「巨悪」とは | 偕楽園血圧日記

「巨悪」とは

 小沢代表の献金問題はいろいろなところに影響を与えているが、中川(昭)氏が大臣を辞任したときに「この瞬間を逃すな」とばかりに定点観測である内閣支持率調査を前倒しした朝日新聞(2009/02/21の記事、何と恥ずかしいのだろう) は、なぜこんな大事が持ち上がったのに、「どう思いますか?」調査をしないのだろうか? 一応民主党の県連にはアンケートをとっているようだが、それは「街の声」ではないよねぇ(苦笑)。
 記事の中では結構小沢代表に不利なことでも書いているが、それが「民主党」にまで波及しないようにという思いがあるのだろうか。今まで「麻生の支持率が下がった」といい続けることでさらなるアナウンス効果を狙っていたメディアとしては、ここで「民主党の支持率が下がった」というと逆方向のアナウンス効果が作用すると思って怖がっているのだろう。

 そんなふうに大手メディアが怖がっている中、地方のラジオ局(FM放送は聴取エリアが狭いので、東京のものでも地方扱いでいいだろう)がこんな調査をやってくれた。

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 <TOKYO FM>20~30代の自民党支持率急増 小沢氏秘書逮捕で緊急リスナー調査

 民主党・小沢一郎代表の公設第1秘書の逮捕などを受け、「TOKYO FM」が5日、「いま解散総選挙が行われたら、あなたはどの政党に投票する?」というリスナー調査を実施したところ、64%が自民党支持との結果が出た。
 調査は、国際弁護士でコメンテーターの八代英輝さんがパーソナリティーを務める「八代英輝のクロノス」(午前5時~)の放送開始から情報番組「DIARY」(午後2時~)の放送終了まで4番組、11時間半に渡り、携帯電話やパソコンを使用して無記名で行った。男性383通、女性327通の計711通の回答を得て、年齢別では10代が2%、20代が29%、 30代が38%、40代が24%、50代が5%だった。
 1位の自民党には「自民党しか入れる党がない。民主党は小沢代表の秘書逮捕でメッキがはがれた気がする」(34歳女性)などの声が寄せられた。2位は17%の「民主党」。「金がらみの捜査よりも国策を優先してして考えれば民主でしょう」(25歳女性)という小沢代表を後押しする意見も上がった。3位は12%で「どの党も支持出来ない」、4位は6%で「その他の政党」だった。【西村綾乃】
 毎日新聞 3月6日15時50分

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 が、これはちょっと行き過ぎた影響が出ているなぁ。

 よく「ネット投票は新聞の調査と違って意味がない」ということを言う人がいる。なるほど、「あちら」が調査対象を選ぶ新聞等と違って自由意志で参加できるネット投票は「不参加人の意思」が反映されないので全体の傾向を掴むデータにはならない。が、選挙というのがそもそも「投票したい人がする」行動様式だということを考えれば、ネット投票の方がその様式に近いことを忘れてはいけない。重複投票がなくなれば、ネット投票の結果は「選挙結果」を読むいいデータになる。
 と、いうことで「TOKYO FM」の人気投票である。民主党を投票先から外す人が多くなっているのはいい傾向だが、自民党支持がこんなに上がってしまうのは……これが「『今のところは』民主党がダメすぎるので自民しかない」ならばまだ救われるのだが、「自民がダメだから民主」といっていた意識が単に裏返ったというだけならば問題である。(朝日新聞などはそうだと思っているからこそ「緊急調査」をしないのだろうが)それでは結局「その時気にかかること」で政党を選んでいるというだけのことになってしまう。


