最初から逃げ腰か? | 偕楽園血圧日記

最初から逃げ腰か?

 昨日のNHK「クローズアップ現代」は東トルキスタンの動乱を取り上げていたのだが、番組開始時の前説で「漢族」「漢族」と連呼していたのが非常に耳ざわりであった。
 その後も番組中では「漢族」が連呼されていたが、そのような民族は実は存在せず、考え方的には今の国籍に近いくくりがその正体であることを考えれば、これは「漢人」という表現を使うのが正しい。日本のメディアでは「漢族」「ウイグル族」という言い方をするところが多いが、そこには「中国による他国占領と支配」という本論から目を反らさせようとする意図がこめられているのだ。

 番組では「中国語教育」を取り上げ「仕事の機会を与える」と自画自賛する人間を出していた。それ自体は悪いことではない。中国経済に発展が依存している地域で中国語を覚えるのはいいことである。が、その裏で「ウイグル語禁止」をしている事になぜ触れない、NHK?
「東トルキスタンからの集団移住政策」を「発展している沿岸部での仕事斡旋」とごまかす必要があるのか?
「日中戦争終結後」に軍事侵攻した解放軍を「屯田兵」というなど噴飯ものである。
 NHKはついこの間、「Japanデビュー」で「日本の台湾支配」を悪辣なものだと吊るし上げたばかりではないか。それが中国のウイグル支配では「こんなにしてやっているのに」という視点からこの動乱を解こうとする。これではどこまでいっても自体の本質など見えるわけがない。
「クローズアップ」と銘打っていても、その焦点がずれていては何の役にも立たない。以前からこの番組は「反日・反政府」意識が強いが、いい加減に「レンズの歪みを直す研磨」にかけたほうがよさそうだ。


 さて、ウイグル動乱を受けて現地での「監視・思想教育強化」に邁進しだしている中国であるが、日本の政治混乱の隙を狙ってか、こちらの方にもその野心の手を伸ばし始めているようだ。

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 東シナ海ガス田「白樺」、中国が開発再開か

 日中両政府が共同開発で合意した東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)で、中国が資材搬入など単独開発の再開に向けた準備とも受け止められる動きを見せていることがわかった。
 複数の政府関係者が13日、明らかにした。
 実際に採掘など開発に向けた作業が再開されれば、昨年6月の政府間合意の明確な違反となる。日本政府は今後も事態の推移を見守り、開発再開を確認すれば外交ルートで厳重に抗議する方針だ。
 白樺周辺には、先週から数隻の中国船が集結していることが自衛隊機により確認されている。中国政府は今月10日、日本政府の問い合わせに対し、「施設の維持管理作業のため」と回答。しかし、その後の日本政府の調べで、維持管理には関係ない資材の持ち込みなどが確認されたという。
 読売新聞 7月14日3時7分

