オーレ(ウーレ)・オルセン(Ole Olsen)ノルウェーの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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Ole Olsen

Ole Olsen - Wikipedia Norsk bokmål

 

オーレ(ウーレ)・オルセン

Ole Olsen(1850-1927)

 

ハンメルフェスト(Hammerfest)生まれ

母オラヴァ・マグダレーネ・オルセン(Olava Magdalene Olsen)は彼の幼い時に死去。

父イーヴェル・オルセン(Iver Olsen)は、オルガニスト。

1865年、時計職人の修行のためトロンハイムへ移り、同時に音楽も学ぶが、

最終的には音楽の道に進む事を決意。

1868年、師のユスト・リンデマン(Just Lindeman)に代わって

トロンハイムの大聖堂のオルガニストとなる。

1871年にライプツィヒへ移り、同地の音楽院で1874年まで学ぶ。

その間、交響曲ト長調やオペラ『スティグ・ヴィデ』(Stig Hvide)を書き始める。

1874年から、クリスチャニア(現・オスロ)で残りの人生の殆どを過ごす。

1879年、ピアノ製造会社経営者のカール・ハルス(Karl Hals)の娘マリエ(Marie)と結婚。

1877~1880年、外国遠征中のヨハン・スヴェンセン(Johan Svendsen)の代理として

音楽協会のオーケストラを指揮する。

その他、合唱団、軍楽隊、フリーメーソンのオーケストラ等の指揮者や

ピアニストとして活躍をする。

1927年、オスロ(Oslo)歿。

 

【代表作】

歌劇『スティーグ・ヴィーデ』(スティー・ヴィーズ)

(Opera ”Stig Hvide”)1872-1876

歌劇『ライラ』

(Opera ”Lajla”)1893

喜劇『勇者スヴァイン』(5幕)

(Eventyrkomedie i fem Akter ”Svein Uræd” op.60)1890

オラトリオ『ニダロス』

(Oratorium ”Nidaros”)1897

カンタータ『ルドヴィ・ホルベア』

(Kantate ”Ludvig Horberg”)1884

交響曲ト長調

(Symfoni i G-dur, op.5)1875完成

交響詩『アスゴールの騎行』

(Symfonisk dikt ”Asgaardsreien”, op.10)1878

交響詩『妖精の踊り』

(Symfonisk dikt ”Alvedans”, op.12)1880

 

以前にも少し紹介したノルウェーのマイナー作曲家ですが、

今までは、オムニバスによる録音が幾つか出ていましたけど、

やっと、オルセンだけを取り扱った本格的管弦楽曲集が出ました!!

で、期待以上の出来で感激です!!

何で今まで出なかったの?と思うくらいの感じです。

最近のスターリングは、ノルウェー系に力を入れているようで、

私がここ最近紹介している作曲家も、やたらとノルウェーが多いです。

 

よく、無名の作曲家についての頑迷な偏見というのがあります。

「無名になったのには、それなりに魅力が無かったからだろう!!」とか、

そんなの。

それから、知名度で良し悪しを判断するミーハー感覚とかも、理解不能。

有名な作曲家の曲でも、ショボイのはあるだろうに。

”水戸黄門”辺りによくある権威に土下座する感覚が理解出来ない私は、

つくづく日本人離れしているのかな?と思ってしまったりしますけど。

それはともかく、感想いきます。

 

 

 

交響詩『アスゴールの騎行』(1878)

Symfonisk dikt ”Asgaardsreien”, op.10

出だしが、ハルヴォシェン(ハルヴォルセン)

の交響曲第2番第4楽章を彷彿とさせる、

緊張感のあるヒーローサウンド風メロディ。

黄金バットでも出てきそうな、スポ魂アニメの様な雰囲気。

初期の管弦楽作品にしては、

オーケストレーションがしっかりしていて、尚且つ大胆。

細かい複雑な音のうねりがたまりません。

民謡風の牧歌的なのんびりしたメロディも出てきますが、

もろ新ロマン主義の影響を強く受けている感じで、

劇的で強烈な描写も出てきます。

ピッコロによる羽目を外した感じの人を驚かす様な強奏は、印象的。

ちょっと”ワルキューレの騎行”も彷彿とさせ、

ヴァーグナー好きにはお薦めです。

曲の締めくくり(終止音)も息が長く、とても劇的。

因みに、解説書の表紙に使われている絵は、ノルウェーの画家

ペーテル・ニコライ・アルボ(Peter Nicolai Arbo,1831-1892)による

オースゴールの騎行(Åsgårdsreien, Aasgaardsreien, 1872)。

北欧神話などを主に描いた画家のようですが、

いかにも”ワルキューレの騎行”を彷彿とさせる、

勇壮でカッコいい絵画ですね!!