 さて、テレビでは「総理大臣が指揮権発動して調査をやめさせるべきだった」というようなコメンテーターたちが陰謀論を振りかざし、永田町でも、

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 民主、漆間氏とみて追及へ 「自民立件ない」発言の高官

 西松建設の違法献金事件で「自民党側は立件できない」と発言した政府高官は6日夜、改めて記者団の取材に応じ、「一般論として、違法性の認識の立証がいかに難しいかという話をした。『自民党側に捜査が及ばない』とは言っていない」と発言を否定した。一方、民主党はこの政府高官を元警察庁長官で官僚トップの漆間(うるま)巌官房副長官とみて、週明けの国会で追及する。
 政府高官は記者団に「記者の皆さんのとらえ方で、私の本意ではない」と釈明。「捜査は検察が決めることで、私は情報が入る立場ではない」と捜査情報を踏まえた発言でないことも強調した。朝日新聞はこの高官に身分を公表するよう求めたが拒まれた。
 この問題で民主党は、9日の参院予算委員会に政府参考人として漆間氏の出席を要求し、発言の主であるかどうかを直接ただす構え。だが、政府は応じない方針だ。
 また新党大地の鈴木宗男代表は6日夜のBS放送の番組で、「漆間氏が『自民党に発展しない』と言うことがおかしい。権力側が裏でつるんでやってるという話になる」と実名を挙げて批判した。漆間氏は警察庁長官を経て、麻生内閣発足の08年9月に中央省庁を束ねる事務担当の官房副長官に就任した。
 政府高官の発言が出たのは定期的に開かれる記者団との懇談。メモをとらないオフレコ扱いで、政策などの真意や背景を聞く場だ。記者はニュース性があると判断した発言は、「政府高官」を主語にして報じる。
 asahi.com 2009年3月7日3時0分

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 正体不明の「政府高官」の言葉に乗って鳩山民主党幹事長などが「やっぱり陰謀だ」とはしゃいでいるが、

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 西松前社長「二階氏側も違法認識」 献金、小沢ルートと捜査

 小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、逮捕された西松建設の前社長、国沢幹雄容疑者(70)が東京地検特捜部の調べに、二階俊博経済産業相側のパーティー券の購入先は、小沢氏側の西松からの献金に対する認識と同様、「二階氏側も実際は西松だと当然知っていた」と供述していることが6日、捜査関係者の話で分かった。特捜部は二階氏側にも違法性の認識があったとみて、小沢、二階両氏側のルートについて、規正法違反容疑で捜査を進めるもようだ。
 問題の政治団体は、二階氏が代表を務める自民党二階派の「新しい波」。
 政治資金収支報告書によると、同団体は平成16~18年、政治団体「新政治問題研究会」(新政研)と同「未来産業研究会」(未来研)に合計838万円分のパーティー券を購入させていたとされる。地検によると、新政研と未来研は西松のダミーだった。
 捜査関係者によると、国沢容疑者は特捜部の調べに対して、「政治団体がダミーだったことは二階氏側も認識していたはず」との趣旨の供述をしており、パーティー券を購入したのは「二階氏側も実際は西松だと当然知っていた」などと説明しているという。
 特捜部は、陸山会が、西松からの企業献金だと認識しながら、両政治団体から2100万円の献金を受領したとする虚偽の内容を、収支報告書に記載したなどとして、陸山会の会計責任者で小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(47)や国沢容疑者ら3人を逮捕した。大久保容疑者が西松側に献金を要求していたこともすでに判明している。
 逮捕に踏み切った理由として、特捜部は小沢氏側への提供金額が突出していた点を挙げている。
 小沢氏側以外で16~18年、西松からの献金やパーティー券購入の総額が多いのは、二階氏側のほか、自民党の尾身幸次元財務相側と森喜朗元首相側が、ともに400万円だった。
 検察関係者によると、特捜部では、国沢容疑者の供述に加え、二階氏側は金額が小沢氏側に及ばないものの、他の自民党議員側より多い点に注目。二階氏側は西松によるパーティー券購入費では金額が突出している上、「献金」がまったくないことから、西松からの資金提供を目立たなくさせる意図があった可能性もあるとみているもようだ。
 産経新聞 3月7日2時54分

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 検察はきちんと自民党側にも捜査のメスを入れている(ちなみに、この二階大臣はかつて小沢氏の側近だった人物である)。小沢代表の「言い訳」を認めるならば、この二階大臣の「言い訳」も認めなくてはならなくなる(福島社民党党首は国会の場で見事に二枚舌を使ってくれたが(冷笑))のだが、さて、テレビで盛んに陰謀論をぶっている識者気取りの連中は、こういう特捜の動きをどう説明するのだろうか?