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 数週間前にこのような動きが捉えられただけではなく、

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 中国海軍、沖ノ鳥島近海で軍事演習 ついに「本格進出」

 中国海軍の水上艦艇5隻が6月下旬に沖ノ鳥島(東京都小笠原村)付近の海域で軍事演習とみられる活動をしていたことが15日、分かった。中国の水上艦艇に関しては沖ノ鳥島付近の海域で海洋調査船や遠洋航海目的の海軍艦艇が航行していたことはあったが、海軍の水上艦艇が長期間にわたって軍事演習とみられる活動をしていたのが確認されたのは今回が初めて。
 防衛省によると、5隻の水上艦艇は、ミサイル駆逐艦1隻、フリゲート艦2隻、補給艦1隻に、支援船1隻が随伴していた。
 5隻は6月19日に東シナ海から沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出た後、6月22日に沖ノ鳥島の北東約260キロ付近の海域で確認された。フリゲート艦の艦載機とみられるヘリコプターが上空を飛行したり、艦艇が急旋回するなどの軍事演習とみられる活動をしたという。
 5隻は6月25日に沖縄本島の南西約170キロの太平洋を北西に航行し、沖縄本島と宮古島の間を再び通過して東シナ海に戻ったとみられる。自衛隊はP3C哨戒機と護衛艦を派遣して情報収集にあたった。
 中国の軍事動向に詳しい関係者によると、中国海軍の水上艦艇は東シナ海や南西諸島の太平洋側を中心に活動をしていることが多かったが、今回は、中国海軍の遠洋活動能力が格段に向上していることを示しているという。
 中国は2003年ごろに始めた沖ノ鳥島付近の海洋調査が終了したため、海軍艦艇が本格的に進出し始めたとみられる。
■沖ノ鳥島(おきのとりしま) 東京から約1700キロ離れた周囲約10キロのさんご礁からなる日本最南端の無人島。日本の国土とほぼ同じ約40万平方キロの排他的経済水域(EEZ)を周囲に持つが、満潮時には2つの小島が海面に出ているだけで、満潮時に海に隠れてしまうと、EEZが失われる恐れがある。このため、政府は周囲にコンクリートの保護壁を造るなどの保全策を取っている。
 産経新聞 7月16日1時43分

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 先月には日本の排他的経済水域で軍艦が機動演習をしてたというのだ。

 なるほど、EEZといっても公海、資源利用権が日本にあるというだけで航行の自由はあるし、演習をすることもできよう。が、無用な緊張や偶発的な衝突を生まないためにも、そのような行動をとるときには事前に周辺国に通告しておくのが世界の常識。
 産経の軍事関係記事は飛ばしが多いのでどこまで信用できるのかは分からないが、どうもこの記事の書き方ではそんなものなどなかったように見て取れる。ならば彼の国の感覚では、既に「日本は対等な主権国家として扱う必要がない。自衛隊など気にしなくてよい」となっている恐れがある。
「工作完了」と驕っているのだろうか

 これには、「沖縄一国二制度」とか「アジア共同体を作って主権を移管」などといっている政党が与党になりそうな勢いだというのも大きく影響しているに違いない。

(2009/07/12の記事、口先だけに変わりはない) で取り上げた記事の中では「インド洋海上給油」は見ないふりをしていた民主党、

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 <民主>一転「給油継続」 特措法期限まで 米国に配慮

 民主党は16日、海上自衛隊によるインド洋での米艦船などへの給油活動について、政権獲得後は、これまでの反対姿勢を転換し、当面は継続する方針を固めた。同党はこれまで、活動の根拠となるテロ対策特別措置法や、給油を継続するための法改正に反対してきた。だが米国側が公式、非公式に民主党の主張への懸念を繰り返し伝えたことを受け、日米関係を重視する立場から方針を転換した。
 海上自衛隊は現在、改正新テロ対策特別措置法に基づいてインド洋での米軍艦などへの給油・給水活動を行っている。法律上の期限は来年1月15日まで。民主党は当面、この期間中は給油活動を続け、アフガニスタン本土での人道復興支援などを含めた全体的な戦略を米国と本格的に協議する方針だ。今月末に正式発表する衆院選マニフェストでも、昨年10月の原案にあった「給油延長反対」は盛り込まない
 給油活動を巡っては民主党が参院選で大勝した直後の07年8月、小沢一郎代表(当時)がシーファー駐日米大使(同)に、報道陣に公開した場で「米国の行動は国連安保理の承認を得ていない」と反対を表明した。参院で野党が過半数を占めたことを背景に、活動を継続する新テロ対策特別措置法案に反対。給油活動はいったん中断し、08年1月、憲法に規定された衆院での再可決による特措法成立を受けて再開された。
 給油活動を継続することについて党幹部は、「米国との信頼関係は重要だ」と語った。
 毎日新聞 7月17日2時30分

