今日、「JR北海道経常赤字235億円」という記事がでました。

 

その内実を少し分析してみます。

 

まず、経常赤字235億円と聞いて、ぴんと来る人は少ないと思います。しかし、下表の業績をずっと横に追えば、容易ならざる事態が起きていることがわかると思います。

 

下表はJR北海道単体の決算です。経常損益は赤字になったり黒字になったり。収益力が強くない、というのがわかります。赤字幅は過去最大で60億円程度。

 

今回の経常赤字235億円というのは、金額もさることながら、運用益減少や修繕費の膨張など構造的なものが原因。だからこそインパクトが強いのです。

 

何もしなければ台風の影響を織り込む前の175億円の赤字が恒常的に続く、ということになります。JR北海道の純資産のうち、安定基金や評価差額を除く金額は1742億円。10年弱で食いつぶすことになります。

 

 

平成27年3月、JR北海道は今後5年間で2600億円を投じ、安全対策を行う計画を立てましたが営業CFは年間250億円程度ですので資金手当のあてのない計画でした。

 

国は平成27年6月、JR北海道に対し1200億円の追加支援を決めましたが決して甘いものではなく5年計画の後半3年に資金を投入する、というものでした。ここまででJR北海道は、支援を受ける引き換えに突っ込んだリストラを行うことを定められたのです。

 

そして細かい報道はされませんでしたが、平成28年に入ってから、JR北海道内部で容易ならざる事態が明らかになってきたのだと推測されます。

 

1.基金運用益の減少 …マイナス金利の影響でそれまで350億円規模の収入だったものが220億円へ、130億円の減少が予想されました。

2.北海道新幹線の赤字 …乗車率は見込みより好調に推移していますが結局は道新幹線の収支は赤字。結果としてJR北海道の赤字は拡大しました。

3.修繕費がふくらむ …老朽化した施設を計画的に修繕し維持していくためのコストは今後増加していく見込みとなりました。2000年頃160億円程度だった修繕費は27年度には314億円に増加しました

 

その結果、28年度の決算予想は175億円、史上空前の赤字予想、となったのです。

 

そこに追い打ちをかけたのが台風被害です。運休による収入減で40億円などの影響を織り込み、経常赤字は235億円に膨らむとあらためて本日、決算予想を公表しました。

 

平成28年7月、JRは9線区について存続か難しい、としてそれらの線区の名前を公表しました。留萌線、札沼線(北海道医療大学=新十津川)、石勝線(夕張=新夕張)などです。

 

これら9線区の合計営業キロ数は実に898キロ。道内全線区2499キロのうち35.9%を占めます。JR北海道はすでに自分たちの営業基盤の3分の1をリストラする方針なのです。

 

複数の新聞報道から、下表を作成しました。

 

 

ちなみに最大の赤字路線は函館線(函館=長万部)。赤字額は△4,969百万円に上ります。

 

これら9線区を廃止してもこれら9線区の営業赤字104億円がすぐ解消するわけではありません。車両や人員がすぐ同じ割合(35%)減るわけではないからです。

今回廃止が検討されている路線以外で幹線ではない路線はこの4路線位しかありません。

リストラ余地も乏しいのです。

 

値上げは不可避、と思います。札幌圏だけでも値上げし収支の改善を図るべきだと思います。JR貨物に対し線路使用料の引き上げを交渉する。ただし、現状の使用料は年額16億円で引き上げてもそれだけでは収支は改善しません。

今、9線区の存廃が問題となっている印象がありますが、問題の本質は、9線区の存廃ではなく、JR北海道の存続そのものが揺らいでいる、というところにあります。

 

民事再生法や会社更生法をくぐしても収益構造が赤字である以上、存続は難しい。

 

冗談抜きに、国営に戻す、というのも議論しなければならないところでしょう。

 

 

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