 そもそも彼らのような人たちは、辻元議員の秘書給与ピンはね事件の時に、「こんな小さなものよりもっと巨悪を追うべきだ」と言っていたのではなかったか。ならば「数百万」のパーティー券を買ってもらっていた自民党議員よりも二億の献金を受けていた小沢代表に厳しく当たって当然ではないのか?(冷笑)

 小沢代表の側からは、

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 小沢代表政党支部、企業献金は小口ばかり…「西松」名なら突出

 小沢一郎・民主党代表が代表を務める政党支部が2002年~06年に受けた企業献金は、最高でも1社当たり年300万~200万円にとどまり、大半が小口献金だったことが分かった。
 同じ時期に、準大手ゼネコン「西松建設」(東京)がダミーの政治団体名義で行った小沢代表側への献金は、年1500万~500万円。小沢代表は4日の記者会見で西松側からの献金について、「政党支部で受領すれば何の問題もなかった」と述べたが、実際に政党支部で受ければ、金額的にかなり目立ったことになる。
 政治資金規正法によると、企業が政治家の資金管理団体に献金することは禁じられているが、政治家が代表を務める政党支部に対しては、政党への献金という扱いになるため、献金することができる。このため、多くの政治家は、政党支部で企業献金を受けている。
 政治資金収支報告書によると、小沢代表が代表を務める政党支部「民主党岩手県第4区総支部」(03年9月以前は自由党岩手県第4総支部)は、02~06年に多い年では200社、少ない年で114社から、年間計8890万~4806万円の企業献金を受けていた。最も多く支出した企業の献金額は年300万~200万円。1回当たりの献金額は、多くても200万円前後だった。これらの献金は、東北地方の企業が約7割を占め、建設関係の会社が半数以上だった。大手や準大手のゼネコンは献金していなかった。
 一方、西松建設は02~06年に、ダミーの政治団体「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の名義で、小沢代表側の三つの政治団体に、年1500万~500万円を献金していた。これらは、政党支部への1社当たりの企業献金の最高額と比べると、2倍から5倍も多かった。
 小沢代表は、資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、同会会計責任者の大久保隆規容疑者(47)が逮捕されたことを受け、4日の記者会見で、「西松建設の献金と認識していたら、政党支部で受領すれば、何の問題もなかった」と話していた。しかし、仮に、ダミー団体経由の献金をすべて西松建設からの企業献金として、政党支部の収支報告書に記載した場合、西松建設からの献金は、他の企業からの献金に比べて金額的に突出することになる。
 小林良彰・慶応大教授(政治学)は「小沢代表の政党支部への最高献金額と、西松建設の二つの政治団体から小沢代表側への献金総額の差は大きい。小沢代表側に、『政治団体からの献金は西松建設の金』という認識があったとするならば、政党支部ですべてを受けると、具体的な社名が収支報告書に載るため、目立つのを避けたかったのではないか」と話している。
 読売新聞 3月6日3時9分


 西松ダミー2団体、解散時の残金も小沢氏側に献金

 小沢一郎・民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)がOBを代表とした二つの政治団体を2006年に解散させた際、両団体に残っていた資金の大半を小沢代表側の団体に献金していたことがわかった。
 同社と小沢代表側のつながりの深さを示す事実とみられる。同年には、小沢代表側への迂回(うかい)献金のために下請け企業を集めた組織も解散しており、東京地検特捜部は、西松建設がこの時期に一連の献金システムを廃止した経緯についても調べている。
 西松建設が1995年に設立したダミー政治団体「新政治問題研究会」は2006年12月、98年に設立した「未来産業研究会」は06年11月に解散した。同社関係者によると、その際、両団体には計約800万円の資金が残っており、残金の処理方法を検討したところ、以前から国会議員の中でも密接な関係があり、献金総額が最も多かった小沢代表側の団体に献金するなどして、残金を処理することに決まったという。
 政治資金収支報告書によると、新政治問題研究会からは同年10~11月、陸山会、小沢代表が代表を務める「民主党岩手県第4区総支部」、小沢代表が最高顧問を務める「民主党岩手県総支部連合会」に計300万円を献金。未来産業研究会からは同年10月、同支部と同連合会に計200万円が献金されている。同年10月以降に、両団体から寄付を受けたのは小沢代表の関連団体だけで、両団体の解散時の残金は最終的に計889円となった。
 一方、小沢代表側に献金する目的でつくられた下請け企業の組織も06年に解散した。西松建設は下請け発注する際、工事代金を水増しして献金分を負担することが多く、実質的な迂回献金だった。この組織には多い時で20社前後の下請け企業が参加し、陸山会に会費名目で1社あたり50万円程度を献金していた。
 こうした小沢代表側への献金システムを解体した理由について、同社関係者は、ゼネコン業界が05年末に「談合決別宣言」をしたことや、06年秋に福島県などで談合・汚職事件が相次いで摘発されたことが契機だったと説明している。
 読売新聞 3月6日14時35分