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 それどころか今までさんざん国会の足を引っ張ったことを謝罪もせず、「続けます」といってしまっているが、さて、この「中国サマ」を喜ばせ、増長させてきた路線はどこまで貫いていくことだろうか(冷笑)。

 うまくいって政権与党となっても、

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 自衛隊「最小限の組織に」=社民が政権公約発表

 社民党は16日、次期衆院選のマニフェスト(政権公約)を発表した。安全保障政策では自衛隊の海外派遣のための恒久法制定に反対すると明記。自衛隊は専守防衛に徹する「必要最小限の組織に縮小する」との方針を打ち出した。
 社民党は衆院選で与野党逆転が実現した場合、マニフェストに基づいて民主党との連立政権協議に入ることを決めている。しかし、安全保障政策をめぐっては両党の隔たりが大きく、難航も予想される。
 マニフェストは冒頭で、「社民党は新しい連立政権を目指す」と宣言。連立協議で主張する基本政策として、(1)雇用と社会保障の再建(2)内需中心の経済への転換(3)不公平税制の是正(4)憲法理念の実現-の四つを挙げた。
 時事通信 7月16日17時30分

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 下駄の裏の雪のようにくっついてくる社民党がこんなことをいっている状態で、どこまで日本の防衛というものに力をいれられるだろうか。(彼らは設立以来始めて自衛隊を「公式に」海外派遣したのは自分たちだということを覚えているのだろうか?)


 民主党が逃げ回っていなければ、7月にはいってからの解散前に最低2回の党首討論が行なわれていたはず。麻生総裁が「次回は安全保障で」と提案したこともあるので、開催されていればこのあたりの民主党の「安全保障に対する考えと責任感」が聞かれたはずである。「鳩山隠し」でこの機会を潰したのは民主党なのだから、適当な言葉でお茶を濁すのではない安全保障論を国民に対して広く伝える努力をしてもらおうではないか。
「貨物検査特措法案」からすら逃げてしまったような政党でも、それができれは少しは見直す人も出よう。

 もっとも、民主党(に限らずどこの政党でもそうだが)のいう「マニフェスト」とは単に昔の「公約は口約」を横文字で書き直してごまかしているだけで、今でも「できなくても別にいいし」という姿勢に変わりはないから、口先だけでいわれても信用はできない。議員の本音はその行動で示してもらわねばならない(ただでさえ、民主党は沖縄に置かれる日本の対潜水艦能力向上のための施設を「むだづかい」といっているのだ)。
 日本の安保に対する姿勢を示す「貨物検査特措法案」を店晒し廃案にすることを「マスコミが自民党のごたごたを取り上げて民主の国会サボりを隠してくれたから大丈夫」と考えているような議員には国会を出たら二度と帰って来てもらわなくて結構である(怒)。

 土日祭日で国会休みの後21日解散となっても、まだ当日がある。参議院には「時計が止まった」という伝説もあるではないか!


 おまけ。

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 手帳交付 県が控訴取り下げ

 広島県は16日、来日しないことを理由にブラジル在住の日本人女性と男性計2人の被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法とした昨年7月の広島地裁判決について、控訴取り下げを決めた。県の敗訴が確定する。
 同様の在外被爆者訴訟をめぐっては自治体敗訴の判決が続いており、6月には大阪府が控訴せず、長崎県が控訴を取り下げている。
 同日、記者会見した藤田雄山知事は「原判決に不満はあるが、被爆者援護の観点から控訴取り下げを決めた」と政治判断であることを強調した。
 広島地裁判決は、手帳取得の来日要件に一定の合理性を認めたが「来日しないという理由だけで例外なく形式的に却下したのは裁量権の乱用で違法」と判断。却下処分を取り消し、国に計165万円の賠償を命じた。海外からの手帳申請をめぐる訴訟では原告側初の勝訴だった。
 県は「控訴しなければ、法定受託事務全般や類似訴訟に大きな影響を及ぼす」とする厚生労働省の強い要請もあり「手帳交付は法定受託事務であり、県知事に裁量権がないのは明らか」として控訴。広島高裁で争っていた。
 中国新聞 2009年7月16日(木)14:00

