10連敗克服!世界王者フランシスコ・キロス | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

1984年(昭和59年)5月19日、ベネズエラの首都マラカイボのリング上でWBA世界Lフライ級王者ルペ・マデラ(メキシコ)と対峙しているのは、同級1位にランクされる挑戦者フランシスコ・キロス(ドミニカ)。戦績は9勝(3KO)10敗1分1NCと至って振るわない。

王者マデラは1983年渡嘉敷勝男(協栄)選手との3連戦で、引分→再試合指令・王座獲得→WBA再々戦指令・初防衛成功。日本のリングですこぶる稼いだ王者は31歳。37勝(23KO)14敗1分。群雄割拠のメキシコLフライ級戦線でキャリアを積んだ実力者である。

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日本でタップリ稼いだマデラは7ヶ月ぶりの試合、2度目の防衛戦。WBAの指名試合としてキロスの挑戦を受ける為にベネズエラヘやって来た。

試合は初回からマデラ優勢。3回には右を決めダウンを奪う。しかし、キロスもここは踏ん張る。前半5回が終わり、早くもチャンピオンには疲れが見え出す。しかし、挑戦者も消極的。王者優勢で迎えた8回、挑戦者は攻勢に出る。

9回。ダメージが感じられるマデラ。だが、キロスにも疲れの色がありあり。それでも26歳の挑戦者は、最後の力を振り絞るかのような攻撃を見せる。強烈な右が王者を襲う、続く右クロスの追い打ちで王者はダウン。そのままカウントアウトされた。



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新王者キロス誕生。マデラが負け越し選手にKOされるとは全く信じられない結果だった。渡嘉敷選手との3連戦で、金は稼いだが、戦う力、意欲は使い果たしたかのような落城劇。

1978年2月のプロデビューから6連勝。キロスは順調に出世街道を駆け上がる。しかし、81年3月のプエルトリコ遠征からケチがつく。翌年7月までズラリと並んだ黒星は九つ。9連敗である。

ひとつのノーコンテスト試合をはさみ82年11月、キロスはベネズエラで21戦無敗(1分)のホープ、サンチャゴ・カバレロ(ベネズエラ)と対戦。10回判定負けで、見事噛ませの役割を果たす。これで1NCをはさみ10連敗。もはや夢も希望も無いと見るのは妥当だろう。

カバレロはこの試合の勝利で世界ランキングに顔を出す。しかし、次のプエルトリ遠征で初黒星。後、メキシコをホームリングとした男は協栄ジムへやって来るが、そのキャリアの晩年はキロスと同じ役割。ラストファイトは後の日本王者山岡正規(トクホン真闘)選手が相手で、カバレロ戦は山岡選手の出世試合となった。

現在も日本に住み、勝又ジムでトレーナーとして活躍するアミーゴ、サンチャゴ。あのキロスが世界チャンピオンになるとは、想像だにしなかっただろう。

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10連敗もなんのその、噛ませは忙しい。カバレロ戦から僅か3週間、再びベネズエラのリングに立ったキロスはWBA世界フライ級7位オスカー・ボリバル(コロンビア)と対戦する。そしてこの試合でキロスはついに噛むのである。8回KO勝利。一気にWBA世界フライ級9位の肩書きがついた。

世界ランカー初戦は引分。パッとしない世界9位は83年10月8日、ベネズエラに於いてWBA、WBC共に世界Lフライ級1位にランクされるレイナルド・ベセラ(ベネズエラ)との対戦チャンスを得る。ベセラにとっては、次に約束されいている指名挑戦の前哨戦の色合いが強い。キロスとは前年5月に対戦し、判定勝ちしている。

しかし試合はわからない。世界前哨戦で固くなったのか、ベセラは2回に不覚のダウンを喫する。以後追い上げるも、キロスはアウトボクシングに徹し、10回を逃げ切った。2-0の判定ながらキロスの明白な勝利。

29日発表のWBAランキングでキロスは一気に1位にランクされる。敗れたベセラは3位。なんとも潔いWBA。一方のWBCはキロスをトップテン入りさせなかった。ベセラの名前は依然上位にあったが・・・。

指名挑戦権をさらってしまったキロスは、マデラ挑戦のチャンスを掴み、一気に世界王者まで上り詰めたのである。世界王者キロスの人気は高い。有望選手を抱えるプロモーターから来るオファーの山。「早いもの勝ち」と見られても仕方の無い戦歴だ。

多くの挑戦希望選手を押しのけてキロス挑戦のチャンスを掴んだのは、同級6位ビクトル・シエラ(パナマ)。勝率5割王者の初防衛戦は、パナマシティで開催された。10勝(6KO)2敗3分の挑戦者は17歳。シエラが勝てば、ウィルフレッド・ベニテス(プエルトリコ)が持つ史上最年少王者の記録を10日間上回る世界記録となる。


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84年8月18日、世界記録誕生の瞬間を見ようとパナマシティ体育館には6千人の観衆が集まった。だが、その期待は初回終了ゴングを待たずに打ち崩される。王者の右フックでダウンを喰らった挑戦者は、終了ゴングに救われるスタート。

続く2回。シエラは強気で打ち合いに応じ激しいパンチを応酬。打ち合いの最中、キロスの強烈な右アッパーがヒット。崩れ落ちる挑戦者。ふらりと立ち上がったシエラだったが、次の瞬間リング中央にドッサリと倒れこみテンカウントを聞いた。キロス会心のKO防衛。元噛ませの王者は13万ドルの報酬を得た。



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キロスには90日以内に1位ジョーイ・オリボ(米)との指名試合が義務付けられる。しかし、このカードは日時が再三延期され、一度はキャンセルとも言われた末に、米国フロリダ州マイアミでの開催が決まった。オリボのホームタウンはロサンゼルスである。

175センチの長身オリボは初回からスピードボクシング。5回には鮮やかなダウンを奪う攻勢。終盤挑戦者のパワー不足をついて反撃に出たキロスだったが、ダウンの失点を取り返すことは出来ず試合終了。142-145、142-143、143-145の小差判定を失い王座に別れを告げた。

元王者はオリボ戦後全く勝てず5連敗。いかにもキロスらしレコードを残しリングを去っていった。10連敗→世界王者→5連敗。通算11勝(5KO)15敗1分1NC。1993年5月15日、キロスはナイトクラブの喧嘩で死亡した。

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