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 こういう捜査情報も出ているのである。これを見れば西松建設の違法献金の目的は小沢代表にあって、その他の議員は「保険」のようなものだったと考えられる。
「巨悪」というならその首魁が今回小沢代表なのだ。
 そしてこの「巨悪」の本質は政治家の便宜供与である。「東北で仕事をしたければ小沢事務所を通さなくてはならない」という業界人の言葉の重さを考えよう(業界の認識が沿うなのに、小沢代表側が「そんなことしたことがない」というのならば、「やるやる詐欺」の常習犯ということになるな(笑))。その本質から目を反らして、献金の様態だけでゴタゴタ言うのは愚かに過ぎる。

 甘利大臣が「国策捜査ができるといっているような政党が権力の座に着くとたまったものではない」と言っていたが、「自分たちの都合で捜査対象への対応が決められる」と考えているような人間が公共の場で平気でそういうことを言うような社会もたまったものではない。
 公党の責任者やマスコミが「国策捜査」を喧伝する事は、「日本が北朝鮮や中国のような警察国家である」と世界に向けて発信していることになる。自分たちを正当化するためなら日本を貶めても気にかけないということこそ、とんでもない「巨悪」であることに早く気づこう。


 ところで、最初に引用した「TOKYO FM」の調査の記事で、「金がらみの捜査よりも国策を優先してして考えれば民主でしょう」といっている女性、「政策」ではなく「国策」といっているところを見ると、

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 挺身隊問題対策協、日本に慰安婦問題解決要請書伝達

【ソウル6日聯合ニュース】韓国挺身隊問題対策協議会は5日、法制定などを通じた旧日本軍慰安婦問題の早期解決を促す要請書を日本の民主党に送ったと明らかにした。
 協議会は要請書を通じ、民主党は他の党に先駆け「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」を国会に提出し、これまで8度にわたり法案が提出されたが、その後進展がないと述べた。その上で、民主党が積極的にこれを立法化し、女性の人権問題を解決する模範になってほしいと要請した。
 協議会関係者は、「ことし予定された選挙で民主党が勝ち、法律を必ず制定し、戦後補償問題も解決するよう願っている」と話した。
 YONHAP NEWS 3月6日11時25分

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 この国の人かな? 民主党の「国策」といえば「売国」系のものばかりなのだが(苦笑)。
(慰安婦といえば、(2009/01/10の記事、「箍」のない国) で書いた「アメリカと韓国が従軍慰安婦を使っていたニダ!」という訴えをアメリカは無視したようだ。彼らは「騒いでいるのが売春婦」であり、売春宿はどこの軍でもつきものであることを理解している。日本だけが騒がれるのは、それが政治的な動機に基いていること証左である。そして、民主党は、その動きを法律をもって国で認めさせようとしているのだ)

 小沢代表が先の記者会見での態度をやわらげ、当局への協力辞さずというソフト路線に転換した一方で、

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 二階氏「調査を受けるいわれはない」 西松献金事件で

 二階俊博経済産業相は6日の記者会見で、「西松建設」のダミー団体を通じた献金事件に絡み東京地検特捜部が捜査する方針を固めたとされることについて「特別の調査を受けるいわれは全くない」と述べた。二階氏は、西松建設のダミー団体が二階派の政治団体のパーティー券を購入していたことについても「違法性は全くない」と強調した。
 これに関連し河村建夫官房長官は6日の記者会見で、同日午前に二階氏から「一切、心配ない」と報告があったことを明らかにした上で、今後も、二階氏から直接事情を聴く予定はないと強調した。また、「昨日、パーティー券購入について説明を受けた。適切に処理しているということなので、それを信じている」とも述べた。
 産経新聞 3月6日11時13分

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 自民党側に「突っ張る」人間が出続けると、最初の「TOKYO FM」の調査も簡単にひっくり返るかもしれない。
 ましてや小沢代表が早めに辞任し、

