再突入の前、大気圏外で宇宙船の船尾を上方に回転させる。バドミントンのシャトルコックに似た構成だ。これにより機体の高度と水平姿勢が自然に制御され、また強力な空気抵抗を得られる。
 このフェザー形態は安定性が高く、再突入時にパイロットの操作が必要ない。従来の宇宙船ではコンピューター制御にたよる部分である。軽量な機体も減速に貢献し、従来の有人宇宙船と比べ、再突入時の機体表面の温度が低くなる利点もある。
 フェザー形態のSS2は再突入後、高度7万フィート=2万1000メートルで船尾を下げ、グライダーとなって宇宙空港の滑走路に戻ってくる。
《レスポンス 高木啓》
 レスポンス 5月5日(木)15時3分

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 写真では「尾部」ではなく翼の一部が持ち上がっているだけのように見えるのだが(汗)。

 しかし記事の中の「強力な空気抵抗」と「機体表面の温度が低くなる」は、再突入時に発生する熱は巷で言われている摩擦熱ではなく断熱圧縮によるものだということを考えると矛盾する。
 なるほど、だから後方への気流を整えることで圧縮された空気を後ろに逃がす形としての「尻上げ」なのか。

 Ζガンダムのウエイブライダー形態も、本当は脚の部分を上にはね上げたこういう形になるのかもしれないな(笑)。