シゲ福山・D・ロペスのどん底Ⅱ | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

豊島選手に命からがらの3回逆転KO勝を飾ったダニー・ロペス。ダメージもなんのその9月19日、オリンピックのリングに登場、日本のシゲ福山(協栄)選手と対戦します。

福山選手は長らくロスのリングで戦っています。8月1日には無敗のホープ、カルロス・ベセリル(メキシコ)と戦い、試合開始から一方的なベセリルペースで完敗寸前のラストラウンド。左フックを決めて超逆転のKO勝利。この勝利でロペスとの対戦のチャンスを掴みました。

ロペスは、世界王者となっていたボビー・チャコン(米)へのリベンジ、すなわち世界タイトル挑戦が決まっていました。そうして迎えたこの試合、誰もがロペスの勝利を信じて疑わなかったオリンピック・オーデトリアムは、意外なシーンを見ることに・・・。

試合は打撃戦の末、9回ロペスがコーナーを出れず福山選手のKO勝。世界タイトル挑戦権を横取りしてしまいました。しかし、この福山選手も好不調の波が激しく、一時は4連続KO負けを経験。日本では見放された選手だったのです。

日本で見たスパーでも、凄い打ち合いやっていました。打撃戦は大好きという言葉通りの激しいスパー。今なら4連続KO負け。やめちゃいますよねぇ。(~~)

ロスでの第1戦が650ドル(20万円)だったファイトマネーが、ロペスとの試合では7千ドル(210万円)。試合4日後、福山選手は日本に凱旋帰国。”第二の西城”、”シンデレラ・ボーイ2世”ともてはやされました。下写真は、ロスでの同僚O・アルバラード(世界S・ウェルター級王者)と。

12月にもロスで予定されていた世界タイトル挑戦は延期となりますが、1年半後日本で実現する事になります。そしてロペスは、翌年1月の再起戦も判定負け。すっかり見放された選手に・・・。

WBC世界フェザー級タイトルは、75年6月チャコンからルーベン・オリバレス(メキシコ)が2回KOで強奪。2度目の世界フェザー級王座獲得でした。しかし、3ヵ月後の初防衛戦で、ガーナのデビット・コティにあっけなく敗れ王座陥落。世界王座はアフリカへと渡ります。

この時点で、福山選手は初防衛戦の挑戦者としての権利を有していました。が、ガーナ初の世界王者コティの初防衛戦だけは外国に出るわけにはいかないと、政府が国を挙げて地元開催を主張。

ここで先代金平正紀会長は、福山選手の変わりに同門のフリッパー・上原選手をガーナに送り込ませます。コティが勝ったなら、次は日本で福山選手が挑戦。上原選手が勝ったなら、同門決戦だったのかなぁ。(~~)チャンスを先に譲った福山選手も、譲られた上原選手もビジネスと割り切って自分の道を進む。

そして、世界タイトルとはすっかり距離が出来てしまったロペスは、連敗にもめげずリング活動を続け、連続KOで這い上がりのチャンスをうかがう。

続く・・・。