胸をはだけた女性(女神?)が勇ましい!!

下の方にその絵の画像を表示しています。

CDの解説書では、アルボの生没年が『1851-1935』となっていますが・・・。

北欧神話のアースガルズ(Ásgarðr)と同一なんでしょうか?ちょっと不明。

 

 

 

交響曲ト長調(1875)

Symfoni i G-dur, op.5

この交響曲は、ノルウェー交響曲の最高峰と言われる

スヴェンセンの交響曲にかなり似ています。

その交響曲に、出来栄えでも遜色無いと思います。

それ所か、スヴェンセンの交響曲を、更に洗練させた様な感じ、

と言ったら誉め過ぎか?

 

第1楽章(Allegro maestoso)

如何にも春の訪れを喜んでいる様な、躍動感と優しさのあるメロディ。

有名な曲で言えば、シューマンの交響曲第1番『春』を彷彿とさせる。

が、全体的にやや平坦で余り起伏に富んでいない印象を受けるのが

ちょっと残念。

一般的に交響曲の第1楽章は、主要部という意味合いがあったりしますが、

この交響曲の第1楽章は、「起承転結」の「起」部分という感じ。

 

第2楽章(Scherzo.Allegro)は、上品な明るさを感じるワルツ(円舞曲)。

北欧的な清澄な雰囲気が感じられ、まるで妖精でも踊っているようです。

表情の豊かさに溢れています。

第1楽章と同様、春の訪れを喜んでいる様な感じ。

 

第3楽章(Andante)は緩徐楽章で、優しいメロディが支配します。

もの哀しい哀愁の旋律やほのぼのした明るいメロディなどが出てきますが、

いずれも民俗的旋律がベースになっています。

スヴェンセンの交響曲の緩徐楽章を彷彿とさせます。

鄙びた感じが北欧音楽好きにはたまらないと思います。

一番盛り上がる部分はとても感動的です!!

 

第4楽章(Andante quasi adagio - Allegro assai)

北国的で幻想的な雰囲気のやや長い序奏のあと、

躍動感溢れる清澄な明るいメロディが出てきます。

構成やメロディラインなどが、

スヴェンセンの交響曲の最終楽章に似ていますが、

それを更に洗練させた様な感じ。

スヴェンセンの交響曲の最終楽章は、コテコテ感がかなりあるのですが、

そのコテコテ感を弱めてお洒落っぽくした感じです。

 

 

 

弦楽合奏による組曲

(ヌールダール・ロルフセンによる喜劇”勇者スヴァイン”より)

Suite for strykere fra Eventyrkomedie Svein Uræd, op.60

ヌールダール・ブルーン・ロルフセン(Nordahl Brun Rolfsen, 1848-1928)

の書いた喜劇から7曲を選んで弦楽オーケストラにしたもののようです。

第1曲『歌』(Sang)

第2曲『オーロラと氷山』(Nordlys og isfjell)

第3曲『春』(Vår)

第4曲『夢』(Drøm)

第5曲『ロマ《ジプシー》たちの間で』(Blant sigøynere)

第6曲『小人たちと妖精たち』(Dverger og alfer)

第7曲『黄昏の歌』(Solefallssang)

概ね、グリーグやスヴェンセンらの弦楽合奏曲を彷彿とさせる

うっとりするような北欧民俗旋律風の透き通った魅力あるメロディ。

『ジプシーたちの間で』だけは、

妖しく激しい躍動的舞曲風旋律で他とは趣が違い、

それがアクセントとなっています。

ちょっと、ロマン派の枠組みを越えた様な大胆な描写です。

 

 

 

【追記】2014年3月2日

ペーテル・ニコライ・アルボによる『オースゴールの騎行』は、

日本語版Wikipediaでは「ワイルド・ハント」の題名で紹介され、

制作年が1868年となっていますが、この記事を書いた当時は、

日本語版頁が作成されておらず、英語版Wikipediaを参考にしました。

 

英語版のみならず、ノルウェー語(ニーノシュク)版でも、

「1872年」と紹介されています。

ペーテル・ニコライ・アルボ - Wikipedia

 

 

 

 

オーレ・オルセン:交響詩『アスゴールの騎行』:交響曲:弦楽組曲

演奏:ラトヴィア国立交響楽団(Latvijas Nacionālais simfoniskais orķestris)

指揮:テリエ・ミッケルセン(Terje Mikkelsen)

STERLING【CDS 1086-2】2009

 

 

 

【追記・訂正】2016年10月7日

肖像写真追加。

スティグ・ヴィデ → スティーグ・ヴィーデ(スティー・ヴィーズ)

ルドヴィー・ホルベア → ルズヴィ・ホルベア

 

【追記:2022/9/20】

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