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 この控訴取り下げは間違ってはいない。海外に住むというだけで日本人が日本政府の保障を受けられないというのは間違っているのだから。
 だが、中国新聞は物事をもっと正確に書くことを学ぶべきだ。
 この訴訟と、「6月には大阪府が控訴せず、長崎県が控訴を取り下げている」は違うもの。こちらの二つは「韓国に国籍を持つ韓国人が起こした訴訟」なのだ!

 何度も書くが、韓国人に対する社会保障の義務は一義に韓国政府が持つ。韓国政府は戦後大日本帝国から独立し、当時日本人であった朝鮮系の人たちを「韓国人である」といって自国の国籍に変えさせたのであるから、当然彼らに対する義務を負い、彼らの権利は韓国政府に対してのみ保証されるものになったのだ。
 海外在住の日本人に対して日本政府が保障を怠っていたのは許されないことだが、その隙に紛れて「外国人」の立場を隠してもぐりこもうとする連中には気をつけなくてはならない。マスメディアまでがその欺瞞に気がつかないようではいかんぞ!


 本日の巡啓。

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 ハワイの両陛下、国立太平洋記念墓地にご献花

偕楽園血圧日記-ハワイの両陛下
(写真、産経新聞より。国立太平洋記念墓地で御供花のため献花台に歩まれる天皇、皇后両陛下=15日午前10時11分、ハワイ・ホノルルの国立太平洋記念墓地(矢島康弘撮影))

【ホノルル=白浜正三】米ハワイを訪問中の天皇、皇后両陛下は15日午前(日本時間16日早朝)、国立太平洋記念墓地(パンチボール)に献花、戦没者の霊を慰められた。
 宮内庁によると、天皇陛下が同墓地で献花をされるのは、皇太子時代の1953(昭和28)年と、ご結婚後の1960(同35)年、1994(平成6)年に続いて4回目となる。
 94年の両陛下のハワイご訪問では、真珠湾攻撃の犠牲者を悼むアリゾナ記念館の訪問も検討されたが、「真珠湾攻撃への謝罪と受け止められるおそれがある」といった批判に配慮し、同記念館への訪問は見送っていた。
 今回は、宮内庁、外務省とも「両陛下の真珠湾ご訪問を検討した事実はない」としている。
 同墓地には、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争などで戦死した軍人やその家族約5万人が埋葬されている。
 両陛下は同墓地に到着後、赤じゅうたんの上をゆっくりと献花台に進まれた。陛下は献花台に花輪を添え、皇后さまとともに黙祷(もくとう)された。
 上空では、米軍機と日本の自衛隊機が低空で慰霊のための飛行を行った。式典の途中でにわか雨が降り出し、両陛下には傘が差し出されたが、両陛下は整然と式典を続けられた。
 産経新聞 7月16日8時59分

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 ほとんどのマスメディアはこの一週間政治のゴタゴタばかりに力を入れていたが、本来ならばこのようなことこそトップニュースにする価値があるのではないのだろうか?

 今回陛下は真珠湾には行かれなかったし、政府も「検討されなかった」といっているが、事前の情報では「検討課題」とされていたはずである。
 それでなくともマスコミ業界人は「戦争を語る」ことが好きなのだから、太平洋戦争に思いを馳せ、日米関係の歴史を理解し、よりよい未来を築く礎にするためにも、原点である真珠湾のことを含めて報道すべきであろう。
 何しろアメリカが作った「日本軍機が病院などの民間施設を攻撃した」という嘘が描かれている映画を観て、「感動しました」といってしまう若者がこの国にはあふれているのだから。(それともそういう嘘を受け入れる土壌を作ったことに「しめしめ」とほくそえんでいるのか?)