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 「私たちは海賊新法に賛成」 民主・前原氏

 民主党の前原誠司副代表は5日、国会内で開かれた安全保障をめぐる超党派議連の総会で、政府が今国会で成立を目指す海賊対処法案(海賊新法)に関し「ここに集まっている民主党議員は基本的に賛成の立場で来ている。法律をよりよいものにしていくためわれわれも積極的に関与させてもらいたい」と述べた。
 民主党は海賊新法への賛否を明らかにしていないが、同議連事務局によると、総会には前原氏を含め7人の民主党議員が出席した。
 産経新聞 3月5日18時51分

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 このあたりの人間が代表になると、その安保に関する姿勢に騙されて「民主党が変わった」と思う人も出てくるかもしれない。
 前原氏は安保に対しては厳しいこともいうが、それでいて外国人参政権については推進派である

 小沢代表のおかげで民主党が金権的に自民党と同じ穴の狢であることが明らかになった。
 次は民主党が「日本人より韓国人」の方を見ているということを広く知らしめなくてはならない。

 意味のある「支持率調査」ができるのはそれからだ。


 本日の給付金。

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 「給付金」商戦ヒートアップ?旅行プラン・福袋・弁当箱も

 一部の自治体で支給が始まった総額2兆円規模の定額給付金。「消費拡大の起爆剤に」と、旅行会社や小売業界などは5月の大型連休をにらみ、「1万2000円」をキーワードに、あの手この手の商品を企画。不況で税収減に苦しむ自治体でも、給付金の支給事務を福祉や雇用確保に生かそうとする動きも出てきた。
 観光業界は、「旅行に目を向けてもらうチャンス」と、給付額にちなんだ「1万2000円プラン」の販売を計画する。
 日本旅行は16日から、関東近郊の温泉を対象にした宿泊プランをネット限定で、JTBは27日から、国内のリゾート地などに宿泊するプランを売り出す。いずれも平日限定だが、「手ごろな価格で、まずは旅に出てもらいたい」(日本旅行)と、需要の呼び水にしたい考えだ。
 流通業界の給付金に注ぐ視線も熱い。西武百貨店とそごうは3月下旬から、福袋を税込み1万円均一で売り出す。中身は、新生活に役立つインテリア用品や新社会人向けのジャケット、紳士靴など。「高級牛肉など、『この際だから買ってみよう』という商品もある」(東武百貨店池袋店)。
 また、地方でも給付金への期待は大きい。
 静岡市葵区の梅ヶ島温泉観光組合は、加盟旅館12軒で、1泊の料金が定額給付金の半額の6000円のプランを用意。徳島市地場産業振興協会では、徳島県産杉を使った木製弁当箱「遊山(ゆさん)箱」の新作を、定価から約4000円値下げして1万2000円で売り出した。上杉和夫理事長は、「子供や孫に買って、行楽シーズンに使ってほしい」とアピールする。
◆自治体の膨大な事務、業者が“争奪戦”◆
 一方、定額給付金の支給に伴う自治体の膨大な事務作業を、ビジネスチャンスととらえる動きもある。
 仙台市は、定額給付金の支給事務に関する委託費などとして、6億円を予算に計上したところ、連日、人材派遣会社などの営業担当者が来庁して“争奪戦”を繰り広げる事態となった。1月以降、市への業務内容の問い合わせなどは30件以上。同市は、委託可能な業者を選定中で、5月下旬以降の給付開始前までに指名競争入札を行うという。
 給付を福祉や雇用の下支えに活用しようとする動きもある。
 栃木県日光市は、約3万7000通の申請書を入れた封筒をのり付けする作業を障害者の就労支援施設などに発注。失職者を優先し、振込先の口座番号などのデータを入力する臨時職員約10人を雇い入れる。
 読売新聞 3月6日1時19分

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 う~ん、日本人的な感覚に訴えるならば、ここは「給付金記念」と銘打った上で11000円ないし9800円といった「少し手元に残る」ような金額で提供した方が需要が増えるのではないだろうか? 「少し安くしておいて余りが出ると思わせ、その実お土産などで合計金額で12000円を越えさせる」というのが上手な商売だろう(笑)。

 ところで、「給付金の事務作業で失業者対策を」というご意見をコメントでいただいたが、その線で動いている自治体もあるようだ。これである程度失業対策になるとなれば、「事務経費がムダ」と騒いでいた連中の意見こそ「ムダ」だったということになるな(冷笑)。