ヘイノ・エッレル(Heino Eller)エストニアの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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Heino Eller - Wikipedia English

 

ヘイノ・エッレル

Heino Eller(1887-1970)

 

タルトゥ(Tartu)生

タリン(タリン)歿

 

1907年、ペテルブルク音楽院(Peterburi konservatooriumi)入学。

 

1920年、同学院卒業。

 

1920~1940年まで、タルトゥ師範学校(Tartu Kõrgemas Muusikakoolis)で、

作曲と音楽理論を教える。

 

1940~1970年まで、タリン音楽院(Tallinna Konservatooriumis)で死去するまで教える。

 

タリン音楽院は現在、

『エストニア音楽と演劇アカデミー』(Eesti Muusika- ja Teatriakadeemia)

と、改称されている。

 

1967年には、”ソ連人民芸術家”(NSVL rahvakunstnik)の称号を授与された。

 

彼の門下には、”エトゥアルト・トゥビン”(Eduard Tubin)、

”アルヴォ・ペルト”(Arvo Pärt)、”レポ・スメラ”(Lepo Sumera)などがいる。

ヘイノ・エッレル - Wikipedia, 日本語

 

『エストニア近代音楽の父』と呼ばれている。

 

ルトルフ・トビアス(Rudolf Tobias)アルトゥル・カップ(Artur Kapp)が、

『エストニアクラシック音楽の祖』と言われていて、

19世紀末にエストニア最初期の管弦楽曲を書いた。

 

ミヒケル・リュティク(リュディグ)(Mihkel Lüdig)がそれに続き、

エストニアの民俗音楽をモチーフにした初の管弦楽曲である

『幻想序曲第1番ロ短調』(Avamäng-fantaasia nr.1 h-moll 1906)を

20世紀初頭に書いた。

(追記:後述するCHANDOSのCDの解説書にそう書いてあるが、

実はアレクサンテル・ラッテ Aleksander Lätte が初と思われる)

 

エッレルの立ち位置は、

さしずめチェコでいう所の『ドヴォルジャーク』に相当するだろうか。

かなり重要である。

 

作風は主に後期ロマン派だが、時代を反映してか、モダニズムへ接近し、

やや崩れた印象派風などの作風を示したりもした。

 

エストニアのクラシック音楽自体、マイナーな存在であり、やや有名所でも、

『アルヴォ・ペルト』等の『現代音楽』系だったりする。

 

が、ネーメ・ヤルヴィが、主に民族的な響きの

分かりやすいエストニアの管弦楽曲を収録したCDを出すという

重要な仕事をしてくれたのは大変嬉しい(CHAN 8525)(CHAN 8656)。

 

勿論、桃色で示したCDにもエッレルの曲は収録されているが、

今回紹介するのは、エッレルのみを取り扱った管弦楽曲集CDである。

 

ヴァイオリン協奏曲ロ短調(1933-4、lõplik redaktsioon 1963-4)

Viiulikontsert h-moll

単一楽章の20分足らずの曲。

作曲してから30年後に改訂された。

 

ロマン的叙情性に溢れているが、時代を反映してか、やや崩れた作風。

その絶妙さによって、作品に深みが増していると思う。

幻想的幻惑的な音の波状攻撃?

 

交響絵画「黄昏」(薄明)(1917)

Sümfooniline pilt “Videvik”

後述する『交響詩”暁”』とは、姉妹作のようだ。

ロマン派の極めて分かりやすい作風。

 

童話の世界に於いて、子供がベッドでスヤスヤと寝入る所を描写した

”音画”といった感じ。

 

メロディラインが、昔何処かで聴いたような結構皆知ってそうな

”デジャビュ”さを感じるのは私だけ?

 

交響詩「夜明け」(黎明)(1920)

Sümfooniline poeem “Koit”

剣と魔法の冒険RPGの様なマイナークラシック音楽(3)エストニア篇

でも取り上げたが、出だしからして、

何かの冒険物語の始まりを彷彿とさせる情感溢れるメロディ!!

勿論、日の出を描写した感じも出ている。

哀愁のメロディがたまらない!!

 

しかし、CHAN 8525に収録されている演奏と比較してみると、

”ANTES EDITION”版LC 07985)の演奏は、やや劣る。

 

演奏にやや”ムラ”があったり、

トランペットの音がかすれている部分があったり、

終止音が何だか耳障りだったりする(録音状況の問題だろうか?)。

”シャンドス”版ライナーノートでは、作曲年が『1918年』だったりする。

 

交響詩「幻影」(1924)

Sümfooniline poeem “Viirastused”

題名通り、音による印象派絵画といった曲。

ぼやけたような、取り留めのない、音による幻惑的な色彩感。

20分近くと、息が長い。

 

交響絵画「日陰の中と日向にて」(1926)

Sümfooniline pilt “Varjus ja Päikesepaistel”

ハープも用いられ、幻想的で陽気な舞曲といったところ。

幸せに満ちているようだ・・・。

 

交響詩「歌う野原」(1951)

Sümfooniline poeem “Laulvad põllud”

民謡風の情感豊かなメロディが次々に現われてくる、聴き所の宝庫。

勇壮なメロディも現われる。

ハリウッドの映画音楽にでも使えそうである。

コテコテな”国民楽派”好きにはたまらない作品だろうと思う。

 

1950年代のエッレルは、代表作の一つである『弦楽の為の5つの小品』

(5 pala keelpilliorkestrile, 1953)を聴いて見ても分かると思うが、

戻っていったようだ(少なくとも私が聴いた限りでは)。

 

※資料によっては、作曲年に違いがあります。

 

LC 07985

ヘイノ・エッレル管弦楽曲集

演奏:

エストニア放送管弦楽団(Eesti Raadio orkester)

指揮:

ペーテル・リリェ(Peeter Lilje)

ヴェッロ・パハン(Vello Pähn)

ヴァイオリン:

ヴィクトル・ピカイゼン(Viktor Pikaizen)

【LC 07985】1999

NAXOS音楽配信サイトで聴く

 

 

 

【追記】

冒頭の肖像画像追加

本文中に追記(2018/7/26)

リュティック → リュティク(リュディグ)(2020/6/16)